異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第4章 人と竜の狭間篇

第45話 黒の竜

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 リュートが起こした大爆発は、ハーパー達の元へも伝わっていた。

 「何だこの爆発は!」

 「これも灰喰竜の力なのか!」

 兵士たちが騒ぐ中、ハーパーはこの爆発が何なのかを理解していた。

 (これが、あの黒い竜の力か…。これほどまでの力とは…)

 「総員!城へ帰還する!新たな対策が必要だ」

 「了解しました!」

 そんな中リュートは、爆発の勢いに乗じて、灰喰竜の縄張りから脱出した。

 「うおぉぉぉぉ!勢い強すぎた!」

 爆風に吹き飛ばされるような形で、クリアとオリアナの元まで向かう。

 「大丈夫、リュート?」

 「あ、あぁ…何とか無事だな」

 「あの七色の罪竜を退けるなんて、リュートさんはやっぱり強いですー!」

 「よし、魔力が戻るまで何処かで大人しくしよう」

 「了解」

 「了解しましたー」

 先程の灰喰竜の戦闘で使った魔力はまだ回復していないので、とりあえずこの場から離れて回復することにする。二人を抱えて、空へ飛び立つ。とは言ってもかなり低空飛行だが。まぁ移動するにはこれが一番早い。

 そんな黒いドラゴンが、ハーパー達の頭上を飛び去っていく。

 「な、何ですかあのドラゴン!」

 「あんなのが居たのか!」

 「しかも、兵長あの色はまさか!」

 「あぁ。だが何故か、人の姿をしていた」

 「それは、一体どういう…」

 「それも含めて王に報告するぞ」

 「はっ!」

 ハーパー達はセールイ王国の城へ帰還する。

 「戻ったかハーパー」

 玉座にはいかにも王といった顔つきで、少し太った老人が座っている。この国の王、セールイ四世である。

 「はっ!申し訳ございません!王の任務を成し遂げることが出来ませんでした」

 「そうか…それは残念だ」

 「しかし、お耳に入れて頂きたい情報が」

 「何だ?」

 「灰喰竜の元に黒き竜が現れました」

 「何だと!」

 王は驚きで立ち上がる。

 「それは確かなのか?」

 「はい。撤退する兵も同様に黒い竜を目撃しております」

 「わかった…。有意義な情報だ、今回の失敗は不問にする」

 「有り難きお言葉!」

 「下がれ」

 「はっ!」

 ハーパーは王の前から去る。

 「王よ、遂に黒竜が現れましたか…」

 王の近くにいた側近が王に近づく。

 「そのようだな…」

 「このままでは、不味いのでは?」

 「その通りだ。兵士よ!」

 「はい!」

 王の警護をしていた兵を呼び寄せる。

 「各国に通達せよ。この大陸に『災厄の化身』が現れたと!」

 「はっ!」

 兵士は急いで各国に伝書を送る。

 「『黒き竜、怒りて悉くを滅ぼし、繁栄は終焉する』。大預言者の言葉通りなら、この国だけではなく全てが終わる。その前にどうにかしなくては…」

 こうして、各国にも黒い竜の存在が知れ渡った。この黒い竜は『黒滅竜ブラックドラゴン』と呼ばれ世界中に広まることになる。
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