【完結】(自称)モブ令嬢は見た

黒幸

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1st Target ユリシーズ

5 第三王子ユリシーズ

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 サマンサ様から、直接の指令を受けたハリーと何度か、打ち合わせをした。
 勿論、目立たないように極力自然を装いつつ。
 読んだことがあるミステリー小説に出てくるエージェントみたいでちょっと、ワクワクしていたのは秘密。

 私とハリーが協力し、調査しなければいけない相手、それは……。
 第三王子ユリシーズ殿下。
 彼は複雑な立場に置かれた人だった。
 殿下は現在、学園の三学年に在籍していて、生徒会長を務めている。
 学園には王子殿下がもう一人、在籍しているのだ。
 二学年に在籍するシルヴェスター殿下。
 彼は第二王子なのだ……。

 第二王子が二学年で第三王子が三学年。
 これには何とも納得しがたい理由が存在した。
 ユリシーズ殿下の母親の身分が低い。
 ただ、それだけの理由だった。
 数ヶ月先に生まれたのに第三王子とされた殿下の心中は、如何にと思うところだけど……。

 彼は驚くほど、底抜けに明るく、どこまでもお人好しで。
 それでいて、人誑しな生徒会長として、知られている。
 彼を慕う生徒は男女問わず、多い。

「俺もあの人は好きだな。だけどよ」
「だけど? 何か、気になることがあった?」
「はっきりとは言えないんだけどさ。あの人、どこかが嘘っぽいって感じるんだ。装っているのとも違うし、何とも言えないんだけどな。だからこそ、あんた……メリーの出番って訳だ」
「なるほど。そういうことだったのね」

 ハリーと同じで私もユリシーズ殿下をいい人なのだと認識し、好印象を抱いていた。
 気さくな人柄で飾ったところがなくて、親切でそれでいて、完璧という訳でもなくて。
 どこか抜けている人だから、手伝って助けてあげたいと思わせる何かがある。
 そういう人だと思っていたから、見ることがなかったのだ。

 そう。
 天帝の目の力は常に発動する能力ではない。
 発動すると極端に命が削られるとか、物凄く疲れる。
 なんてことはなくて。

 ただ見えるモノが見えるモノだから。
 頭がおかしくなるか、引き籠って外に出たくなくなるの二択しかないと思う。
 そう考えると自分で使おうと意識して、集中しない限り、使えない能力なので助かっている。
 だから、見ようとしない限りは決して、見えないのだ。

 その力を使って、見極めなくてはいけない。
 ターゲットは第三王子ユリシーズ殿下とその取り巻き、もとい側近候補の方々。
 でも、このシチュエーションは正直、想定外で不本意である……。
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