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1st Target ユリシーズ
6 張り込み
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何でしょう、このシチュエーション。
私とハリーは学園の中庭で植え込みに身を隠している。
残念なことに学園では安全上の配慮から、あまり大きい植木はない。
だから、どうしても二人の人間が隠れようとなると距離感がおかしくなる零距離にならざるを得ない。
そのせいで……いや、お陰でなんだろうか?
細く見えるけれど、実は鍛えていて筋肉が凄いのだと知った。
見た目だって、目を発動していなければ、割とどこにでもいそうでちょっとかっこいい人くらいで我慢できるのだ。
でも、殿下を目で見るから、ハリーが偽装している姿ではなく、本当の姿が嫌でも目に入る。
正直、心臓に悪い。
銀色の髪と神秘的な黄金色の瞳。
これだけでも神秘的な雰囲気が尋常ではないのにモデルのように整った顔をしているから、質が悪い。
「そろそろ殿下が出てくる時間だ」
「はい。準備は整ってます」
動悸が激しいけど、それは別の理由であって。
わざわざ口に出して、変に誤解されたくないので黙っておこう。
深呼吸して、気持ちを落ち着けたら、大丈夫。
大丈夫、大丈夫と唱えていたら、何とかなる……。
「来たぞ……」
耳元で囁くのは新手の嫌がらせではないだろうか。
動画サイトでもそういう囁きに需要があって、人気あるらしいし……。
あら、いけない。
ちょっと現実から、逃避していた。
そうこうしているうちにユリシーズ殿下一行が中庭に姿を現した。
先頭を歩くのは勿論、第三王子ユリシーズ殿下。
その隣にいる女の子は最近、噂になっているゲッテンズ男爵家の令嬢ヒラリーで間違いないだろう。
一学年でも目立つ背の高い女の子で入学当初は身長と佇まいから、クール系と呼ばれていたはずなのに……。
そんな面影の欠片すらも残っていないみたい。
ガハハと妙な擬音が聞こえてきそうなほど、大口を開けて笑っている姿は愛らしさとは程遠く、品がなく感じられた。
その後ろの三人は将来の側近を狙って、殿下に追従している令息達。
ハロルド伯爵家のジョエル令息。
プロウライト子爵家のポール令息。
ヤント子爵家のクレイグ令息。
これといって、成績が優秀でもなく、実技面で秀でたところがある訳でもない。
良くも悪くも平凡な令息なのか、これまでに問題を起こしていた事実はなかった。
共通しているのは彼らの実家が、いずれも下位貴族であまり身分が高くなく、そして……。
優秀な嫡男がいるので継ぐべき爵位を持っていないということだろう。
彼らが殿下に媚びて、へつらう理由は自ずと知れる。
さてと集中しないと……。
「えぇぇんんん」
「しっ」
見えてしまったモノに驚いて、思わず大きな声を上げそうになった。
ハリーが口をふさいでくれたので間一髪気付かれずに済んだ。
零距離のシチュエーションで口を優しくふさがれるなんて、状況が状況なら舞い上がってしまうところだけど……。
とてもそんな気分にはならない。
むしろ頭から冷水を浴びたような?
それとも肝から冷えるとでも言えば、いいのだろうか。
恐ろしいモノを見てしまったから……。
私とハリーは学園の中庭で植え込みに身を隠している。
残念なことに学園では安全上の配慮から、あまり大きい植木はない。
だから、どうしても二人の人間が隠れようとなると距離感がおかしくなる零距離にならざるを得ない。
そのせいで……いや、お陰でなんだろうか?
細く見えるけれど、実は鍛えていて筋肉が凄いのだと知った。
見た目だって、目を発動していなければ、割とどこにでもいそうでちょっとかっこいい人くらいで我慢できるのだ。
でも、殿下を目で見るから、ハリーが偽装している姿ではなく、本当の姿が嫌でも目に入る。
正直、心臓に悪い。
銀色の髪と神秘的な黄金色の瞳。
これだけでも神秘的な雰囲気が尋常ではないのにモデルのように整った顔をしているから、質が悪い。
「そろそろ殿下が出てくる時間だ」
「はい。準備は整ってます」
動悸が激しいけど、それは別の理由であって。
わざわざ口に出して、変に誤解されたくないので黙っておこう。
深呼吸して、気持ちを落ち着けたら、大丈夫。
大丈夫、大丈夫と唱えていたら、何とかなる……。
「来たぞ……」
耳元で囁くのは新手の嫌がらせではないだろうか。
動画サイトでもそういう囁きに需要があって、人気あるらしいし……。
あら、いけない。
ちょっと現実から、逃避していた。
そうこうしているうちにユリシーズ殿下一行が中庭に姿を現した。
先頭を歩くのは勿論、第三王子ユリシーズ殿下。
その隣にいる女の子は最近、噂になっているゲッテンズ男爵家の令嬢ヒラリーで間違いないだろう。
一学年でも目立つ背の高い女の子で入学当初は身長と佇まいから、クール系と呼ばれていたはずなのに……。
そんな面影の欠片すらも残っていないみたい。
ガハハと妙な擬音が聞こえてきそうなほど、大口を開けて笑っている姿は愛らしさとは程遠く、品がなく感じられた。
その後ろの三人は将来の側近を狙って、殿下に追従している令息達。
ハロルド伯爵家のジョエル令息。
プロウライト子爵家のポール令息。
ヤント子爵家のクレイグ令息。
これといって、成績が優秀でもなく、実技面で秀でたところがある訳でもない。
良くも悪くも平凡な令息なのか、これまでに問題を起こしていた事実はなかった。
共通しているのは彼らの実家が、いずれも下位貴族であまり身分が高くなく、そして……。
優秀な嫡男がいるので継ぐべき爵位を持っていないということだろう。
彼らが殿下に媚びて、へつらう理由は自ずと知れる。
さてと集中しないと……。
「えぇぇんんん」
「しっ」
見えてしまったモノに驚いて、思わず大きな声を上げそうになった。
ハリーが口をふさいでくれたので間一髪気付かれずに済んだ。
零距離のシチュエーションで口を優しくふさがれるなんて、状況が状況なら舞い上がってしまうところだけど……。
とてもそんな気分にはならない。
むしろ頭から冷水を浴びたような?
それとも肝から冷えるとでも言えば、いいのだろうか。
恐ろしいモノを見てしまったから……。
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