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アストラ艦長のランチェスター戦略
第15話 コンビニとポイント
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オイルを濾し終えた俺は、転移装置のことを思い出し、隣にいる油まみれのイカれた女の方に振り向いた。
「そうだ! 忘れてた! エライア、転移装置って、どこへでも行けるのか?」
エライアは、テラテラと光る人差し指を自分の顎に当て、少し首を傾ける。
「え? 転移装置ですか? 座標さえわかれば大抵のところには行けますわよ」
「座標?」
ダメだ。地球の座標なんかわからない。俺はダメ元で、エライアに地球のことを聞く。
「エライア、地球って知っているか?」
「ちきゅう? なんですのそれ?」
「いや、いいんだ。忘れてくれ。くそっ、ルーソンのポイントの有効期限が……」
俺のそのセリフを聞いたエライアが、両手をパンッと合わせた。パンッというより、ベチャッという感じの音だったのは聞かなかったことにしておこう。
「ルーソンって、コンビニのことですわよね? アストラさんも、ポイント集めておりますのね!?」
え? ルーソンあるの!? 守備範囲広すぎない!?
「エライア! そのルーソンの場所を教えてくれ!」
「もちろんいいですわよ。一緒に参りましょう!」
俺はエライアに案内されて、コンビニの前に来た。と、いうか。
ここは倉庫のすぐ裏手だ。
「こんな近くにあったのか……。まったく気づかなかった」
「さぁ! 買い物しますわよ!」
エライアは、俺の手を取り、店の中に入ろうとする。
「ちょっと待て。お前、そんなオイルまみれで店の中に入るつもりか? 迷惑だろ」
「いつも来ているので、大丈夫ですわよ?」
エライアは、ベタベタのテカテカのままで、店の中に入っていく。自動ドアが開くと、店長らしき人が脊髄反射のような速度でモップを手にした。
「いらっしゃいま……。エ、エライアちゃん! き、今日もベッタベタだね」
おい、エライア。気づけ。店長、完全に困っている顔しているじゃないか。レジ前にモップを常備しているコンビニなんて見たことないぞ。防犯用の刺叉に近い扱いじゃないか。
普通は、「今日も可愛いね」って言われる展開だろ。
店内を見回した俺の目が、一枚のポスターに釘付けになった。
「エライア! 見てみろ! ポイント5倍キャンペーンをやっているじゃないか!」
「本当ですわね! お得ですわ!」
俺は、庶民的な姫の様子に驚きつつ、500ヌールピッタリになるよう、カゴに商品を入れていった。
1ヌールは1円くらいの体感なので、計算しやすくて助かる。
宇宙食が380ヌール。なんだかよくわからないPB(プライベートブランド)のお茶が96ヌール。そして10ヌールのスナック菓子3つ。締めて506ヌール。
やはり、地球とは品揃えが違うのだ。
「基本的に宇宙食なんだよな……。おにぎりとか、幕の内弁当とか欲しいよな」
俺のそのつぶやきを聞いていたエライアが、俺の方を向いて口を開いた。
「おにぎり? べんとう? それって美味しいんですの?」
「うまいぞ。宇宙食など比べ物にならないくらいにな」
「わたくし、宇宙食以外食べたことないですわ。食べてみたいですわね」
「ところでエライアは何を買うんだ?」
エライアが俺にかごの中身を見せる。
「これですわよ」
そのカゴの中に入っていたのは、480ヌールの食用油だった。
「エライア、お前……。ポイント集めてるんだよな?」
「そうですわよ? それが何か?」
「あと20ヌールの商品を足せば、ポイント5倍になるんだぞ? 今のままだと4ポイントなのが、25ポイントになるんだぞ? 実質20ヌールの商品がただで手に入るのと一緒だぞ?」
「え? そうなんですの!? アストラ様は難しい計算を一瞬でできるんですのね! すごいですわ!」
この星の人間はどうなっているんだ。こんな簡単な計算もできないのか?
俺がそう思っていると、前からザッツが歩いてきた。その手にはカゴが握られている。
「あれ? お前らも買い物に来てたのか?」
「ようザッツ。あんたは何を買いに来たんだ?」
ザッツはカゴを持ち上げて、俺に見せた。
「これだよ。お茶とマンガ」
「お、お前これ、合わせて498ヌールじゃないか!」
「それが何か?」
「あと2ヌールで、ポイント5倍だぞ! 今のままだと4ポイントなのが、25ポイントになるんだぞ?」
「そうか? まぁいいよめんどくさいし」
もったいない。まぁ、ポイントを集めていない人間には関係ないことだからな。
俺がそう思っていると、ザッツが会計を始めた。
「ポイントはどうされますか?」
「あぁ、これで頼む」
ザッツ、お前……。ポイント集めてるんじゃないか。なんてもったいない。
次は俺の会計の番だ。
「ポイントはどうされ――」
「これでお願いします」
俺は食い気味でポイントカードを渡した。
ピッ。ブブー。ピッ。ブブー。
「あれ? おかしいな?」
店員が、俺が渡したポイントカードのバーコードを読み取ろうとするが、どうも読み取れないらしい。
その時俺は、店員の制服のロゴを見て、衝撃の事実に気づいた。
(あれ? 待てよ? 〝ルーソン〟じゃなくて〝ノレーソン〟じゃないかここ! ミルク缶マークじゃなくてドラム缶だ! しかも、よく見たら〝コンタポイント〟じゃなくて、〝ゴンタポイント〟じゃないか。キツネかと思ったらゴリラのキャラクターだ。紛らわしすぎるだろ!)
当たり前だ。地球と同じコンビニがこんなところにあるわけないじゃないか。何を浮かれているんだ俺は。
つまり、俺が地球で必死に貯めた9800ポイントは、ここではノーバリューという訳か……。
「あ、そのカード使えないみたいなんで、新しくカードを作ってもらえます? あ、今日のポイントから貯めたいので、今すぐお願いします」
俺は店員に、そうお願いするのであった。過去の資産よりも、目先の利益。それが俺、星野明日虎の生き様だ。
「そうだ! 忘れてた! エライア、転移装置って、どこへでも行けるのか?」
エライアは、テラテラと光る人差し指を自分の顎に当て、少し首を傾ける。
「え? 転移装置ですか? 座標さえわかれば大抵のところには行けますわよ」
「座標?」
ダメだ。地球の座標なんかわからない。俺はダメ元で、エライアに地球のことを聞く。
「エライア、地球って知っているか?」
「ちきゅう? なんですのそれ?」
「いや、いいんだ。忘れてくれ。くそっ、ルーソンのポイントの有効期限が……」
俺のそのセリフを聞いたエライアが、両手をパンッと合わせた。パンッというより、ベチャッという感じの音だったのは聞かなかったことにしておこう。
「ルーソンって、コンビニのことですわよね? アストラさんも、ポイント集めておりますのね!?」
え? ルーソンあるの!? 守備範囲広すぎない!?
「エライア! そのルーソンの場所を教えてくれ!」
「もちろんいいですわよ。一緒に参りましょう!」
俺はエライアに案内されて、コンビニの前に来た。と、いうか。
ここは倉庫のすぐ裏手だ。
「こんな近くにあったのか……。まったく気づかなかった」
「さぁ! 買い物しますわよ!」
エライアは、俺の手を取り、店の中に入ろうとする。
「ちょっと待て。お前、そんなオイルまみれで店の中に入るつもりか? 迷惑だろ」
「いつも来ているので、大丈夫ですわよ?」
エライアは、ベタベタのテカテカのままで、店の中に入っていく。自動ドアが開くと、店長らしき人が脊髄反射のような速度でモップを手にした。
「いらっしゃいま……。エ、エライアちゃん! き、今日もベッタベタだね」
おい、エライア。気づけ。店長、完全に困っている顔しているじゃないか。レジ前にモップを常備しているコンビニなんて見たことないぞ。防犯用の刺叉に近い扱いじゃないか。
普通は、「今日も可愛いね」って言われる展開だろ。
店内を見回した俺の目が、一枚のポスターに釘付けになった。
「エライア! 見てみろ! ポイント5倍キャンペーンをやっているじゃないか!」
「本当ですわね! お得ですわ!」
俺は、庶民的な姫の様子に驚きつつ、500ヌールピッタリになるよう、カゴに商品を入れていった。
1ヌールは1円くらいの体感なので、計算しやすくて助かる。
宇宙食が380ヌール。なんだかよくわからないPB(プライベートブランド)のお茶が96ヌール。そして10ヌールのスナック菓子3つ。締めて506ヌール。
やはり、地球とは品揃えが違うのだ。
「基本的に宇宙食なんだよな……。おにぎりとか、幕の内弁当とか欲しいよな」
俺のそのつぶやきを聞いていたエライアが、俺の方を向いて口を開いた。
「おにぎり? べんとう? それって美味しいんですの?」
「うまいぞ。宇宙食など比べ物にならないくらいにな」
「わたくし、宇宙食以外食べたことないですわ。食べてみたいですわね」
「ところでエライアは何を買うんだ?」
エライアが俺にかごの中身を見せる。
「これですわよ」
そのカゴの中に入っていたのは、480ヌールの食用油だった。
「エライア、お前……。ポイント集めてるんだよな?」
「そうですわよ? それが何か?」
「あと20ヌールの商品を足せば、ポイント5倍になるんだぞ? 今のままだと4ポイントなのが、25ポイントになるんだぞ? 実質20ヌールの商品がただで手に入るのと一緒だぞ?」
「え? そうなんですの!? アストラ様は難しい計算を一瞬でできるんですのね! すごいですわ!」
この星の人間はどうなっているんだ。こんな簡単な計算もできないのか?
俺がそう思っていると、前からザッツが歩いてきた。その手にはカゴが握られている。
「あれ? お前らも買い物に来てたのか?」
「ようザッツ。あんたは何を買いに来たんだ?」
ザッツはカゴを持ち上げて、俺に見せた。
「これだよ。お茶とマンガ」
「お、お前これ、合わせて498ヌールじゃないか!」
「それが何か?」
「あと2ヌールで、ポイント5倍だぞ! 今のままだと4ポイントなのが、25ポイントになるんだぞ?」
「そうか? まぁいいよめんどくさいし」
もったいない。まぁ、ポイントを集めていない人間には関係ないことだからな。
俺がそう思っていると、ザッツが会計を始めた。
「ポイントはどうされますか?」
「あぁ、これで頼む」
ザッツ、お前……。ポイント集めてるんじゃないか。なんてもったいない。
次は俺の会計の番だ。
「ポイントはどうされ――」
「これでお願いします」
俺は食い気味でポイントカードを渡した。
ピッ。ブブー。ピッ。ブブー。
「あれ? おかしいな?」
店員が、俺が渡したポイントカードのバーコードを読み取ろうとするが、どうも読み取れないらしい。
その時俺は、店員の制服のロゴを見て、衝撃の事実に気づいた。
(あれ? 待てよ? 〝ルーソン〟じゃなくて〝ノレーソン〟じゃないかここ! ミルク缶マークじゃなくてドラム缶だ! しかも、よく見たら〝コンタポイント〟じゃなくて、〝ゴンタポイント〟じゃないか。キツネかと思ったらゴリラのキャラクターだ。紛らわしすぎるだろ!)
当たり前だ。地球と同じコンビニがこんなところにあるわけないじゃないか。何を浮かれているんだ俺は。
つまり、俺が地球で必死に貯めた9800ポイントは、ここではノーバリューという訳か……。
「あ、そのカード使えないみたいなんで、新しくカードを作ってもらえます? あ、今日のポイントから貯めたいので、今すぐお願いします」
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