異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第19章 最強の証篇

第230話 クリアの逆鱗

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 圧倒的な力を見せつけてユリウスはGブロックを制した。

 「よし。次は私の出番だね」

 クリアが立ち上がる。

 「クリア様、頑張ってくださいませ」

 サレナがクリアに声援を贈る。

 「うん、もちろんだよ。リュートもしっかり見ててね」

 「あぁ、もちろんだ。クリアも気をつけてな」

 クリアがフィールドに向かい、予選Hブロックが始まろうとしていた。

 「うお!クリアさんだ!」

 「相変わらずの美人だな…」

 「うお…すっげぇ胸だ…」

 クリアの美貌は観客のみならず、選手の男達の視線も釘付けにする。

 「カーン!」

 試合の始まりを告げる鐘がなる。

 このブロックは比較的平和だ。クリアが周りを数十人に囲まれていること以外だが。

 「たとえ、リュート様の妻だろうと関係無い。我が剣の錆になって貰う」

 一人の女剣士がクリアに切りかかる。

 「はぁぁぁぁ!」

 ピタッ!剣がクリアの目の前で止まる。

 「なっ?体が動かない…」

 「重力操作グラヴィティ・プロセス

 クリアは女剣士に重力をかけ身動きが取れないようにした。

 「ごめんね。えい!」

 「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」

 クリアが右手を前に出すと、女剣士は壁まで吹き飛んだ。

 「うん。あの様子だとクリアは大丈夫そうだな」

 「そうですね。まだ力の一割も出てないという感じですわ」

 サレナが言うように、クリアは手加減してあの強さだ。恐らくだが、俺を除いた感情的な色彩メンバーの中ではクリアが一番強いのではないだろうか。そもそも、重力を操れるのではまともな攻撃は当たらないだろう。

 「纏めてかかれ!」

 「「「うおぉぉぉ!」」」

 重量系の男戦士達が、三人同時に攻撃を仕掛ける。

 「残念」

 クリアは空中に浮き上がり回避した。

 「クソ!強すぎる!」

 「最近現れた勇者に散々、力を分け与えてもらったんだろ!」

 「自分じゃ何も出来ない癖にな!」

 「自分じゃ何も出来ない…」

 おっと?精神攻撃か?明らかにクリアの動きが鈍る。

 「へっ!こんな単純な言葉攻めに動揺するとは、大したことないな!」

 「所詮、あの男が勇者に慣れたのもまぐれだったんだろうな!」

 「リュートを…」

 あっ…アイツら終わった…。

 「馬鹿にしないで!」

 ベキベキベキ!クリアを囲んでいた男達三人組の足がへし折れる。

 「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!」

 「なんだこの力は!」

 「ひっ!ひぃぃぃぃ!」

 クリアの悪い所が出てしまった。クリアは俺の事になると、我を忘れてしまう。クリアは俺のことを馬鹿にする奴や、貶す奴を見るのが一番嫌いだ。だから、感情が昂り、力が増加してしまう。

 「あっ!危ない危ない…気をつけなきゃ…」

 何とか力を押さえ込んだようだ。取り敢えず、もう心配はいらないようだ。

 「リュートの為に私は勝つ!」

 男達がクリアの逆鱗に触れた事により、予選Hブロックもクリアの勝利であっさりと幕を閉じた。
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