転生したら、最低の悪女でしたが死にたくないので頑張ります

黒幸

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26 異母兄

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「知ってた?」
「知らないよ?」
「だよね」

 現状、『鷹(アルコン)隊』のメンバーがまだ全員、見つかっていない。
 またもや手詰まりなのだ。
 そんな中、さらなる爆弾が転がり込んできた。
 異母妹アディに続いて、今度は異母兄がやって来たのだ。
 それもとんでもない時限爆弾付きで……。

 アディと動きをシンクロさせて、睨んだ先にはサテレス叔父さんがいる。
 露骨に目を逸らして、泳がせるのでバレバレだ。

「叔父さん、詳しく説明してもらいましょうか」
「ましょうか」

 通信教育レベルだけど、自称めっちゃ強いアンディから理論は学んだ。
 指をぼきぼきと鳴らせば、相手に威圧を与えられる。
 これもテクニックの一つなので無駄にアディも真似をしてる。
 特に意味はないけど、叔父さんは姪っ子相手には気が弱くなるので有効だ。

「僕にも詳しいことは分からないんだ」
「それでもいいから、教えて」

 観念したのか、叔父さんはばつが悪そうに頭を掻きながら、語り出した。
 私とアディが知らない母親違いの兄メテオリスについて……。



 メテオリスの父親はエイハブ。
 私とアディの生物学上の父親と一緒だ。
 母親が違うから……どころか、その年齢に驚きを隠せない。
 今年で三十歳になるらしい。
 叔父のサテレスとほぼ変わらない。
 というより、三歳しか違わない叔父と甥なのだ。
 でも、サテレスは私の母親の弟だから、正確には叔父・甥ではないんだけど。

 この異母兄が奔放だけど、イケメンでと言われる父親譲りの破天荒な男だった。
 見た目もイケメンで銀髪になぜか、空色の瞳の宝石眼持ちで……。
 おまけに受け継がないでいい女好きなところまで似ているらしい。
 方々で浮名を流していて、私達に悪影響を与えかねないと判断した叔父さんが、耳に入らないように裏工作していた。
 それで今まで知らなかったのだ。

「あの……それでえっと、お兄様? お隣の方はどちら?」

 叔父さんから、覚悟するようにと釘を刺されたけど、私一人で兄と対峙……もとい対面することにした。
 アディには刺激が強い相手だと思う。
 私には一応、十九年間の前世があるから、多少はどうにかなるはずだ。

 そう思っていたけど、甘かった。
 メテオリスは兄と呼ぶのもおこがましい存在だ。
 彼は『源氏物語』や『アーサー王物語』に出てくる貴公子に近い。
 他者からどう見られようと構わない鷹揚なところがあるのに内面は繊細で傷つきやすい。
 だけど誰もそれに気付かないので誤解される。
 そんな男なのだ。

「ああ。いい質問だ、妹よ」
「半分だけ血の繋がってる妹なのであしからず」
「冷たいなあ、妹よ」
「妹言うな。ステラって、名前があるので。それでどちら様なのですか?」

 嫌な予感しかしない。
 きれいな女の人だった。
 目鼻立ちがはっきりしていて、ルックスがいいってだけじゃなく、纏う雰囲気が深層の令嬢みたいで空気が違う。
 ブルネットでロングストレートな髪は手入れが行き届いていて、美しい。
 着ている服も純白のワンピースドレスで彼女によく合っている。
 まるで修道女が着てるワンピースドレスみたいで……。

「私はマリベルと申します。フィリアと申し上げた方がお分かりいただけるでしょうか」
「フィリア……フィリア……えっと」

 どこかで聞いたことがある名だった。
 もしかしてと予想できる人物が一人いた。
 『鋼鉄の聖女』に出てきた聖女に似た名のキャラがいた。
 アディが収集した情報にもあった。
 滅多に表に出ることのない聖女――『愛の聖女』の名だった。

 嫌な予感は的中したみたい。
 どうして、こうも厄介なのがあちらから、やってくるんだろう……。
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