異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第6章 隣国との邂逅篇

第69話 憤怒と色欲

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 「何?何故お前がここに居る!」

 ヴォラプは目の前に現れた赤いドラゴンを見て驚きの声を上げる。

 「久しぶりだなヴォラプ。今はその女の中から話すことで精一杯みたいだがな」

 「ブレイズ!お前は南の赤の国に居るんじゃなかったのか?」

 「そんな時期もあったな。だが、今の俺はこいつの仲間の使い魔をやってるんだ」

 「使い魔?誰かに従ったりするのを最も嫌いとしたお前がか?」

 「ふん。俺も変わったということだ。お前は相変わらずみたいだがな」

 ブレイズの口調を察するにどうやらこの二体は面識があるようだ。

 「ブレイズ?お前、こいつの面識があるのか?」

 「あるも何も、俺たち七色の罪竜は兄弟みたいなものだ。全員が顔見知りだぜ?」

 「で?そのお前が何故私の前に立つ。私の野望は全人類を一つにすることだ。お前の望みは弱者を虐げる強者に怒ることじゃなかったのか?私とお前がここで交わる必要は無いはずだ」

 「は?何言ってんだ?テメーがその強者になってんだろうが」

 「何?」

 「その体はテメーごときが好き勝手にしていいような体じゃないんだよ!そうだよなリュート!」

 「あぁ。そうだ。今の今まで彼女は自分のために時間を使って来なかったんだろう。そんな彼女はせっかく組んだパーティを解散してでも俺に会いたいと言いここに戻ってきたんだ。そんなニナの自由を奪うなんて俺は許せないぜ」

 「抜かすな!私は神に造られた七色の罪竜の一角、紫色竜ヴォラプだぞ!人間風情が指図していい相手だと思っているのか!」

 「はっ!某脳しか頭にないクズ野郎はこれだから…。リュート!遠慮することは無い!あいつをぶっ倒してやれ」

 「そうしたいのは山々なんだが、ニナの体を傷つけるわけには…」

 「ハッハッハ!そうだ!今の私はこの女と一心同体。私を傷つけるということはこの女を傷つけるということだ!お前たちは私に手も足も出せないということだ!」

 「はー…まったく…。お前は本当に成長してないな… ?」

 「何だと?」

 「封印されてるお前には使えない技を見せてやるよ!心理の扉サイコロジーゲート解放オープン!」

 ブレイズがそう唱えると、ニナの体から光が溢れ出しリュートを包む。

 「リュート!この技は相手の深層心理に飛び込み、内部から攻撃する技なんだが、逆を返せばあの女を助けることもできるはずだ。リュート、あの女はお前に会いたがってたんだろ?行ってやれ!」

 「ブレイズ!恩に着る!」

 「そんなことを私がさせるとでも?この体でも魔法は使えますよ!色欲の矢ラストアロー!」

 ヴォラプは指を突き出しそこからピンク色の矢のようなものをリュートに目掛けて発射しようとする。

 「この矢に撃たれたら、私の言いなりになるでしょう!これで…」

 その瞬間。ヴォラプの体は動かなくなる。

 「な…体が…動かない…」

 「重力操作グラヴィティプロセス…リュート…行って!」

 「ありがとうクリア!行くぞニナ!待ってろよ!」

 リュートは光に包まれ、ニナの心に入っていった。
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