異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

文字の大きさ
363 / 529
第4章 人と竜の狭間篇

第46話 七つの国

しおりを挟む
 灰喰竜との邂逅より数時間、リュート達は滝のほとりで一息ついていた。

 「ふぅ…魔力を使いすぎた…」

 「大丈夫?リュート」

 「ゆっくり休んでくださいねー」

 「ありがとう二人とも」

 俺の所持している神刀・夢幻白夜には、『夢幻』というスキルがあり、効果は対象をまったく気づかせないほど精密で、リアルな夢を見させるというものだ。アル大陸に居た頃ならこの技を使ってもなんとも無かった。昔の俺はこれを連発しても大丈夫なくらいの魔力はあったということだ。

 「よし…」

 休息してだいぶ時間が経った。これならばまたしばらく人間体で居られるだろう。

 「変化!」

 再び人間の姿に戻る。

 「もう大丈夫だ。行こうか」

 灰喰竜と出会ったのはセールイ王都の北東辺り。今俺らが居るのが、さらにそこから南下した辺りだ。これより下に行くと、大陸最大の国家「アスール」がある。せっかくだからそっちに行って見るのも良いのかもしれない。

 「アスール国に行ってみようか」

 「わかった」

 「了解ですー」 

 ここで、全ての国について改めて確認してみる。
 このエル大陸には、七つの国家が存在している。先程俺らが居たのが、大陸のほぼ中心にあるセールイ王国。セールイ王国の西にはベルデ王国があり、東にはロート帝国という国家がある。そしてその南は全てアスール連合国の領土であり、アスールは最大の領地を誇る。
 セールイ王国の北東にはヴァイオレット王国があり、北西にはジョーヌ帝国がある。そして、大陸の最も北にはヴァイス国がある。
 この大陸の七つの国はこのような感じだ。

 その中で最も大きいアスールに向かえば、俺にとってもかなり有益な情報を掴めるかもしれない。

 三人でひたすら南下する。道中現れるモンスターを倒しながら進む。クリアも戦えるようになったので、戦闘はかなり楽になった。

 そして、既に日が落ち夕暮れになった頃、アスール連合国の国の一つ、「ブルータス」に辿り着いた。

 「ふぅ…今日はこの国で一泊しようか」

 「うん。そうだね」

 「わかりましたー」

 国の出入口に相変わらず門番が居た。

 「セールイから来た冒険者パーティなんだが、この国に入るには何か必要か?」

 「いえ、特に何も必要はありません。しかし、一応きちんと証を装備しください」

 「あぁ。わかった」

 「ようこそブルータスへ」

 やはりか。薄々勘づいてはいたが、この大陸には奴隷文化が存在しているようだ。セールイには二日ほどしかいなかったあまり目には止まらなかったが、この国に入って周囲を見渡すと、何らかの首輪や腕輪を付けている者がいる。それが恐らく奴隷なのだろう。どうやら、セールイとアスールは奴隷の待遇が割と良い様子で奴隷にも関わらず綺麗な見た目をしている。他の国ではこうはいかないのかもしれない。

 「リュート?どうしたの?」

 「いや、なんでもないよ。宿を探そうか」

 奴隷か…。その言葉を聞いてあまり良い気はしない。俺の中でこの国々に対する嫌悪感が植え付けられたのであった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

処理中です...