転生したら、最低の悪女でしたが死にたくないので頑張ります

黒幸

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46 カンブリスへ

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 カンブリス立てこもり事件。
 立てこもりというと語弊があるかもしれない。
 要は籠城戦が行われているのだ。

 カンブリスには小さなコミュニティが存在してた。
 多種族共生体と言うべきコミュニティだった。
 種族割合は人間が少なく、亜人が多数を占める珍しい構成だ。
 最も多いのはエルフでハーフエルフの割合も高い。
 次いでオーク、少数ながらゴブリンも含まれてる。

 そうは言っても小さなコミュニティだ。
 さして大きな影響力を持ってる訳じゃない。
 何しろ、住民の大半が迫害されて逃げて来た人や追い出された人で構成されてるコミュニティだから。

 そんなコミュニティがなぜか、狙われた。
 虐げられた人々の集う地だから、富裕とは程遠い。
 それなのに現在、敵対的な勢力に幾重にも取り囲まれていて、絶望的な状況に陥ってる。

「取り囲んでるのは人なのよね?」
「そうだね。人……ではあると思うよ」
「人だったモノって感じがするけど?」

 レウスの僅かな手勢……と言っても信頼できるいつもの面々だ。
 私とシエロは言うまでもない。
 空を飛べるし、集団戦ともなれば、私と『栄光(グロリア)』の右に出る者はいないと思う。
 あまりに力が強すぎて、私が使い切れない。
 それというのも前世、普通の日本人だったから、生きているものの命を奪うのに慣れてない。
 というか、無理なのだ。
 私の覚悟が足りてない可能性もある。
 死にたくない、生きたいと強く願えば、多分できる……はず。

 サテレス叔父さんとアディには留守を預かってもらう。
 東西が互いに牽制するような動きを見せてるから、問題はないだろうとの判断だった。
 できれば、保険として『鷹(アルコン)隊』のメンバーにも留守居を任せたかったのだけど……。
 同族の危機に黙っていられないとスサナ、ブランカ、ヴィトーは同行を志願してきた。
 三人しか揃ってないけど、アルコンのメンバー全員が投入されるのは初めてだ。
 総勢五名。
 少ないのは仕方ない。
 もはや慣れてしまった。

 狙撃特化のスサナに遠距離から、サーチしてもらってある程度、接敵前に排除してもらう。
 ある程度、距離が縮まったら、ヴィトーのヴォルテックスと私のグロリアの出番。
 その先は近距離を得意とするブランカの重力魔法とシエロの頑張り次第だ。
 これで囲みの一角を崩せば、カンブリスに入れると思う。

 何しろ、私達が救援に訪れるより前、これをやってのけた人がいる。
 しかもたった二人でやったらしい。
 驚くしかない。

「造作もないことだ」
「そうだな」
「いやいやいやいや。万全を期した方がいいんですって」
「ふむ。お主がリーダーだから、従うさ」
「…………」

 いつもの面々は私の作戦というほどでもない単なる石橋を叩いて渡ろう行動に異議を唱えないんだけど……。
 態度に表さないだけで不満たらたらな感じの人が二人いる。
 今回の作戦に助っ人してくれるのだ。
 囲みを探っている時に偶然、出会った自称・傭兵さんだった。
 彼らもまた、カンブリスの窮状に思うところがあって、機械を窺ってたらしい。

 ただし、見た目からして、めっちゃ怪しい二人組ではあるけど。
 今は猫の手も借りたいのだから。
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