異世界を統べるのは人ではなく竜だ

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第7章 集いし者篇

第78話 既に死んだ者

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 ゆっくりとした時間が過ぎ、とうとう朝日が昇る。

 「おっ、朝か…」

 眠気は感じず、体調も万全なので翠怠竜とも存分に戦えるだろう。

 「いよいよか…」

 「あぁ。ブレイズ、お前もしっかりと働いてくれよ」

 「もちろんだとも。マスターを守るのが俺のやるべき事だからな」

 そんな会話をしていると、三人が入っていたテントに動きがある。ガサガサと誰かが動いたような気がした。

 「おっ誰か起きたかな?そろそろいい時間だし、みんなを起こそ…」

 リュートはテントの扉を開け、中を覗く。そこには全裸で横たわる二人の美女が無防備な姿で寝ていた。流石にニナは服を着ていた。真ん中にオリアナがおり、クリアとニナを抱えるように寝ていた。

 「うおっ…」

 あまりの光景に思わず息を飲んでしまった。

 「お、おーい。そろそろ行くぞー」

 「う、うーん…あ、リュート…おはよう…」

 「あ、おはようございますー」

 クリアが起き、その後にオリアナが起きた。二人が服を着始めた辺りでニナも目が覚める。

 「あ、おはようございますリュートさん、皆さん」

 「おはよう」

 「おはようニナ」

 「おはようございますー!ニナさん」

 三人が出てくるまで体を少し動かして待つ。

 「リュートさん。昨日はありがとうございました。お陰様でぐっすり眠ることが出来ました」

 「それは良かった。二人も体調はバッチリか?」

 「うん。バッチリ!いつでも行けるよ」

 「私も元気いっぱいですよー!」

 「よし、じゃあ腹ごしらえをして先に進もうか」

 昨日取っておいた食料で腹ごしらえをした後、再びベルデ王国へ足を進める。

 ベルデ王国へ向かう道中、俺は気になっていた事をニナに聞くことにした。

 「そうだ。そう言えばこの大陸にも勇者はいるんだよな?一体どんなやつなんだ?」

 かつてミハエルとの情報交換でそれは聞いていた。しかし、どんな勇者が居るのかまでは知らなかった。

 「そう言えばリュートさん達は外の大陸からいらしたのでしたね。しかし、勇者ですか…」

 ニナの言葉が濁る。

 「どうしたんだ?」 

 「リュートさん。勇者は数年前に亡くなったきり、存在していないんです」

 「え?」

 勇者が居ない?それはどういうことなのだろうか?

 「リュートさん。この大陸にかつて存在した勇者はこの大陸にも存在した魔族を根絶やしにして世界を統一しました。それが、私が生まれる何十年も前の話です。その後、国は七つにわかれました。七色の罪竜が暴れ始めたのもこの時期ですね。魔王を倒した勇者は既に老衰、七色の罪竜に抵抗できる勢力は無く、今に至るというわけです」

 「何故新たな勇者が生まれないんだ?」

 「あくまで予測ですが、勇者は魔王を倒す者。魔王が不在だと勇者も現れないのではないでしょうか」

 なるほど。それは理にかなっている。まさか勇者が既に居ないとはな…。

 そんなことを話しながら俺たちはベルデ王国へ向かう。
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