異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第4章 人と竜の狭間篇

第47話 街のうわさ

　アスール連合国のブルータスで一泊した翌日。俺たちはこの街を探索する事にした。なぜかと言うと、俺の完全な変化へのために情報を仕入れなければならないからだ。何か俺のメリットになるような有益な情報を探さなくては。

　「うーむ…何か有益な情報は無いか…」

　適当に歩き回っていると、冒険者の間でのうわさが耳に入ってきた。

　「なぁ、お前知ってるか？」

　「何をだ？」

　「ここから南東に行った場所に、『ブルース』という国があるだろ？」

　「あぁ、あるな。それがどうしたんだ？」

　「その国に居る魔法使いは魔女と呼ばれていて、『あらゆるものを反転させる』っていう能力を持っているらしいぜ？」

　何だと？あらゆるものを反転させる能力だと？

　「それって凄いのか？」

　「おい！お前は馬鹿か？あらゆるものを反転させるということは、その人の性別や性格も反転出来ちまうという訳だ」

　「へぇ…そいつは恐ろしいな」

　そんなことを言いながら、二人組の冒険者は通り過ぎて行った。

　なるほど。あらゆるものを反転させる能力か…。その魔法使いに頼めば、俺の種族を竜から人へ反転させられるかもしれない。これはかなり有益な情報だろう。

　「聞いたか？二人とも？」

　「うん。私も聞いてたよ。その魔法使いに会いに行ってみようよ」

　「私もそれがいいと思いますー」

　「よし。そうと決まれば、さっそく南東にあるブルースに向かうぞ！」

　俺たちはブルータスを出発する。ブルータスからブルースへの道は整備されているので迷子になることもないだろう。道中に現れる、モンスターを倒して進む。道なりに進み、ブルースへは半日程でたどり着いた。

　「ここがブルースか…」

　賑わっていたブルータスと比べると、だいぶのどかな場所だ。冒険者も少し少ないと言った感じだ。本当に魔女なんてこんな場所にいるのだろうか。

　「ここに、その魔女と呼ばれている魔法使いが居るのか？」

　「どこにいるんだろうね？」

　「やはり魔女といえば、人里離れた場所でしょうかー」

　オリアナが言うように、俺の魔女のイメージも人里離れた山の中とかでひっそりと暮らしているイメージがある。

　とりあえず、街の中を探索してみる。
　
しばらく歩いていると、明らかに魔女っぽい家が郊外に建っていた。

　「ここ…だよな？」

　「多分あってるとおもうよ」

　「すみませーん。誰かいますか？」

　中に人が居ないかどうかを確認してみる。

　「なんじゃ？わしは忙しいんじゃが？仕方ないちょっと待っておれ…」

　魔女の家の扉が開く。家の中から現れたのは、小さな子供だった。