異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第12章 罪竜と素質解放篇

第150話 勤勉、解放

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 リュートとルージュは二人、再びベルデ王国にやって来た。

 「リュートさん…本当に二人で大丈夫でしょうか…」

 「俺とルージュなら大丈夫さ」

 ベルデ王国を抜け、再び翠怠竜と対峙した場所へ戻ってきた。

 「確か、この辺りだったよな?」

 「はい。その筈ですが…」

 その場にあるのは一本の木、のみで他に何も見当たらない。

 「よく来たね、僕を倒したもの達よ」

 どこからともなく声が聞こえてくる。その声を聞き間違える筈がない。この声の主は翠怠竜レイズの声だ。

 「どこに居る?」

 「今お前らの目の前にいるだろう?」

 「まさか…」

 バキバキッ!リュート達の目の前にあった一本の木が竜の形に変化していく。

 「待ってたよ。竜人と勤勉の素質持ち」

 「待ってたとはどういう事だ?何故木になっていたんだ?」

 「簡単な話しさ。そこの素質持ちに焼き尽くされたが、七色の罪竜は力を継承しない限りは死なない。焼けカスが一箇所に集まり、そこから僕という木が生えたのさ。そして、僕は木から竜になり、今に至る訳さ」

 「前回出会った時と比べて随分友好的だな」

 「まぁブレイズに感化されてしまったからね。今の僕に全盛期ほどの力は無い。だから、君たちの力になろうと思うよ」

 「良いんですか?力を私に継承したらあなたは…」

 「既に一度死んだ身だ。今更思い残すことも無い。そんなことより、僕の好きな森や草原の緑が外敵に侵されることの方がゆるせない。だから、僕の力を君たちの役立ててくれ」

 「ブレイズみたいに俺たちに協力するという方法もあるぞ?」

 「いや、良い。だって僕の持つ罪は『怠惰』。正直戦うのは面倒くさい。だから、気にしないでくれ」

 「そこまで言うならわかった。ルージュもそれで良いか?」

 「はい。翠怠竜さんの意志を尊重します」

 「じゃあ、今から勤勉の素質持ちに継承を始めるぞ?僕の力で素質持ちに心理障壁決壊を発生させる」

 「そんなことが出来るのか?」

 「僕が出来るのはあくまで君たちのサポート。心理障壁決壊が出来るかは本人次第さ」

 「構いません。お願いします」

 「わかった。行くよ!」

 レイズによって二人はルージュの心象世界に飛ばされる。

 「う、うぅ…」

 ルージュの心象世界のルージュに怠惰の塊のようなものが押し寄せる。ルージュの心は次第に怠惰に染まっていく。

 「なるほど。これを乗り越えればきっと…」

 常人ならば秒も持たず怠惰に堕ちてしまうだろう。しかし、ルージュは違った。

 「私は怠惰なんかになりません!私はもっともっと学んで強くならなくちゃ行けないんです!見ていて下さいリュートさん!」

 『心理障壁決壊を確認しました。素質解放が発生します』

 ルージュの体が変化し始めたのだった。
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