転生したら、最低の悪女でしたが死にたくないので頑張ります

黒幸

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9 ラヨン

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 結論から言えば、叔父のプレゼント――刺突剣ラヨンは大正解だった。
 あんなにも勿体ぶって、プレゼンをしただけの価値がある逸品と言ってもいい。

「どうだい? いい物だろう」
「うん。悪くないよ。サテレスにしては」

 素直に「ありがとう、叔父さん」と言いたい。
 でも、彼はそれで喜べない拗らせた人だから。
 塩対応でどう応対すればいいのか、分からない叔父も厄介だけど、これはこれで滅茶苦茶厄介だ。

 十九歳の経験値がある普通ではない十歳児だから、いいけど……。
 普通の十歳児がこんな人と接していたら、そりゃ歪むよね。
 歪んだ結果が悲惨な最期だとしたら、この叔父もどうにかしておくべきなんだろう。
 決して、悪い人ではないのだ。
 姪思いで捨てた家に戻ってきて、一切を仕切るのに奔走している姿を見るとそう思えてならない。
 それに有能過ぎて、このまま当主代行をずっと続けて欲しいくらいなんだけど。

「無理しちゃダメだよ?」
「分かっているよ。分かっているんだ」
「ちゃんと休憩を取って、しっかりと働きなさい。私の為に」
「ああ、うん。そうだね、ステラちゃん」

 「またね」とだらしなく、にやけた顔をする叔父の顔を見るとちょっとでも可哀想と思った私が甘いんだろうか。
 叔父は何度も名残惜しそうにこちらをちらちらと窺いながら、執務室へと戻った。

 目の下に慢性的なクマがあった。
 かなり無理をしているのが分かる。
 彼の両肩にレウスの運命が重くのしかかっているのだ。

「ねぇ、アンディ。レウスが置かれている状況も調べられるの?」
「勿論だあ。我を誰と心得ておるのだああ」
「そう。じゃあ、ちゃっちゃと調べて」

 叔父の姿が見えなくなるといつも通り、ひょっこりと姿を現したメンフクロウもどきに大事なことを頼んでおく。
 なんだかんだ言ってもアンディの有能だし……。
 何しろ、百年後の未来なのに生活や文化の水準が上がっているように見えない。
 下手すると退化しているようにさえ思えるけど、これは気のせいじゃないみたい。

 日本やアメリカなど一部の地域が例外なだけで南米やアフリカは先史時代のような水準にまで低下しているところがあるし、ヨーロッパでも格差が激しいらしい。
 残念なことにレウスがあるスペインは退化している方だった。
 戦国乱世のようだとも世紀末覇者が出そうだとも言われる無法地帯になっている。
 どうやら中世の暗黒時代化という噂もまんざら嘘じゃないかもしれない。

 だから、デバイスのような最新テクノロジーはそれだけでアドバンテージ。
 アンディ曰く、永久機関搭載だから、半永久的に動けるそうだし。
 接続可能なデータベースを利用できるのが便利だ。
 スペイン地域は隔離されているのか、外の情報が入ってこないから、有効活用しないと……。

「この剣も調べられるよね?」
「もちのろんだあ。すぐに該当する物が出てきたぞお。それはラヨンだ」
「ラヨン?」
「物は試しと言うぞお。集中し、振ってみるがいい。そうだあ。感情を込めると効果的だああ。くっくっくっ」

 思えば、この時のアンディは悪そうな顔をしていた。
 気付いたんだから、安易に振らなければよかったのだ。
 でも、好奇心が抑えられなくて。
 興味本位で振ってしまった私を誰が責められる?
 それも馬鹿正直に中々、痩せない苛立ちと怒りの感情を込めてしまったんだから。

 まさか剣先からビームが出るなんて、思わないじゃない?
 そういうことは先に言って欲しい……。
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