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第19章 最強の証篇

第226話 昔の知り合い

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 Bブロックの試合が終わり、Cブロックが始まろうとしていた。

 「では、行ってくる」

 「先生なら大丈夫ですよ! 頑張ってください!」

 ルージュの声援に励まされて、ミラはフィールドに向かう。

 「カーン!」

 試合開始の鐘がなる。

 「手加減はしない。全力でやらせてもらう!」

 ミラは弓を構える。

 「矢の雨アローレイン!」

 空中に放った矢が雨のように降り注ぐ。矢は次々と選手達を捉え撃破していく。

 「流石はミラだ!」

 「!?」

 一人の男が矢の雨を掻い潜り近づいてきた。ミラはこの男を知っていた。

 「セムラ!貴方も出ていたのか」

 「久しぶりに私も腕を試したくなったからな。相手してくれるか?」

 「もちろんだ。無論、手は抜かないぞ」

 「結構。では行くぞ!」

 セムラの足に雷が纏う。

 バリィ!雷のごとき速さでセムラはミラの背後に回り込む。魔法で拳に炎を点火させ、殴り掛かる。

 「取った!火炎拳フレア・フィスト!」

 「ふっ!」

 セムラの目の前に突然矢が飛んでくる。ミラは後ろに矢を放ったのだ。

 「おっと!」

 セムラはバックステップで避ける。

 「隙を見せたな?今度はこちらからだ!アーバレスト・開放」

 ミラは両手で弓とクロスボウを構える。

 「風矢包囲網ウィンド・シージ!」

 弓とクロスボウから高速で風魔法を付与した矢を連射する。セムラが下がった場所の左右方向から夥しい数の矢が押し寄せる。

 「むぅ!ふぅ!はぁ!」

 魔法で壁を展開し、左右からの攻撃を凌ぐ。

 「貰った。渾身一矢スナイプ!」

 ガラ空きの正面から一本の矢がセムラの腹に刺さる。

 「ぐぅ!ここまでか…流石だ…」

 セムラは気絶した。

 「そちらも中々の腕前だったぞ」

 その時、ミラの背後から頭を目掛けて矢が飛んできた。ミラは難なくその矢を躱す。

 「何者だ?」

 「久しぶりだなミラ!」

 そこに居たのは男のエルフ族だ。

 「誰だお前は?」

 「俺様の事を忘れたのか?お前の幼なじみのウドだ」

 「ウド?あぁ、昔そんな知り合いが居た気がするな。しかし、何故こんな所に?」

 「そんなの決まっている。お前を取り返すためだ!」

 ウドは特殊な弓を用いて、三本の弓を同時に放つ。ミラはそれを避ける。

 「取り返すだと?何を言っている?」

 「俺様はあの日、お前を嫁にすると決めた。しかし、今お前は既に夫がいるそうじゃないか。だから、俺様がこの大会で優勝してお前を取り返すんだ!」

 ウドは幼い頃からミラに恋心を抱いていた。しかし、ミラはウドには一切興味がなく、ウドはただの片思いだ。行方を眩ませたミラをやっとの思いで見つけたら既に夫が居た。

 「お前がリュートに勝てるものか」

 「そうか、リュートと言うんだな?そいつを殺せば…!」

 「第一、私は弱い男に興味は無い。お前からは面白さの欠片も感じない」

 「ぐっ!うるせぇ!お前は俺様の物だ!」

 ウドは弓を連射する。

 「はぁ…。面倒な奴に目をつけられたな…」

 「ミラ!お前は取り敢えず俺様の踏み台になれ!」

 矢が真っ直ぐミラの元へ飛んでいく。ミラは一切避けようとしない。

 「おい?どうした!避けろよ!」

 「避けるまでもない」

 ミラの目の前に風の壁が貼られ、矢をはじき返す。

 「何!」

 「仕方ない、取っておきを使おう。さらばだ。改竄矢アルターアロー

 ザクッ!矢がウドの脳天に突き刺さる。この矢はヴェール一族に伝わる秘伝の矢で、矢には記憶を改竄する魔法がかけられている。これで、ウドからミラの記憶が消える。

 「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!あれ?痛くない?そして、俺様は一体何を…」

 「雷矢ライトニングアロー

 ビリビリィ!ウドは焼け焦げて気絶した。

 その後もミラを止められるものは現れず、ミラがCブロックを制した。
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