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5 よ~く、考えよう、命は大事
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頭の中がこんがらがって、クエスチョンマークが交通渋滞を起こしている。
情報をまとめてみよう。
そうすれば、落ち着くかもしれないし……。
私は『鋼鉄の聖女』の登場人物で劇中最悪の悪女ステラ・プラッツに転生した。
アンディからの情報と屋敷の使用人の会話から、疑いようのない事実だろう。
認めたくても認めなくてはいけない事実ってところ。
しかし、劇中で彼女は二十代後半だったはず。
それなのに鏡で見た限り、女の子にしか見えない。
情報によれば、どうやら十歳になったばかり。
物語が始まる前に転生させられたパターンだろうか。
異世界転生だとそういうパターンもあるから、可能性として否定できない。
でも、納得できないことがある。
大人のステラはスラリとした美女でスタイルが良かった。
今はどうかって?
見事なぽっちゃり体型でどうしようもない。
何をどうやって、こんな豚ちゃんになったんだろう。
生活習慣病でニ十歳まで生きられないと医者に宣告される立派な体型だ。
大人になったら、痩せるなんて都合のいい話はないと思う。
どうにかしないといけないけど、私にダイエット経験はない。
美心だった時はもっと太った方がいいって、言われる体型だったから、どうすれば痩せるのかというビジョンが見えない。
色白なのもあって顔もまるでおもちみたいだ。
自分で触って、ぷにぷにして気持ちいいので癖になる。
だけど、これはいけない。
未来の美女にこんなのでなれるのか。
目鼻立ちが整っていて、可愛いのに脂肪で全てが台無し。
体もぶっくぶくだから、起き上がるのも「どっこいしょ」だし、ちょっと歩いただけで息切れがする。
運動するのもこれでは辛そうだから、いい方策を考えないと詰む。
ただ、これは考えようによってはありなのでは?
傾国の美女でなければ、首と胴体がおさらばする悲惨な未来にならない可能性もありそうだ。
しかし、この考えをアンディに話すと「そのまぁああえにだ。お嬢ちゃんは突然死すると我は思うのだぁぁ」と言われた。
確かにその通り。
やはり、ダイエットしなきゃいけないってことね!
だいたいステラの体ができあがってしまった原因は、海賊コートのあの人が甘やかしたせいなのだ。
我儘なステラの言われるがまま、ありとあらゆる不摂生な食べ物を与えた結果がこの我儘ボディ。
このままでは十代であの世に逝きかねない。
また十代で死ぬなんて、私は何か、悪いことをしたんだろうか。
でも、あの人が悪いんじゃない。
あの人……叔父さんらしいし。
可愛い姪に逆らえない叔父さんって、嫌でも誰かのことを思い出す。
赤ちゃんで天涯孤独の身の上になった私――美心を引き取ってくれたのが叔父の八雲だった。
叔父はまだ学生だったのに私を引き取ってくれた。
たった一人の姉の大事な娘を幸せにしたいと真顔でいつも言っていた。
決して楽な暮らしぶりではなかったけど、叔父は常に私が最優先だった。
自分のことにはまるで無頓着な人だったけど、とにかく私には優しくて。
でも、私の性格はお世辞にも素直ではないし、面倒な人間だ。
仮面を被ったように感情を表すこともなく、優しい叔父に感謝しているのに一切、感謝の気持ちを表現しなかった。
大学も自力で奨学金を勝ち取った。
叔父に迷惑をかけなくないと思ったからだ。
だけど、それを言葉にすることもなかったから、叔父との間が次第に気まずくなった。
なぜ、一言でも「ありがとう」と言わなかったんだろう。
今更のように後悔の念が波のように押し寄せて来る。
ステラの叔父サテレスもきっとそんな人なんだろう。
年の離れた姉の娘を引き取ったまだ若い叔父……。
そういえば、八雲叔父さんの髪も日本人にしてはやや色素の薄い茶髪だったなぁと漠然と思う。
しかし、記憶をいくら探っても『鋼鉄の聖女』にサテレスという人物が出てきたかどうかがはっきりとしない。
どこかで薄らと見たような気がするんだけど……。
「もしかして……」
「そおおう。その直感は間違っていないぞぉお、お嬢ちゃぁあん」
思い出した。
ステラ初登場の際、一行だけ名前が出ただけの人物だ。
彼女はドレス姿でも常に両腕に籠手を着けていた。
白銀の美しい色合いと優美なデザインでステラの家――レウス辺境伯家に代々、伝わる家宝みたいな物で……。
名前は確か、栄光(グロリア)。
えらく大袈裟な名が付いているけど、見た目に反して殺意の衝動が高い魔法の道具だったはず。
多くのキャラの命を奪った凶悪さの方が有名なのだ。
そう。
確か、失われていたグロリアを探した人物として、さらっと名前が出た。
『サテレスが買い戻した』との一文にしか出てこない。
叔父だとは一言も触れられてなかった。
私が目を覚ましてからのやり取りを考えると対象を滅茶苦茶甘やかす溺愛の過ぎる人なのは間違いないだろう。
叔父のサテレスとの交流もよくよく考えた方が良さそうだ。
命取りになると考えた方がいい。
ダイエットに距離感がバグった親族。
結構な無理難題よね。
憧れの推しキャラに転生したのにラッキーと喜べる状況ではないけど……。
ステラには幸せになってもらいたい。
それに私だって、死んで目が覚めて、またすぐに死ぬなんて嫌だし!
情報をまとめてみよう。
そうすれば、落ち着くかもしれないし……。
私は『鋼鉄の聖女』の登場人物で劇中最悪の悪女ステラ・プラッツに転生した。
アンディからの情報と屋敷の使用人の会話から、疑いようのない事実だろう。
認めたくても認めなくてはいけない事実ってところ。
しかし、劇中で彼女は二十代後半だったはず。
それなのに鏡で見た限り、女の子にしか見えない。
情報によれば、どうやら十歳になったばかり。
物語が始まる前に転生させられたパターンだろうか。
異世界転生だとそういうパターンもあるから、可能性として否定できない。
でも、納得できないことがある。
大人のステラはスラリとした美女でスタイルが良かった。
今はどうかって?
見事なぽっちゃり体型でどうしようもない。
何をどうやって、こんな豚ちゃんになったんだろう。
生活習慣病でニ十歳まで生きられないと医者に宣告される立派な体型だ。
大人になったら、痩せるなんて都合のいい話はないと思う。
どうにかしないといけないけど、私にダイエット経験はない。
美心だった時はもっと太った方がいいって、言われる体型だったから、どうすれば痩せるのかというビジョンが見えない。
色白なのもあって顔もまるでおもちみたいだ。
自分で触って、ぷにぷにして気持ちいいので癖になる。
だけど、これはいけない。
未来の美女にこんなのでなれるのか。
目鼻立ちが整っていて、可愛いのに脂肪で全てが台無し。
体もぶっくぶくだから、起き上がるのも「どっこいしょ」だし、ちょっと歩いただけで息切れがする。
運動するのもこれでは辛そうだから、いい方策を考えないと詰む。
ただ、これは考えようによってはありなのでは?
傾国の美女でなければ、首と胴体がおさらばする悲惨な未来にならない可能性もありそうだ。
しかし、この考えをアンディに話すと「そのまぁああえにだ。お嬢ちゃんは突然死すると我は思うのだぁぁ」と言われた。
確かにその通り。
やはり、ダイエットしなきゃいけないってことね!
だいたいステラの体ができあがってしまった原因は、海賊コートのあの人が甘やかしたせいなのだ。
我儘なステラの言われるがまま、ありとあらゆる不摂生な食べ物を与えた結果がこの我儘ボディ。
このままでは十代であの世に逝きかねない。
また十代で死ぬなんて、私は何か、悪いことをしたんだろうか。
でも、あの人が悪いんじゃない。
あの人……叔父さんらしいし。
可愛い姪に逆らえない叔父さんって、嫌でも誰かのことを思い出す。
赤ちゃんで天涯孤独の身の上になった私――美心を引き取ってくれたのが叔父の八雲だった。
叔父はまだ学生だったのに私を引き取ってくれた。
たった一人の姉の大事な娘を幸せにしたいと真顔でいつも言っていた。
決して楽な暮らしぶりではなかったけど、叔父は常に私が最優先だった。
自分のことにはまるで無頓着な人だったけど、とにかく私には優しくて。
でも、私の性格はお世辞にも素直ではないし、面倒な人間だ。
仮面を被ったように感情を表すこともなく、優しい叔父に感謝しているのに一切、感謝の気持ちを表現しなかった。
大学も自力で奨学金を勝ち取った。
叔父に迷惑をかけなくないと思ったからだ。
だけど、それを言葉にすることもなかったから、叔父との間が次第に気まずくなった。
なぜ、一言でも「ありがとう」と言わなかったんだろう。
今更のように後悔の念が波のように押し寄せて来る。
ステラの叔父サテレスもきっとそんな人なんだろう。
年の離れた姉の娘を引き取ったまだ若い叔父……。
そういえば、八雲叔父さんの髪も日本人にしてはやや色素の薄い茶髪だったなぁと漠然と思う。
しかし、記憶をいくら探っても『鋼鉄の聖女』にサテレスという人物が出てきたかどうかがはっきりとしない。
どこかで薄らと見たような気がするんだけど……。
「もしかして……」
「そおおう。その直感は間違っていないぞぉお、お嬢ちゃぁあん」
思い出した。
ステラ初登場の際、一行だけ名前が出ただけの人物だ。
彼女はドレス姿でも常に両腕に籠手を着けていた。
白銀の美しい色合いと優美なデザインでステラの家――レウス辺境伯家に代々、伝わる家宝みたいな物で……。
名前は確か、栄光(グロリア)。
えらく大袈裟な名が付いているけど、見た目に反して殺意の衝動が高い魔法の道具だったはず。
多くのキャラの命を奪った凶悪さの方が有名なのだ。
そう。
確か、失われていたグロリアを探した人物として、さらっと名前が出た。
『サテレスが買い戻した』との一文にしか出てこない。
叔父だとは一言も触れられてなかった。
私が目を覚ましてからのやり取りを考えると対象を滅茶苦茶甘やかす溺愛の過ぎる人なのは間違いないだろう。
叔父のサテレスとの交流もよくよく考えた方が良さそうだ。
命取りになると考えた方がいい。
ダイエットに距離感がバグった親族。
結構な無理難題よね。
憧れの推しキャラに転生したのにラッキーと喜べる状況ではないけど……。
ステラには幸せになってもらいたい。
それに私だって、死んで目が覚めて、またすぐに死ぬなんて嫌だし!
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