異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第6章 隣国との邂逅篇

第72話 突然の自由

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 「はっ!」

 ニナは突然自宅のベッドの上で目を覚ます。ニナは先程、夢の中のような場所からリュートの手によって救い出されたのだった。

 「わ、私は…一体…?」

 「大丈夫?体の具合はどう?」

 目を覚ますとニナの目の前にはクリアが居た。クリアは倒れたニナをニナ宅のベッドまで運んだ。

 「はい…私は何とか…。リュートさんは…」

 「もちろん無事だ」

 「ニナさんは、襲撃者が来てから数時間くらい寝ていたんですよ」

 クリアの隣にはリュートとオリアナも居た。紫色竜を倒したリュートは追い出されるようにニナから脱出し、今に至る。

 「リュートさん。私の中の竜は…」

 「当然倒した」

 誰もが歯が立たなかったあの七色の罪竜セブンシンズをこんなに易々と撃破するなんて、やはりリュートさんはとんでもない人だ。

 「ありがとうございます。リュートさんにはなんてお礼をしたらいいか…」

 「お礼なんて気にするな。俺がやりたくてやった事だ。ニナは気にしなくていいよ」

 ニナがベッドから起き上がる。

 「あっ…体の術式が消えてる…。本当に私、自由になれたんだ…」

 「そうだ。竜から解放された君はもう何にも縛られることは無い。これからはニナの好きなように生きるんだ」

 「私の好きなように…」

 ニナは今の自分のことで精一杯で、将来の事など考えたこともなかった。突然訪れた自由に少し困惑気味だ。

 「まぁ今すぐに考えることは無い。時間はたっぷりあるんだ。じっくり、ゆっくりと考えるといいよ」

 すると、ニナは思い立ったような顔でリュートの方を向く。

 「私、リュートさんと一緒に行きたいです。私をリュートさん達の旅に同行させていただけませんか!」

 今までには無かった、熱意の籠った言葉だ。

 「一応言っておくが、俺達の旅はかなり遠い場所を目標としている。ニナはこの大陸から出る覚悟はあるか?」 

 「はい!もちろんです。リュートさんが許してくれるならどこまでもついて行きたいです…いや、着いていきます!」

 リュートはクリアとオリアナの方を向く。二人は笑顔で頷いていた。

 「よし、わかった!ニナ!これからよろしくな!」

 こうして、新たな仲間「ニナ」が加わったのだった。

 「さて、これからどうするか」

 「私、王に紫色竜が討伐されたことを報告してきます」

 「確かにそうした方がいいかもな」

 そんな会話をしていると、ニナの家に何者が近づいてくる。

 「また襲撃者か?」

 リュートは急ぎ、リューコの姿に変化する。

 「いや、これは…」

 「ニナさん、失礼します。王の指示でこちらまで参りました」

 そこに居たのはこの国の兵士だった。
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