【完結】聞いてない、知らないで許されると思ったら、甘いです

黒幸

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第20話 エピローグ・銀の聖女と金の魔女の選択

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 ユリユリアナは再び、私のもとを離れ、デ・ブライネの船団とともに大海原に出ているのです。

 それというのも海岸で見つかった洋酒の瓶が発端。
 瓶はしっかりと封がされていたのですが、その中に入っていたのは年代物の葡萄酒ではなく、一枚の羊皮紙でした。
 発見した漁民はこれは只事ではないと届け出くれたのですが、さらに慌てたのが我々ということになります。

 羊皮紙には僅か、五行ほどの短い文章が記されていました。
 内容は『少々、長居をしてしまったがそろそろ、帰る』という帰郷を知らせるだけ。
 羊皮紙が高級な素材の物なので奇特な貴族がいたという話で終わったかもしれません。

 しかし、それだけの話では済まなかったのです。
 特徴のある筆跡は間違いありません。

「これ、お父様の字ね」
「あの人達が簡単に死ぬとは思ってなかったけどね」

 四年前に死んだはずのお父様と継母おかあさまが生きているという衝撃的な報せです。
 それなのに私もユリもそれほどに動揺していないように見えるのはどこかでそう信じていたからでしょうか?

 ユリは瓶が流れ着いた海岸付近の潮の流れから、瓶がヘルヘイムから、流れて来たのだと仮説を立てました。
 ヘルヘイムは死の女神ヘルが支配する死者の国だと言われています。
 亡者が闊歩する地であり、生者は足を踏み入れることが許されないとも。

 ただ、昔から御伽噺のような形で不思議な伝承が伝わっていました。
 生きながらにして、ヘルヘイムに迷い込んだ若者の伝説です。
 彼の地で一年ほど、普通に生活した青年が故郷に戻ると百年が経過しており、青年のことを知る者は誰もいなかった。
 そういうお話でした。

 お父様達は遭難して、もしかしたら、ヘルヘイムで暫くの時を過ごしていたのかもしれません。
 音沙汰がなかったのはあの地の閉鎖性のせいなのでしょう。
 それでも生きていてくれた。
 そのことだけで私は嬉しいのです。

 そして、ある日のことでした。
 覚悟を決めた者にしか出来ない真剣な眼差しのユリが言ったのです。
 『二人を探して、首に縄つけてでも連れ帰るわ」と……。
 『ミーナのことを任せても大丈夫そうだしね』とも言ってたわ。

「本当に大丈夫なのかしら?」
「あ、な、何の話だい?」

 私の腰に回している手はやや震えており、顔は茹でた蛸のように真っ赤になっていますが、これでも少しは改善した方です。

 あの妙に距離が近く、まるでロマンス物語の王子様みたいなキラキラと輝いていたエル様はエル様であって、エル様ではない状態だった。
 の挙動不審なエル様。
 私と目が合うと逸らし、つっけんどんな言い方をするエル様に戻ったのはつい先日のことです。

 本人が途切れ途切れに告白したところによれば、ヨハンナ殿下から貰った魔法の飴の力で勇気がない自分は勇気を貰ったそうです。
 エル様は見事にヨハンナ殿下に担がれたようですね。
 どこまでも真っ直ぐで純真な心を持っているから、エル様は信じてしまった。
 そもまま、気が付かないまま、見事にこの一ヶ月王子様を立派に務めた訳です。
 そして、先日その飴玉がついになくなってしまった。

「お、お、俺は情けない男だ。君を前にするとこうなってしまうんだ」

 目どころか、顔まで逸らしていてもどこか、可愛く感じてしまうのは私が彼に惹かれているからなのでしょうか?

「大丈夫ですよ。分かってますから」
「わ、わ、分かっているとはど、どうなっているんだ!?」

 顔が赤いを通り越して、青くなってきたエル様を見ると少し、心配になります。
 魂まで抜けてしまいそうですが……。

「私もエル様のことをお慕いしておりますわ」

 あ、あら?
 本当に魂が抜けたのではないかしら?
 目を見開いたまま、固まっているエル様を見ると本当に可愛らしい方だと思います。

 この先、貴方とに間にもっと深い愛情を育めるかどうかは分かりません。
 でも、私の心の中には貴方への好意が仄かではあっても確かにあるのです。

「お、お、俺も君のことが……す、す、スキーが好きだぞ!?」
「あらあら?」



 Fin
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感想 32

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みんなの感想(32件)

月影 流詩亜(旧 るしあん)

完結お疲れ様でした 💐

まだまだお話が続きそうな感じで終わるのも余韻や読者に想像させるのは凄いと思いました。

次の新作まで、ゆっくり充電してくださいね。

2022.10.18 黒幸

るしあん先生、ありがとうございます╲(・x・)╱

伏線を張るだけ、張っておきましたがあえて、余韻で想像してくださいということで何となく、再会や復活といった希望は感じられると思います。
若干一名の悪い人だけは悪いことをしすぎたのでさすがにアウトですが💦

新作は超ドアマットなヒロインという構想の物語で一話300字くらいしか、出来ていないのと女神イズンの探求する真実の愛の物語で一話900字くらいしか出来ていないので当分、無理そうです(´・ω・`)
今はお姫様と小さな勇者の物語が書いていて、楽しいんですよ😄

解除
やっちゃん
2022.10.18 やっちゃん

完結お疲れ様でした🙏🙏🙏

両親はどうなったのか❓
ユリちゃんはどうなるのか❓
まだまだ知りたいです‼️

王子は、また妹から飴🍭をもらえば解決🍬
ファーストキスは飴の味なのも美味しくてよい😘
イチャイチャしてれば慣れるでしょ🍬

2022.10.18 黒幸

やっちゃん(^-^)ノ様、ありがとうございます╲(・x・)╱

ユリは両親を探しに海に出ましたが、果たして見つかるのか?
両親を見つけることに成功するのだけは確かなのですが、コメディ要素の方が強いので感動的シーンにはならないことでしょう。

ヨハンナはヴィルヘルミナとエルヴィンの仲が進展することを応援していながら、どこか楽しんでいるのですんなりと飴をくれるかなー🙄
一応の設定では22歳と18歳くらいなのですが、二人とも初心すぎて手を繋ぐのにも四苦八苦しそうではあります。
飴の力を借りずに頑張らないと王子、結婚式で卒倒なんてことにもなりそうですしね!?

解除
柚木ゆず
2022.10.18 柚木ゆず

本日、4話まで拝読しました。

これから(このあと)何が起きるのか、本当に気になっていまして。すぐ確認を行いたいのですが、外出の用事が発生してしまいまして……。出発前にくろいゆき様のほかの世界ものぞかせていただきたいため、続きは明日楽しませていただきたいと思います……!

2022.10.18 黒幸

柚木先生、ありがとうございます╲(・x・)╱

この作品、閑話が入りますが、20話と短めで完結致しました。
恋愛ジャンルでありながら、あまり恋愛要素をアピールしないまま、終わったのがやや心残りではあります。
先生の御都合がよろしい時間にでもお付き合いいただけたら、嬉しいです😄

解除

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