異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第9章 魔王と灰の国篇

第107話 隣国、襲来

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 リュート達がセールイから戻って数日、その知らせは突然訪れた。

 「リュート王!」

 つい先日、リュート王の軍門に下ったハーパーがリュートの元へ駆け込む。

 「どうした?何事だハーパー?」

 「セールイがリュート王に向けて宣戦布告をしました!」

 「宣戦布告だと?やはり来たか…」

 「セールイは我が国に攻め込んでくるつもりのようです」

 近くにいて話を聞いていたイモージェンが口を開く。

 「リュート王、どうするのじゃ?まだ我が国の兵士は鍛え始めた者も多い。何も対策しないわけには行くまい?」

 「そうだな。挑んでくるなら返り討ちにするしかない」

 そこへニナが偵察から戻ってくる。

 「リュート王、報告します。敵の数は数千。我々が数的不利です」

 「なるほど…。サレナ!」

 「はっ!」

 サレナがリュートの元へ駆けつける。

 「リュート様。言葉は不要ですわ。そのくらいの数、私一人で十分ですわ」

 「な!サレナ兵士長!本気ですか!」

 ハーパーが驚きの声を上げる。

 「リュート様。此度の戦い、私に任せて貰ってもよろしいですか?」

 そう言うサレナの目はやる気に満ち溢れていた。

 「もちろんだ。頼んでいいかサレナ?」

 「はい!私が兵たちを退けてみせますわ!ハーパー様!」

 「はい!」

 「ハーパー様の部隊にもお願いしたいことがありますわ」

 しばらくして、セールイの兵たちがリュート国の近くまでやって来た。

 「ん?全体止まれ!」

 兵士たちの前に立ち塞がっているのは、一人の女性だ。

 「皆様!私はフリーダムの兵士長、サレナ・ホワイトハートですわ!今ならまだ引き返せますわ!どうか無駄な血が流れる前にお引き取り下さいませ!」

 「断る!我々に忠告は不要だ!」

 「へっ女が兵士長とは、あの国の兵力もたかが知れたな」

 「しかも、中々の美人だしな」

 「我々は貴様らを殲滅する!」

 セールイの兵士達はサレナの忠告を無視して進軍する。

 「忠告は致しましたわ」

 サレナが剣を構える。

 「ふん!一人で何が出来る!女だろうが容赦はしない!総員!かかれ!」

 「「「うおぉぉぉぉ!」」」

 桁外れの人数がサレナの元へ詰め寄る。

 「白き怒涛の旋風ホワイト・サイクロン!」

 サレナが剣を一薙ぎする。あまりに早すぎる剣筋は、時間を置き去りにした。

 「何をしているんだ?」

 「今のうちに仕留めろ!」

 しばらくした後、サレナの前方には斬撃の竜巻が発生し、兵士たちの陣形は一瞬で崩壊した。

 「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」

 「何だこの力はぁぁぁぁぁぁ!」

 「リュート様に反旗する不届き者はお引き取り願いますわ」

 サレナの戦いが始まったのだった。
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