異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第14章 七大国会合篇

第184話 ベルデ防衛戦、北門

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 サレナ次々と押し寄せる魔物を蹴散らしていく。

 「流石に多いですわ…」

 切っても切っても魔物は減ることなく、波のように押し寄せる。

 「見えましたァ!あそこが我らの目指す場所なのですねェ!」

 「あれは…」

 サレナが見たのは、魔物の群れを率いている、人間だった。

 「おやァ?何やら愚かな者が我々の進行を邪魔しているようですねェ?」

 「何者ですか貴方は!」

 「私は暗黒四天王、アテル。闇の使い様の邪魔者は全て殺しますよォ!」

 不気味な笑みを浮かべた髪が長めの男性は暗黒四天王アテルと名乗った。体からは黒いオーラが溢れ出ている。

 「なるほど。貴方がこの魔物進行の元凶ですわね?私がその野望を阻止しますわ!」

 サレナはアテル目掛けて魔物を切り捨てながら進む。

 「目論見が甘いィ!私の術は貴方より強いのでェ!」

 サレナの背後の北門前に大量の魔物が一瞬で現れた。

 「さァ!幻影ミラージュよ奏でろ死の旋律をォ!」

 「まずいですわ…!」

 サレナは急いで踵を返すが、とてもじゃないが間に合わない。

 「敵に背中を見せるなどォ!愚か者の極みィ!」

 闇の手がサレナの体を縛り上げ、身動きが取れ取れなくなった。

 「ひひィ!捕まえましたァ!そちらの剣は没収させていただきますよォ!」

 サレナの剣がアテルの元へと運ばれていく。

 「さァ!どう料理しましょうかァ!」

 「…」

 「随分大人しいですねェ?今頃北門は崩壊…」

 「オラァ!」

 ボコォン!北門に向かっていた大量の魔物が何者かに吹き飛ばされる。そこに居たのは加速して駆けつけたアイザック王だった。

 「俺が魔物は引き受けた!オラオラァ!」

 「増援ですかァ?でもこの人間はこちらの手に…」

 カチカチ…。サレナを拘束していた腕が次第に凍りついていく。

 「何ィ?」

 「私はこのような所で負ける訳には行きませんの!魔神を倒すその時まで!」

 『素質解放クオリティ・リベレーションが発生します』

 身にまとっていたもの全てが光に変換され、多数の剣に収束していく。サレナは素質解放状態に覚醒した。

 「この力…まさかァ!」

 「貴方達を滅する忠義の力!」

 サレナが指を一本クイッと動かすと、サレナの体の周りを周回していた光の剣の一本が意志を持ったように飛んでいき、サレナの剣を持っていた闇の手を切り裂いた。そして、サレナの剣はサレナの手元へ戻って行く。

 「キィ!忌々しい力めェ!」

 「この国から去って下さいませ!忠義の氷華ロイヤリティ・フリージア!」

 「ぎょえェェェ!」

 アテルはサレナの氷で周囲の魔物ごと凍りついたのだった。
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