異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第19章 最強の証篇

第234話 破壊と狼と謎の男と獣人

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 いよいよ本選が始まる。まず第一試合は、コットン対アイティオだ。いくら実力が未知数のコットンと言えども、勇者のアイティオ相手では厳しいだろうか。この試合、どっちに転ぶのだろうか。

 フィールドに並ぶ二人が向かい合っている。

 「あんたにあたしの相手が務まるのかい?」

 「我は天狼だ。勇者如きに負けはせんぞ?」

 「いいねぇ…そう来なくっちゃ面白くない」

 「カーン!」

 試合開始を告げる鐘が鳴り響く。

 「最初から飛ばしていくよ!」

 アイティオは背負っていた神斧プロキオンを取り出す。そして、有無を言わさず、コットンに振り下ろす。

 「むっ?危ないではないか」

 コットンは難なくその攻撃を避ける。勇者の攻撃はやはり凄まじく、砂煙が舞い上がる。

 「おらぁ!」

 今度は左から右へ斧を振り回す。

 「ふん!甘いわ!」

 ガキィン!コットンは斧に噛みつき、止めた。

 「やるじゃないか!なんて言う顎をしているんだ!」

 「この馬鹿でかい斧を喰らってやるわ!」

 コットンは斧を噛み砕こうとするが、斧はびくともしない。

 「何故だ?何故喰えないのだ?」

 「この斧はただの斧じゃない。神斧なのさ!神から与えられた神器を簡単に砕くことなんて出来ないのさ!おらぁ!」

 コットンが噛み付いた状態のまま、再び斧を振り上げそのままコットンは地面に叩きつけられた。

 「神の力か…不覚…」

 あまりの衝撃にコットンは気を失った。第一試合はアイティオの勝ちである。

 第一試合が終わり、すぐ様第二試合が始まる。ミスターKと、エストという猫の獣人がフィールドに現れた。

 「ほ、本当にやるんですか?ミスターKさん?」

 「…」

 ミスターKは無言で頷く。

 「カーン!」

 試合開始の鐘がなる。

 「仕方ないので、行きますよ?はぁぁぁぁ!」

 獣人がミスターKに殴り掛かる。

 「…」

 ミスターKは何もせず、ただただ回避を繰り返す。

 「くっ…当たらない…」

 あの獣人の動きもなかなかのものだが、それをものともしないミスターKはやはり只者ではない。

 それにしてもミスターKの動きは妙だ。獣人の拳は当たるように見えて当たらない。ミスターKは少し体を捻っているだけだ。あの避け方では普通は当たる。しかし、ミスターKには当たらない。あれでは避けているというより、ように感じる。

 「ならば…これでぇぇぇぇぇぇぇ!」

 今までとは比べ物にならない速度の拳がミスターKに飛んでいく。

 「!?」

 ミスターKは少し驚いたような仕草をし、懐から何かを取り出す。それを適当に前に投げる。その謎の物体は何故か吸い寄せらるように獣人に当たる。

 「うっ…」
 
 ガバッ!意識を失い、倒れた獣人をミスターKが掴んだ。

 「俺の勝ちでいいな?」

 ミスターKが言葉を放った。やはり男性のようだ。第二試合はミスターKが勝利した。

 画して、二試合が終わって次はいよいよ俺の番だ。ユリウス、決着を付けよう。

 俺はフィールドに向かうのだった。
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