異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第12章 罪竜と素質解放篇

第151話 怠惰、燃消

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 ルージュの素質が身体から溢れ出す。

 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 ルージュの体から、魔力の光が溢れ出し、リュートとルージュは心象世界から脱出する。

 「どうやら、無事に素質解放出来たみたいだね」

 「すごい力だ…」

 ルージュの姿が変化していく。目の色が変化し、髪の毛は炎のように揺らめく。服が燃えるように魔力に変換されていく。裸になったルージュに魔力の光が纏わりつく。その光は炎のように変化し、ルージュの体に点火する。炎が服のようになり、ルージュの胸と股で揺らめく。手から魔力の炎が絶えず溢れ出し、常に燃えているような状態になった。

 「凄い力です…これが、素質解放の力…」

 「さぁ舞台は整った。後はその炎で僕を焼き尽くせば良い」

 「本当に良いんですか?」

 「構わない。さぁやれ!やるからには全力でやるんだ!」

 「分かりました。行きます!」

 ルージュが右手の人差し指を上に向ける。すると、ルージュの身体から溢れだしている魔力の炎が指先に集まり始める。その炎は固まり、球状になって巨大化し始めた。

 「勤勉の炎球インダストリー・フレア!」

 ルージュが指を前に倒すと、巨大な炎球がレイズに落ちる。レイズの体は燃え始めた。

 「それで良い。これで僕もようやく本当の意味で休めるってものだ」

 体を燃焼させながら、レイズは次第に崩壊していく。それと同時にルージュの体が元の状態に戻っていく。

 「さぁこれで素質持ちのキミにも僕の力が使えるようになるはずさ。僕の力は植物を操る事じゃない。そっちは魔法の種類さ。僕の持つ本当の力は『順応アダプテーション』。触れたものに擬態したり、環境の影響を無効化できる。試しに地面に触れてみると良い」

 「はい。こうですか?」

 ルージュが地面に触れると、ルージュの体は地面に溶けるように消えていった。

 「なるほど…これは不思議な感覚ですね」

 「良し。これで僕の役目は完全に終わった。その力を活かすも殺すも後は君たち次第だ」

 「あの…」

 「何だ?」

 「ありがとうございました」

 「ふっ。七色の罪竜の僕に礼を言うなんて変わっているな」

 「あなたの死は決して無駄にはしません」

 「逆にしてもらったら困るというものさ。おい、竜人!」

 「何だ?」

 「ブレイズとデザイアに会ったら言って置いてくれ。僕は先に逝くけど、君たちは簡単にこっちに来ないでってな」

 「わかった。その言葉しっかり二人に伝えよう」

 「助かる。では、人間共さらはだ」

 レイズは跡形もなく、燃焼した。

 「終わったな。帰るか」

 「はい。翠怠竜の死を活かす為にも、これからも頑張りましょう」

 「もちろんだ」

 こうして、ルージュは素質解放を済ませたのだった。
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