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4 星の名を持つ乙女
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アンディの喋りはましになった。
まだ普通には程遠いけど、とりあえず分かりやすく、喋ってくれる。
それでもまだまだ、ねちっこい部類ではある。
基本は渋いおじさまイケボだから慣れてしまえば、どうとでもなるのかもしれない。
ただ、あの回りくどさとねちっこさは内容が入ってこない。
正直、厳しい。
しかし、これだけは言える。
現在、置かれた状況に比べれば、遥かにましだってね。
「本当に問題ないのかね」
「はい。ステラお嬢様のお身体は以前より、遥かに健康と言っても過言ではないかと」
「ふむ」
このやり取りが繰り返されるのはもう何度目?
本人が問題ないと言っているのに……。
医者なんだろう。
白衣を着た男の人がバッカニアコートに似たちょっと古めかしい服を着た背の高い男の人に聞かれて、同じことを答えている。
私はそのやり取りを見させられているだけ。
何なのか、この茶番。
コートの男の人はこちらに背を向けているから、顔が分からない。
だけど、私の様子を心配していることだけは伝わってくる。
伝わってくるけど、さすがにしつこい。
いい加減にして欲しい。
もう一人。
一人ではなく、一匹なんだろうか。
鼓膜が破れるかと思ったあの時、走り去った人物は丈の長い黒のロングワンピースの裾が見えた。
だから、てっきり女の人だと思ったのだけど、違った。
いいや、女の人なのは間違ってない。
ただ、それがヴィクトリアンメイドの衣装を着た熊さんらしき何かってこと。
多分、そういう種族なんだと思う。
リアルな熊さんではなく、テディベアぽいから怖くはない。
むしろ可愛い。
ただし、大きい。
こんなテディベアだったら、いくらするんだろうって思うくらいに大きいのだ。
彼女もまた、私に何かを期待するような視線を送ってくる。
一体、何だっていうの。
でも、知りたい情報はかなり集まったのが不幸中の幸いって感じ……。
はぁ。
疲れたので寝たふりをして、やり過ごそう。
嘘寝作戦は成功したと言っていいのか、怪しい。
嘘寝のつもりが本気で寝ちゃったから、成功のようであって失敗した気がするのだ。
もっと情報を得られたかもしれないのに残念。
「だぁがあ、お嬢ちゃんの知りたいことは分かったはああずであるう」
「そだねー」
アンディは人がいる時は姿を消していて、人がいなくなったら、まるで何もなかったように現れた。
どういう仕組みなのかは分からないけど、デバイスって相当、チートなんじゃないだろうか。
百年以上経っているのに平然と動いてるのはどう考えたって、おかしい。
だから、姿を消せてもそんなに驚くことじゃない。
感覚がおかしくなってきた気がするけど、多分気のせいだろう
「私はステラ……ステラ・プラッツなのよね?」
「その通りだあ。お嬢ちゃんが目覚めたのでわぁぁれも目覚めたのでぇえあぁぁる」
「うん。そだねー」
大分、修正されてもコレだから。
前よりはましになったけど、普通に喋れない病に冒されているのかもしれない。
そう考えると可哀想ではあるのだけど、「そだねー」と塩対応する機械になった私は決して、悪くない……。
まだ普通には程遠いけど、とりあえず分かりやすく、喋ってくれる。
それでもまだまだ、ねちっこい部類ではある。
基本は渋いおじさまイケボだから慣れてしまえば、どうとでもなるのかもしれない。
ただ、あの回りくどさとねちっこさは内容が入ってこない。
正直、厳しい。
しかし、これだけは言える。
現在、置かれた状況に比べれば、遥かにましだってね。
「本当に問題ないのかね」
「はい。ステラお嬢様のお身体は以前より、遥かに健康と言っても過言ではないかと」
「ふむ」
このやり取りが繰り返されるのはもう何度目?
本人が問題ないと言っているのに……。
医者なんだろう。
白衣を着た男の人がバッカニアコートに似たちょっと古めかしい服を着た背の高い男の人に聞かれて、同じことを答えている。
私はそのやり取りを見させられているだけ。
何なのか、この茶番。
コートの男の人はこちらに背を向けているから、顔が分からない。
だけど、私の様子を心配していることだけは伝わってくる。
伝わってくるけど、さすがにしつこい。
いい加減にして欲しい。
もう一人。
一人ではなく、一匹なんだろうか。
鼓膜が破れるかと思ったあの時、走り去った人物は丈の長い黒のロングワンピースの裾が見えた。
だから、てっきり女の人だと思ったのだけど、違った。
いいや、女の人なのは間違ってない。
ただ、それがヴィクトリアンメイドの衣装を着た熊さんらしき何かってこと。
多分、そういう種族なんだと思う。
リアルな熊さんではなく、テディベアぽいから怖くはない。
むしろ可愛い。
ただし、大きい。
こんなテディベアだったら、いくらするんだろうって思うくらいに大きいのだ。
彼女もまた、私に何かを期待するような視線を送ってくる。
一体、何だっていうの。
でも、知りたい情報はかなり集まったのが不幸中の幸いって感じ……。
はぁ。
疲れたので寝たふりをして、やり過ごそう。
嘘寝作戦は成功したと言っていいのか、怪しい。
嘘寝のつもりが本気で寝ちゃったから、成功のようであって失敗した気がするのだ。
もっと情報を得られたかもしれないのに残念。
「だぁがあ、お嬢ちゃんの知りたいことは分かったはああずであるう」
「そだねー」
アンディは人がいる時は姿を消していて、人がいなくなったら、まるで何もなかったように現れた。
どういう仕組みなのかは分からないけど、デバイスって相当、チートなんじゃないだろうか。
百年以上経っているのに平然と動いてるのはどう考えたって、おかしい。
だから、姿を消せてもそんなに驚くことじゃない。
感覚がおかしくなってきた気がするけど、多分気のせいだろう
「私はステラ……ステラ・プラッツなのよね?」
「その通りだあ。お嬢ちゃんが目覚めたのでわぁぁれも目覚めたのでぇえあぁぁる」
「うん。そだねー」
大分、修正されてもコレだから。
前よりはましになったけど、普通に喋れない病に冒されているのかもしれない。
そう考えると可哀想ではあるのだけど、「そだねー」と塩対応する機械になった私は決して、悪くない……。
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