異世界を統べるのは人ではなく竜だ

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第8章 自国の強化篇

第106話 国の裏切り

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 リュートは傷を負ったハーパーを治療した。

 「申し訳ございません。王の手を煩わせてしまって」

 「気にするな」

 「私の話しを聞いていただけますか?」

 「構わないよ」

 「ありがとうございます。私はこの国に生まれてからずっとこの国の為に生きてきました。この国が正しい、そう思っていました」

 リュートは黙ってハーパーの話しを聞く。

 「しかし、私はたった今、信じていたものに裏切られました。私は何のために戦っていたのでしょうか…」

 「そうだな…。ハーパー、お前が守りたいものは何だ?」

 「私が守りたいもの…ですか?」

 「ハーパーはその守りたいものの為に戦って来たはずだ」

 「私は…」

 そこでハーパーは考え込んでしまった。

 「じゃあこれからは俺の国で働いてみないか」

 「リュート王の国ですか?」

 「あぁ。生憎、兵士が不足していてな。ハーパー程の実力者に来てもらえれば百人力だ」

 「しかし、私は…」

 「ハーパーの守りたいものを守らせてもくれない。それどころか、その思いを踏みにじり、裏切ったこの国でまだ戦い続けたいか?」

 「よ、よろしいのですか?私なんかがリュート王にお仕えしても?」

 「大丈夫だ」

 「ありがたきお言葉!リュート王にお仕え致します!」

 ハーパーは自分のことを裏切った国など見限り、リュート国の兵士として仕えることとなった。

 「さて、ハーパー」

 「はい、どうしましたか?」

 「この国の情報を教えてくれ」

 「かしこまりした」

 リュートはハーパーから、この国の情報を聞いた。その後、作戦などを考え夜が明けた。

 二人の王は無傷で普通に起きてきたリュート達に驚きを隠せない。

 「馬鹿な…何故まだ魔王が生きている?」

 「どうなっている?」

 「あぁなんか部屋に入って来たは俺達が始末しておいたぜ?もう少し城の警備を手厚くした方が良いんじゃないか?」

 「そ、そうだな。これはすまないことをした」

 「まぁ美味い食事と寝床を貸してくれたからお互い様だ」

 「そう言って貰えるとこちらも助かる」

 「じゃあ世話になったなセールイ王、今度は是非うちの国にも来てくれ。ここまでとは行かないが歓迎するぜ」

 そう言い残し、リュート達は国に去っていった。

 「クソ!魔王め!一体どんな方法を!」

 「お前たちの暗殺者が不甲斐ないからだろう?」

 「セールイ王!ご報告があります!」

 「何だ?」

 「暗殺者がついでに仕留めようとして、仕留め損なったハーパー兵長とその部下がリュート王の国に寝返りました!」

 「やってくれたなダム!お前の暗殺者のせいで、我が国の貴重な戦力に見限られてしまった」

 「ぐっ…こうなったら仕方ない…。まだ奴の国は出来上がったばかり、攻め入る隙は多いにある。セールイ!今こそ剣を摂る時だ!」

 「そうだな…ここまで来たら後には退けない。全軍!戦闘態勢!魔王の国、『フリーダム』に攻め入るぞ!」

 こうして、戦争の火蓋が切って落とされた。
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