異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第9章 魔王と灰の国篇

第111話 乱戦

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 どこからともなく現れた灰喰竜にセールイの兵士たちも慌てふためく。

 「何故こんな所に七色の罪竜セブンシンズが!」

 「まずい逃げ場が無い!」

 「慌てるな!我々の数で押せば灰喰竜など恐れるに足らん!」

 「ほう?汝らが我の餌になると?いい心がけだ」

 その圧倒的気迫に、セールイの兵士たちは足がすくんだ。

 「何だ?攻撃してこないのか?つまらん奴らだ」

 灰喰竜が兵士たちに近づく。すると、先程まで灰喰竜の足元に茂っていた草がどんどん無くなっていく。

 「邪魔をするな食事の時間だ。魂喰らいソウルイート

 セールイの兵士たちからエネルギーのようなものが溢れ出し、灰喰竜がそれを束ねて丸呑みにした。

 「ぎゃあああああ!」

 「命が食われ…」

 魂喰らいを受けた兵士たちは一瞬で白骨化した。

 「リュートには聞いていたが、あれが灰喰竜…。なんて強大な力だ」

 「あの強さ…本物ですね」

 ミラとルージュは灰喰竜の攻撃を目の当たりにしていた。

 「総員、撤退だ!まだお前たちでは相手にならない!」

 「しかし、隊長!やつは…」

 「大丈夫だ。援軍が来た」

 ミラがそう言うと、フリーダム城の方から二つの影がこちらに向かって飛んでくる。

 「流石はブレイズ。目標地点ぴったりだ」

 「まぁ伊達に七色の罪竜ではないからな」

 ミラたちの目の前に現れたのは、赫怒竜ブレイズの上に乗ったリュートだった。

 「リュート!来てくれたのか!」

 「あぁ!こいつはかなりの強敵だからな。ルージュ!兵たちを頼む」

 「了解しました!」

 「皆さん!リュートさんが来ればもう大丈夫です!退きますよ!」

 ルージュはミラの率いていた兵士たちと共に撤退していく。

 「ほう?汝はあの時の」

 「覚えてたようで何よりだ」

 「相変わらず何でもかんでも喰い散らかしやがってバイト」

 「我の名を気安く呼ぶなブレイズ?汝は人間の味方をするようだな」

 「あぁ。その方が気分が良いからな!」

 「ふん!汝は確かに手ごわいが我が今の今まで蓄えてきた魔力は相当なものだ。汝らが束になった所で、我には勝てん!」

 突然、ブレイズの足元から骨が突き出す。ブレイズはそれを飛んで回避する。

 「すぐに不意打ちしやがって…。だからテメーは気に食わないんだよ!怒り20パーセント・熱域ヒート・ゾーン

 ジュウゥゥゥ!ブレイズが発する熱気で骨が融解する。

 「熱吐きしか脳の無い汝に言われる筋合いは無い」

 「ミラ。あの骨には当たるなよ」

 「あぁ。わかっている」

 「ふん。三対一で我に勝てるとは思わない事だ」

 灰喰竜バイトとの戦いが始まったのだった。
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