異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第13章 最後の罪竜篇

第161話 謎の襲撃者

　リュート達はアスールの中心部、ブルーレイの街に向けて出発した。

　「さて、暫くは馬車の旅が続くか」

　「そうだね。一応向こうにはこっちが行くということも伝わってるみたいだしね」

　「流石はイモージェンだ。話が早い」

　この馬車に居るメンバーはリュートとクリア、オリアナ、ブレイズの四人と、馬車を引いてくれている兵士ハーパーだ。

　「リュート王」

　「どうしたハーパー？」

　「本当に護衛などをお付けしなくて良かったのですか？リュート王は一国の主なのですから、何者かに命をねらわれていてもおかしくありませんよ？」

　「だからこそさ。大人数で移動した方が、逆に目立つ。逆に少数で動いた方がこんな所に王が居るなんて思われないだろう」

　「確かにそうかもしれませんが…」

　そんな会話をしていると、リュート一行の前に何者かが立ちはだかる。

　「おい止まれ！この辺りは我々ルイズ盗賊団の縄張りだ！」

　「命が惜しくば、積荷を寄越せ！」

　ルイズ盗賊団と名乗った二人の盗賊がリュート達を遮る。

　「リュート王。あまり人数が少ないとこういう事に巻き込まれる危険性があります」

　「なるほど。勉強になる」

　「おい！何を話している！」

　「さっさと積荷を降ろせ！」

　「生意気な賊だ。この御方を誰と心得る？自由国家フリーダムの王、リュート王にあらせられる！貴様ら賊が気安く会話していいような人物では無い！」

　ハーパーが剣を抜き、盗賊達に突きつける。

　「何？こんなちんけな馬車に王族が乗って居たとは！」

　「こいつは当たりだな」

　「不敬な奴らだ！即刻切り捨てる」

　ハーパーが盗賊達に切りかかる。

　「何っ！」

　ハーパーの攻撃は何故か空を切る。

　「遅いな！」

　盗賊達は人間離れした動きでハーパーの攻撃を避けていた。

　「今度はこっちから行くぜ！」

　「ぐっ！」

　ハーパーは盗賊達の攻撃に押され気味だ。

　「こいつら…！なんて強さだ！」

　「仕方ない。俺が出る！」

　ハーパーの前にブレイズが飛び出す。

　「何だ？次はお前が相手か？」

　「生憎男には興味無い。さっさと消えてもらうぜ！」

　「ハーパー、下がってな。俺の怒りは熱いからな！」

　「炎域フレアゾーン！」

　盗賊達は突然発火した。

　「ぐはぁ！」

　「か、身体が燃える！」

　盗賊達はブレイズの炎に焼かれてそのまま力尽きた。

　「申し訳ないブレイズ殿。私も修行が足りないようだ…」

　「気にしないでくれ。しかし、こいつらは一体…？」

　明らかにこの盗賊達は人ならざる力を持っていた。

　「こいつらの正体を考えても仕方ないな」

　「そうだな。先を急ごう」

　こうして、リュート達は謎の盗賊団の襲撃を受けたのだった。