転生したら、最低の悪女でしたが死にたくないので頑張ります

黒幸

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27 愛の聖女

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「つまり、お二人は付き合ってるという理解で間違ってないですよね?」
「うん、まあ。それはうん、そのようであって、そうでないような」
「はっきりしてください、メテオリス様」

 半分血の繋がった妹から見てもイケメンで男らしい見た目をしてるのに、言い方が歯切れ悪い兄と名乗るアレと深層のお嬢様な見た目なのに意外とはっきりしてる聖女らしきアレは、私という目があっても憚らず、イチャイチャしてる。
 何?
 もしかして、私がどこまでのストレスに耐えられるかのストレステストをされてるの?

「で! 何しに来たのですか、ええ?」
「ああ。それなんだよ。妹よ、力を貸して欲しいのだ」
「はい?」
「お願いします」

 縋るような眼で見られると居心地がよくない。
 助けを求める人がいる以上、手を差し伸べたいとつい考えてしまう。
 例え、それが今まで会ったことのない兄であまり評判の良くない人間だとしても。

 しかし、気になるのはどう考えても兄の相手が聖女だって点だ。
 聖女は恋愛禁止とか、面倒なルールがあるのではないかと踏んでる。
 だって、聖女なんだし?

「何をどうして欲しいのか。そこを教えてくれないと無理ですけど?」
「だよなあ。俺、そういうの苦手でね」
「私にお任せくださいませ」

 決まりが悪いのか、頭をぽりぽりと掻く姿は血の繋がりがないのに、叔父さんみたい。
 でも、兄らしきモノと対照的な人がいた。
 この場を取り仕切るべく、口を開いた聖女フィリア――マリベルだ。聖女の名は伊達じゃなかった。



 立て板に水を通すような気持のいい喋りっぷりだった。
 彼女から聞けた話は実にためになる。
 『愛の聖女』フィリアは『鋼鉄の聖女』であまり言及されていない。
 戦場で活躍する『鋼の聖女』とそのライバル、『盾の聖女』は出番が多かった。
 『鋼の聖女』はヒロインだから、当然と言えば、当然だけど。
 聖女のまとめ役『大聖女』と呼ばれるキャラもそれなりに出番があったし、見せ場があった。
 でも、『愛の聖女』はなぜか、出番がほぼない。

 その理由が分かった。
 彼女の力が目に見える物でないからだ。
 愛の力は漠然としたもののようであって、馬鹿にできない力を持っているらしい。
 いわゆるバッファーだったのだ。
 彼女が願えば、いつも以上に能力を発揮できる。
 火事場の馬鹿力に似た現象を自在に与えられると考えれば、いいんだろう。
 確かにこれは脅威となりうる力だと思う。
 でも、はっきりと目で結果が見えないから、絵的に映えない。
 それが原因で出番が少なかったんだろう。

「私は商人の家で生まれました」

 そうマリベルは言った。
 普通の家で生まれて、お嬢様として育った彼女がある日、突然『聖女』になった。
 その時、彼女はまだ十三歳だったから、親元から離されて心細かったそうだ。

「そして、私はメテオリスと出会ったのです」

 兄らしきモノは飄々としていて、実にふざけた男みたいに見える。
 だけど、内面は繊細で気遣いと心遣いのできるいい男だったらしい。
 聖女の国で一人寂しそうにしてるマリベルを見て、元気づけようとしてるうちに……。
 何となく、絆されて、関係を持ってしまったというのだ。
 共依存のようにも見えるけど、兄らしきモノは割と感情の機微に敏いのではないだろうか。
 見た目がチャラいのと誤解される言動が多いだけで。

 そう思ったけど、十六歳も上なのにこの兄、頼りない気がする……。
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