くろいゆきの割とどーでもいいエッセイ

黒幸

文字の大きさ
55 / 190

55 デューンで砂の惑星でワームも出てくるけど、全く関係ないB級SF映画『プラネット・デューン 砂漠の惑星』

しおりを挟む
 今回、御紹介する映画は『プラネット・デューン 砂漠の惑星』です。
 あれ?
 どこかで聞いたようなタイトルと思われた方もおられることでしょう。
 そうです。
 壮大な世界観が売りのSF小説『デューン砂の惑星』を原作とした二部作の実写映画『DUNE/デューン 砂の惑星』にめっちゃ似ているんです。
 しかもこれ、邦題で寄せただけではありません。
 原題も『Planet Dune』です。
 思い切り、寄せています。
 ええ。
 皆、大好きアサイラムのB級映画(´・ω・`)
 火山が活動を始めた砂漠地帯が広がる辺境の惑星が舞台だったり、砂漠を住処にした巨大な肉食性環形動物がいたり、パロディ部分が多めですが一切、デューンとは関係ない作品なのです。

 意外なことにあらすじはまともです。
 『未来世界。宇宙に進出した人類は、様々な惑星に調査隊を送りこんでいた。ある時、辺境の惑星で貨物船が消息を絶つ。救助を命じられたアメリカ宇宙軍のアストリッドたちは、現地に急行するが、そこは砂丘と荒野が広がる『砂漠の惑星』だった。絶え間ない地殻変動と、火山噴火。そして砂漠の地中には、この惑星の支配者である巨大モンスターの《ワーム》が潜み、獲物を待ち構えている。この危険極まりない不毛の惑星で、アストリッドたちは生存者を救出し、生還することが出来るのか?Ⓒ 2021 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.』
 おおよそはこれで内容が分かりますが、重要な部分が割愛されています。
 主人公のアストリッド・ヤング中尉がとんでもないトラブルメーカー=問題児という点です。

 プロローグは主人公の女性軍人で階級が中尉のアストリッド・ヤングの人となりを知らしめる為の時間です。
 アストリッドが航空学校を優秀な成績で卒業し、操縦技術に関しては優れた素質と実力を有する軍人であることが描写されます。
 それと同時にとんでもない問題児であることも。
 上官のチェイス大尉はアストリッドの航空学校時代の教官であり、恩師でもある人物でこれまで様々なトラブルを起こしたアストリッドを擁護してくれた唯一の人物です。
 見た目は迫力あるおばちゃんですが。
 そんなチェイスですら、看過できないトラブルを起こすのがアストリッドという主人公。
 国際問題が起こるので救助してはいけないと上官から、散々聞かされているにも関わらず、堂々と命令違反を犯し、ロシアの宇宙飛行士を助けたアストリッドは晴れて、懲罰対象となりました。
 これまで守ってくれたチェイスも今回ばかりは見捨てたとばかりの態度です。

 それもそのはず。
 今回は人命救助でルールよりも人命を助けることを重く見て、勝手に救助したという主人公らしい理由での命令違反ですが……。
 劇中でクルーとの会話で披露されたエピソードによれば、飲酒運転で宇宙船を操縦していたことが判明するなど、割と普通にクズムーブをしています。
 至極順当に不良軍人な主人公なのです。
 そんな彼女に与えられた任務が全てを挽回し、軍務に戻り元の階級に返り咲けるけど、それには辺境惑星で消息を絶った貨物船の貨物回収と乗員の救助をしてきてね! だった訳です。

 アサイラムの映画らしく、こまけーことはいいんだよ! のずぶずぶな設定はいつも通り。
 遥か未来の物語であり、辺境の惑星にまで人類が到達していたり、宇宙軍が編成されていたり、巨大な宇宙ステーションが建造されているのに……。
 新婚旅行はハワイとか、アメリカやロシアという区分やロシアとは国際上、問題が起きるとか。
 それどころか、主人公の家は禁酒法時代から自家製の燃料みたいなやばいお酒を造っているとか。
 もうツッコミどころしかない情報てんこ盛りです(´・ω・`)

 パロディ元のデューンのように高尚な物語や難解な設定やテーマは一切なく、ノリとしては男性向けの漫画週刊誌の熱血主人公みたいな女性主人公の物語と捉えるとご都合主義が満載でも案外、受け入れられる気がします。
 アサイラムですしね。
 砂漠の過酷な環境のように見える辺境惑星で作業をする貨物船の乗員がめっちゃ軽装だったり、何なら、アストリッド達に至っては「暑いわ」と上着を脱いでタンクトップのお色気軽装になったりするのも熱血漫画の男性向けだから! と思えば、多分ありなんでしょう。

 ただ、アサイラムらしく、ところどころ面白い設定も放り込んできます。
 砂漠の惑星に割拠する人間を一飲みできそうなワームが複数体出てきますが、彼らが好むのは鉄分という設定です。
 鉄分が好きだったら、宇宙船などの金属製の物体も好みそうですが、人間の血中にある鉄分が好みでそれを察知して、追いかけて来るというんですね。
 これは今までにない設定で面白い。
 ワームに飛び乗って、カウボーイよろしくワーム乗りになったりのパロディ要素も面白そうにやっています。
 終盤の親玉ワームとの戦いで出力が足りない宇宙船の燃料に「まるで燃料みたいな味ね」と劇中で言われたアストリッドのヤング家が家宝として受け継いできた自家製酒を燃料タンクに注入したら、爆発的な出力を得ることができて、勝利! はさすがに冗談がきついですが🌿
 多分、燃料みたいでなく、本気で燃料だったのかもしれないというブラックジョークなので笑うところなのですが、それよりも燃料タンクの注入口が普通に船内にあるという事実がツッコミどころしかない!
 頭空っぽであっははははと楽しめることは楽しめるSF映画ではあります。
 真面目に見たら、負け(´・ω・`)

 でも、本作、意外と怖い要素もあるんですよね。
 まず、アストリッドが懲罰で女性二名、男性一名の営倉常連な問題児な軍人とクルーとして、救助に赴くのですが……。
 この救助自体が厄介者の問題児を軍部が始末しようと画策していた可能性があります。
 チェイス大尉のさらに上官でアストリッドが所属する宇宙軍の救助隊の責任者ホーキンス少佐の独断で行っているとは思い難いです。
 その証拠に救助要請をするアストリッドの通信を無視し、全員死亡しても構わないし、安全になってから貨物を回収すればいいと発言をしています。
 まぁ、少年漫画ぽいノリなので御都合主義とも言える大団円なオチ(プロローグで助けたロシア人宇宙飛行士がとんでもないVIPだったので罪は不問、アストリッドは職務に戻れることに)が待っているのでホーキンス少佐の発言はなかったことになっている気がしないでもありません。
しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

6人分の一汁三菜作ってましたが、義両親との関係が破綻したので終了しました

山河 枝
エッセイ・ノンフィクション
★同居解消までの過程だけを知りたい方は、◎の話をお読みください。 日常的に、義両親&筆者夫婦&子2人の夕飯(一汁三菜)を用意してました。 ・惣菜はOK。 ・汁物はほぼ必須。 ・でも味噌汁は駄目。 ・二日連続で同じようなおかずを出してはならない。 ・時期によっては、大量に同じ野菜を消費し続けなくてはならない。 ……という何となく生まれたルールに従っていましたが、心身の調子を崩し、2024年末に同居を終了しました。 ほぼ自分用献立メモと、あとは愚痴です。 筆者のしょうもない悩みを鼻で笑っていただければ幸いです。 ※途中から諸事情により上記の条件を一部無視しています。 (旧題:「6人分の一汁三菜作ってます」)

王命って何ですか? 虐げられ才女は理不尽な我慢をやめることにした

まるまる⭐️
恋愛
【第18回恋愛小説大賞において優秀賞を頂戴致しました。応援頂いた読者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました】 その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。 貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。 現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。 人々の関心を集めないはずがない。 裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。 「私には婚約者がいました…。 彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。 そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。 ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」 裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。 だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。   彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。 次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。 裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。 「王命って何ですか?」と。 ✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

処理中です...