異世界を統べるのは人ではなく竜だ

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第3章 爆剣鎧竜の探索篇

第36話 職

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 適性診断を終えて、再び街の探索を再開する。

 人間になったのだ、これからの旅路で必要になる道具も増えてくるだろう。

 「ここは…道具屋か」

 気になったので、中に入ってみる。これから必要になりそうなものはここにあるのだろうか…。

 「リュート!これ、便利じゃない?」

 クリアが見つけたのは謎の布の袋だ。しかしそれは、ただの袋では無かった。収納袋インベントリと呼ばれるその袋は、様々な物(生物は不可)を収納出来る、冒険者には必須のアイテムだ。お金を入れれば財布代わりにもなるし、持っていて損は無い。以前は次元操作の力を使って擬似的なアイテムボックスを使っていたが、それが失われた今こそ持っておいた方がいいだろう。

 「よし、買っておこう。他に何か欲しいものはあるか?」

 「後は装備かな?」

 「確かにそれは大事だな」

 道具屋を後にして、装備屋へ向かう。

 「俺は防具を整えるか」

 実は俺は使える武器を持っている。神刀・無限白夜と魔銃コロナである。何故かこの二つの武器はアル大陸から持ち込むことが出来たのである。だから、俺は防具を揃えるだけで良い。

 「クリアはどうする?」

 「私は僧侶用の装備かな?」

 クリアは診断結果を踏まえ、僧侶の道に向かうようだ。

 「私はどうしましょうか…」

 オリアナは何を買おうか悩んでいた。俺はまずその格好をどうにかした方がいいと思うのだが、本人が気に入っているようなので、口出しはしないことにする。

 「そうですね…踊り子は私には似合わないと思うので、魔物使いを目指します」

 いや、オリアナよ…。君は十分すぎるくらい踊り子に向いていると思うのだが…。まぁ本人の意思を尊重した方がいいのだろう。

 「俺は何を目指そうか…」

 俺の武器的には侍や武士と言ったところだが、ここは異世界、そんな職は無い。

 「まぁ無難に魔法剣士ということにしておくか」

 実際、アル大陸では魔法を中心として戦っていたような気がするので、戦闘的には何の問題もないだろう。

 ジョブというものは本人の意思で、定めることができる。そういった、その職にあった装備を身につける事で、その職が体に定着していく仕組みだ。
 ゲームで例えれば、その人が適性が無い職はジョブレベルが0。何かしらの適性があれば、その職のレベルは1となる。そして、その職を体に定着させていくと、ジョブレベルも上がって行くと言った感じの仕組みだ。

 「よし、宿に戻ろうか」

 「うん!」

 「そうですね」

 必要なものは予算内で買い揃えることが出来た。既に日が暮れたので、宿に戻ることにする。

 「…」

 「…」

 珍しく二人が何も会話していない。これからの事で緊張しているんだろうか。待ち望んだ人間の体だ。たっぷり楽しませて貰おう。

 こうして、リュート達の長い夜が幕を開けるのだった。
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