くろいやつのくろいつらつらですわ～

くろいゆきと映画の話・蝙蝠男と超人が対決するアレ

　皆様、ごきげんようですわ～。

　今回、取り上げる映画は『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』でしてよ。
　言わずと知れたスーパーヒーローの代表格と言っても過言ではないバットマンとスーパーマンをＷ主人公として取り上げたアクション映画ですわ。
　ＤＣコミックスのヒーローがクロスオーバーするマルチバースな世界観のシリーズの二作目にあたり、一作目はスーパーマンを描いた『マン・オブ・スティール』なのでそこから、ストーリーとしては続いてますの。
　一作目でスーパーマンの物語を描き、そのクライマックスが今作のオープニングに繋がってますわ。

　そこにバットマンことブルース・ウェインという新たなエッセンスを投じたことで今作の物語が始まりますのよ。
　視点が異なれば、見方自体が違ってくるのだと人間の身勝手さも描かれており、一方のスーパーマンも常人とはかけ離れた力で人を見下しているようにも見える描写をされている。
　それでいて、スーパーマンことクラーク・ケントは愛する女性であるロイスには溺愛に近いほどの愛情を見せる。
　ヒーローとして、どうあるべきか。
　地球人として、第二の故郷地球でどうあるべきか。
　苦悩するスーパーヒーロー像が今回のスーパーマンといったところかしら？

　一方、今作から参入したバットマンはそれまでに制作された一連のバットマンシリーズとは繋がりのないまっさらな状態になってましてよ。
　両親が犯罪者に殺されたことで大金持ちの紳士ブルースとダークヒーローとして、犯罪者に引導を渡すバットマンの二足の草鞋を履く生活なのは原典通りですわね。
　ちょっと趣きが異なるのはこのバットマンは二十年に渡り、ゴッサムシティで犯罪者と戦っており、心身ともに疲れ切った中年男性になっている点かしら？
　演じているのはベン・アフレックで血気にはやり、やや思慮に足りない行動を取る”青年”スーパーマンよりも年齢を重ね、経験を積んだ酸いも甘いも嚙み分けるイケオジみたいな認識でよろしくってよ。
　実際、普通に戦ったら、絶対に勝ち目がないスーパーマンを相手に知恵を絞り、生身の人間でありながらも互角以上に戦って見せた手際の良さは老練の戦士といった雰囲気すら、ありますわ。

　今作はスーパーマンが『マン・オブ・スティール』でラスボスとの戦闘を行った際、甚大な被害が周囲に出たことから、スーパーマンは人類にとって危険な存在ではないかと危惧する人々の声が大きくなってきたことが一つの要因になってますわ。
　この戦闘ではブルースの会社も被害を受けており、社員に死傷者が多数(この時、両足切断の重傷を負った男が物語のキーになりましてよ？)出たことでブルースもスーパーマンは人類の敵になりうる危険な存在と認識、憎むことに……。
　スーパーマンはスーパーマンでバットマンを犯罪者と誤認しており、敵視しているので話は厄介なことになりますの。
　ここにスーパーマンをコンプレックスや逆恨みで憎むヴィランであるレックス・ルーサーまで絡み、母マーサを人質に取られたスーパーマンは心ならずもバットマンと戦う展開へと繋がり、タイトル回収ってところかしら？

　ブルースはＶＳスーパーマン対策として、新たなバットスーツを製作し、もはやパワードスーツでバットマンロボのようになったバットマンは幾重もの罠を張り、万全の態勢でスーパーマンを待ち受け、真っ向から戦いを挑むのですけれど……。
　戦闘自体は見どころ満載でアクションも両者のいいところどりな描写が多く、ファンには堪らない夢のドリームマッチではありますの。
　でも、幕引きがいまいちなところがありましてよ？
　ブルースをかばい、犯罪者に殺された母親の名がマーサ。
　地球にやって来たスーパーマンを実の子として、愛し育てた養い母の名がマーサ。
　「マーサだと」であっさりと和解してしまうのがちょっと不条理ですわね。
　その後、スーパーマンが相手では苦戦しかなかったバットマンが普通の人間の犯罪者相手に無双ぶりを見せつけるので何となく、なあなあで押し切られた感じは否めませんわ。

　でも、メカニックデザインが秀逸であまり、登場シーンはなかったもののバットモービルも流線型のスマートなデザインに武装もたくさん積まれていて、カッコいいですわよ？
　バットウイングも蝙蝠の羽をより意匠化した鋭角的なデザインで印象深いですわ。