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8 サテレス、プラッツの名を捨てた男
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アンディがデバイスなのは伊達じゃなかった。
データベースとやらで調べてもらって、分かった叔父、サテレスの半生は思った以上に過酷だった。
まず、サテレスを見て驚いたのが、その容姿。
他人の空似とか、世界に似た人が三人いるとか言うけど、それなのだ。
すぐに思い当たる人がいた。
あまりに似すぎていて、本人かと思うくらい似ている。
叔父の八雲にそっくり。
いや本人でしょ?
勘違いしてもおかしくないレベルのそっくりさんだ。
髪や目の色、背恰好、顔かたち。
全てが似ている……。
それだけではなく、恐ろしい一致点があった。
左目に眼帯をして、隠しているのまで一緒なのだ。
八雲叔父さんは高校生の頃、スポーツで怪我して左目を失明した。
白濁した左目を気にして、眼帯をしていると言ってた。
奇遇なことに今世の叔父サテレスもまた同じく、左目を失明している。
だから、眼帯をしている訳だけど、失明した理由がえぐかった。
自分で左目に短剣を突き立てて、抉り出したらしい……。
アンディから、この話を聞いた時は驚きのあまり、絶句した。
どうして、そういう行動を取ったのかも分かっている。
あまりにも闇が深いと思う。
彼の右目は鳶色で八雲叔父さんと同じ色だけど、左目は違ったのだ。
彼の左目はステラと同じ空の色をした宝石眼だった。
スカイブルーの宝石眼は特別なものらしい。
レウス辺境伯の血を引く者にしか出ない特質なので、これがないと後継者になれない。
逆に考えるとなければ、後継者から外れるので……。
勉強するのが何よりも好きで学問の道を目指し、世界を見たかったサテレスは自らの宝石眼を抉り出したのだ。
もっとも自分の為ではなく、姉を後継者にとの思いが強かったからではないかと推測している。
実際、優秀なサテレスを後継者に推す勢力もあってもめていたらしい。
だから、この推理は強ち、間違っていないと思う。
恐らく、サテレスは重度のシスコン。
なぜって?
八雲叔父さんがそうだったから。
学生なのに私を引き取ったのもシスコンの為せる業だったらしい……。
でも、これだけ似ているのに根本的に違うところがある。
その違いが私を戸惑わせる。
脳がバグるって、多分こういうことなのだと実感している。
噂をすれば、何とやらで本人が……。
「叔父さま、ごきげんよう」
「…………」
一応、ステラはお嬢様なんだし、このくらいの言葉遣いをしておくのが適切と思っているのだけど。
叔父さんはそう思っていないようで。
叔父さま呼びだと不満なのか、むすっとして返事すらしてくれない。
「サテレス、何で来たの?」
少しつんけんとした言い方で呼び捨てにすると喜ぶ。
ステラの母ガラシアがいわゆるツンデレな姉だったらしく、完全に調教された変態に仕上がっているらしい。
実に面倒。
そして、鳥肌が立つ……。
「それは勿論、ステラちゃんに会いに来たんだよ。だいぶ、スッキリしたね。もうそろそろ、こういうのを食べたくないかい?」
姪にちゃん付けでデレデレとした顔をするお前は誰だ?
私は声を大にして、そう言いたい。
言えないけども。
八雲叔父さんはどちらかというと塩対応で何を言っても「ああ」「そうだな」くらいしか言わない人だった。
それでも優しさは伝わって来たけど、塩対応が伝染したのか、私自身もそういう物言いになって。
後悔しかない前世になってしまったけど、今世の叔父は落差激しくて、混乱する。
だいたい、ダイエットで痩せようとしている姪にそろそろと言って、高カロリーなチョコレートやケーキをちらつかせるんじゃないっ!
魂胆は見抜いている……。
ステラがめっちゃ太ってしまったのはこの叔父のせいで間違いない。
文字通り、目に入れても痛くない美少女に育ちつつある姪を太らせて、周囲から隔絶させることで独占しようと企んだのだ。
間違った愛情表現?
激しく、歪んでいる気がする……。
ステラが狂った悪女になったのもプラッツの血が原因じゃないの?
そう疑いたくもなる。
「食べ物はいいから、例の物は?」
「ああ。あれかい? あれはまだ見つからなくてね」
『鋼鉄の聖女』でサテレスが、栄光(グロリア)をステラに渡したのは確かなんだけど、まだその時期ではないってこと?
困った。
余った魔力をどうにかする手段がそれくらいしかないと踏んでいたのに予定が狂う。
運動を徐々に増やして、地道に頑張るしか手がないとは気の長い話だこと。
「じゃあ、邪魔だからさっさと行って。私は忙しいの」
「まあまあ。そう言わずに。栄光(グロリア)は無理だったから、代わりのプレゼントがあるよん」
だから、脳がバグるから、その顔で陽気に喋らないで欲しい! とは言えない。
「じゃじゃーん。これ、な~んだ?」
後ろ手にしているから、変だとは思った。
えらく勿体ぶった動作でサテレスが頭上に掲げたのは、片手で持てる剣だ。
剣と言っても刀身の幅が狭くて、えらく細身で……。
『三銃士』で主人公の持っているレイピアに似ている。
それよりも小さくて、軽そうに見える。
「レイピア?」
「正解だよ。そんな賢いステラちゃんにピッタリだ」
「ええ? どういう意味?」
サプライズ演出みたいに勿体つけられるのは苦手なんだけど。
「それで?」「あ、そう」と反射的に口から出そうで困る……。
データベースとやらで調べてもらって、分かった叔父、サテレスの半生は思った以上に過酷だった。
まず、サテレスを見て驚いたのが、その容姿。
他人の空似とか、世界に似た人が三人いるとか言うけど、それなのだ。
すぐに思い当たる人がいた。
あまりに似すぎていて、本人かと思うくらい似ている。
叔父の八雲にそっくり。
いや本人でしょ?
勘違いしてもおかしくないレベルのそっくりさんだ。
髪や目の色、背恰好、顔かたち。
全てが似ている……。
それだけではなく、恐ろしい一致点があった。
左目に眼帯をして、隠しているのまで一緒なのだ。
八雲叔父さんは高校生の頃、スポーツで怪我して左目を失明した。
白濁した左目を気にして、眼帯をしていると言ってた。
奇遇なことに今世の叔父サテレスもまた同じく、左目を失明している。
だから、眼帯をしている訳だけど、失明した理由がえぐかった。
自分で左目に短剣を突き立てて、抉り出したらしい……。
アンディから、この話を聞いた時は驚きのあまり、絶句した。
どうして、そういう行動を取ったのかも分かっている。
あまりにも闇が深いと思う。
彼の右目は鳶色で八雲叔父さんと同じ色だけど、左目は違ったのだ。
彼の左目はステラと同じ空の色をした宝石眼だった。
スカイブルーの宝石眼は特別なものらしい。
レウス辺境伯の血を引く者にしか出ない特質なので、これがないと後継者になれない。
逆に考えるとなければ、後継者から外れるので……。
勉強するのが何よりも好きで学問の道を目指し、世界を見たかったサテレスは自らの宝石眼を抉り出したのだ。
もっとも自分の為ではなく、姉を後継者にとの思いが強かったからではないかと推測している。
実際、優秀なサテレスを後継者に推す勢力もあってもめていたらしい。
だから、この推理は強ち、間違っていないと思う。
恐らく、サテレスは重度のシスコン。
なぜって?
八雲叔父さんがそうだったから。
学生なのに私を引き取ったのもシスコンの為せる業だったらしい……。
でも、これだけ似ているのに根本的に違うところがある。
その違いが私を戸惑わせる。
脳がバグるって、多分こういうことなのだと実感している。
噂をすれば、何とやらで本人が……。
「叔父さま、ごきげんよう」
「…………」
一応、ステラはお嬢様なんだし、このくらいの言葉遣いをしておくのが適切と思っているのだけど。
叔父さんはそう思っていないようで。
叔父さま呼びだと不満なのか、むすっとして返事すらしてくれない。
「サテレス、何で来たの?」
少しつんけんとした言い方で呼び捨てにすると喜ぶ。
ステラの母ガラシアがいわゆるツンデレな姉だったらしく、完全に調教された変態に仕上がっているらしい。
実に面倒。
そして、鳥肌が立つ……。
「それは勿論、ステラちゃんに会いに来たんだよ。だいぶ、スッキリしたね。もうそろそろ、こういうのを食べたくないかい?」
姪にちゃん付けでデレデレとした顔をするお前は誰だ?
私は声を大にして、そう言いたい。
言えないけども。
八雲叔父さんはどちらかというと塩対応で何を言っても「ああ」「そうだな」くらいしか言わない人だった。
それでも優しさは伝わって来たけど、塩対応が伝染したのか、私自身もそういう物言いになって。
後悔しかない前世になってしまったけど、今世の叔父は落差激しくて、混乱する。
だいたい、ダイエットで痩せようとしている姪にそろそろと言って、高カロリーなチョコレートやケーキをちらつかせるんじゃないっ!
魂胆は見抜いている……。
ステラがめっちゃ太ってしまったのはこの叔父のせいで間違いない。
文字通り、目に入れても痛くない美少女に育ちつつある姪を太らせて、周囲から隔絶させることで独占しようと企んだのだ。
間違った愛情表現?
激しく、歪んでいる気がする……。
ステラが狂った悪女になったのもプラッツの血が原因じゃないの?
そう疑いたくもなる。
「食べ物はいいから、例の物は?」
「ああ。あれかい? あれはまだ見つからなくてね」
『鋼鉄の聖女』でサテレスが、栄光(グロリア)をステラに渡したのは確かなんだけど、まだその時期ではないってこと?
困った。
余った魔力をどうにかする手段がそれくらいしかないと踏んでいたのに予定が狂う。
運動を徐々に増やして、地道に頑張るしか手がないとは気の長い話だこと。
「じゃあ、邪魔だからさっさと行って。私は忙しいの」
「まあまあ。そう言わずに。栄光(グロリア)は無理だったから、代わりのプレゼントがあるよん」
だから、脳がバグるから、その顔で陽気に喋らないで欲しい! とは言えない。
「じゃじゃーん。これ、な~んだ?」
後ろ手にしているから、変だとは思った。
えらく勿体ぶった動作でサテレスが頭上に掲げたのは、片手で持てる剣だ。
剣と言っても刀身の幅が狭くて、えらく細身で……。
『三銃士』で主人公の持っているレイピアに似ている。
それよりも小さくて、軽そうに見える。
「レイピア?」
「正解だよ。そんな賢いステラちゃんにピッタリだ」
「ええ? どういう意味?」
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「それで?」「あ、そう」と反射的に口から出そうで困る……。
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