異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

文字の大きさ

大中小

287 / 529

第19章最強の証篇

第227話圧倒的な勇者

しおりを挟む

　「お疲れ、ミラ」

　「あぁ。ありがとうリュート。あのくらいは朝飯前だよ」

　「次はアイティオの番か…」

　Dブロックの選手達が一斉にフィールドに入っていく。やはりその中でも一際目立つのが、アイティオだ。

　「おぉ！サラマ王国の勇者が来たぞ！」

　「キャー！アイティオ様！」

　「行けー！勇者！」

　やはりアイティオは男女問わず人気だ。

　「カーン！」

　試合開始の鐘がなる。

　「さぁ！あたしを楽しませておくれ？」

　「ぐっ…勇者が相手か…だが負けるわけには行かん！」

　「多人数でかかれば何とかなるか？」

　「一対多数かい？あたしは一向に構わないよ」

　アイティオの前に数百人の選手が集う。その数はサレナ以上だ。しかし、アイティオは神斧プロキオンを背中に背負ったままだ。

　「はぁぁぁぁ！」

　数人の男がアイティオに剣で切りかかる。

　「甘いよ！」

　どごぉ！

　「ぐっ！」

　アイティオは空中でパンチすると、その衝撃が辺りに広がる。

　「「「ぐあぁぁぁぁぁぁ」」」

　パンチ一発で数十人が吹き飛ぶ。

　「さぁ、次は誰だい？」

　「俺たちが行くぞ！」

　「「「魔法連撃･爆風メガ･ウィンド」」」

　ゴォォォォォ！巨大な竜巻のようなものがフィールドに出現する。その竜巻は真っ直ぐアイティオの元へ向かう。

　「面白い技を使うね。だがあたしには届かないよ！」

　アイティオは自ら竜巻の中に入り込む。

　「掛かったな！」

　別の魔法使いたちが後ろから現れる。

　「「「魔法連撃･双炎デュアルフレア！」」」

　左右からの巨大な炎の槍が竜巻に突き刺さる。竜巻は炎を取り込み、燃えながら吹き荒れる。とてつもない熱気と風圧が観客席にも　伝わる。

　「喰らった！これならば流石の勇者と言えども…」

　「馬鹿な…！おい！あれを見ろ！」

　一人の魔法使いは、驚愕の表情で竜巻を指さす。その指の先に、一人の人影がある。

　「中々の威力だね。だが、まだまださ！」

　アイティオは竜巻の中心部で両手を広げる。

　「魔法破壊マジック･ブレイク！」

　ぐしゃ！アイティオは両手で魔法の竜巻と炎を握りつぶす。巨大な炎竜巻は一瞬で砕け散る。

　「今度はこっちの番でいいね？」

　空中に居るアイティオは拳を握る。全ての選手が自分よりも下にいることを確認する。

　「じゃあ、この一撃で終いさ！空破壊エアブレイク！」

　自分の下方向を殴る。

　「ん？勇者は何をやっているんだ？」

　「何だ？不発か？」

　選手達は完全に油断している。アイティオが殴った衝撃が次第に下に伝わって行く。その衝撃は次第に選手達にも伝わり、それぞれの体に響き渡る。

　「がはぁ！」

　「ぐう！」

　選手達は衝撃に耐えきれず、次々と倒れ、フィールドに立っている者はアイティオだけとなった。

　「何だい？歯ごたえがないね…。武器すら要らなかったようだ」

　圧倒的な力を見せつけ、アイティオがDブロックを制した。

しおりを挟む