異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第19章 最強の証篇

第225話 剣と剣

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 「ご主人様!我は勝ちました!」

 コットンは戻ってきたと同時にクリアに抱きつく。

 「うん。見てたよコットン。凄いよ」

 クリアはコットンの頭を撫でている。コットンは嬉しそうにしっぽを降っている。

 「さて、次は私の番ですね」

 クリアが立ち上がる。

 「気をつけてな」

 「はい。勝ち残って、リュート様と決勝で戦わせていただきますわ」

 気合い十分のサレナが戦いの場へ向かう。

 「カーン!」

 試合の開始を告げる鐘が鳴り響き、予選Bブロックが始まる。

 「ふっ!はぁ!」

 サレナは乱れぬ連撃で確実に相手の数を減らしていく。

 「これはこれは…」

 「あのサレナさんと共に戦えるとは…」

 サレナの周りに何百人もの男達が集う。

 「一体何を考えているのですか?」

 「いくら白き剣聖と言えども、この数を同時に相手にするのはキツイんじゃないか?」

 「その綺麗な顔を苦痛で歪ませてやるぜ!」

 サレナの周りの男達は皆、武器を構える。

 「なるほど、徒党を組みましたか」

 「あぁ!そうさ!コイツらはみんなAランク冒険者相当。俺たちの勝ちだ!」

 「さぁ!ここで消えろ剣聖!」

 男達が一斉に攻撃を仕掛ける。しかし、攻撃は当たらない。それどころか、サレナの姿が見えない。

 「何!どこへ消えた!」

 「一体どんな魔法を…」

 すると、男達の大軍の後ろを歩く一人の影。

 「まったく…下品な方達ですわ。リュート様の足元にも及ばない…」

 「居たぞ!後ろだ!」

 「今度は逃がさ…」

 「申し訳ありませんが私、あなた方の相手をするほど暇ではありませんの。大人しく眠っていて下さいますか?」

 サレナを囲んでいた男達が一瞬で倒れる。 

 「白き眠りへの誘いホワイト・アウト

 サレナは見えない早業の剣技で男達を一瞬で片付けた。

 「うおー!流石はムガ王国の剣聖だ!」

 「しかも滅茶苦茶美人だ…」

 「くぅ…リュート様が羨ましい…」

 観客達もサレナの活躍に歓声を上げる。

 「スプラッシュ・スライサー!」

 「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」

 サレナの元にスプラによって斬られた人達が飛んでくる。

 「流石ですね、サレナさん」

 「そちらもですわ、スプラ様」

 フィールドに残ったのはサレナとスプラの二人。先程まで大勢居た参加者は全てやられたようだ。

 「さて、始めましょうか。一度サレナさんと戦ってみたかったんですよ」

 「私もですわ。是非ともスプラ様とは手合わせがしてみたいと思っていましたわ」

 「いざ、尋常に」

 「勝負ですわ」

 ガキィーン!二人の剣がぶつかり合う。二人はお互いに攻撃を仕掛けては、弾かれを繰り返す。

 「流石はアイティオ様の一番弟子だ」

 「剣聖も負けてないぞ!」

 ギィン!キィン!お互い一歩も引かぬ攻防が続く。

 「そろそろ決着を着けさせてもらいますよ!はぁぁぁぁ!」

 スプラの攻撃が重くなり、サレナが押され始める。

 「ぐっ!」

 「もらいしたよ!はぁ!」

 ガキィーン!サレナの剣がスプラによって弾き飛ばされる。

 「これで終わりです。スプラッシュ・ストライク!」

 スプラが渾身の回避不能な突きを放つ。しかし、サレナは身体を曲げて、既のところで回避する。

 「なっ!これが避けられるの!」

 「剣聖を舐めすぎですわ!」

 どごぉ!

 「う!」

 サレナは思いっきりスプラを蹴り飛ばす。 スプラは吹き飛ばされ、地面を転がる。

 「私はまだ…」

 「残念ながら、私の勝ちですわ!」

 スプラが立ち上がろうとすると、喉元にサレナが剣を突きつけていた。

 「はは…サレナさん…強いなぁ…」

 Bブロックはサレナの勝利で幕を閉じた。
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