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25 一部屋しかない
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質問攻めのバスの旅となったが、悪くなかった。
村には子供がいなかったし、学院では孤高を貫いていたからな!
単なるボッチだっただけだが。
カサドールの血が濃いとそうなりやすいと直球好きなオルガにしては珍しく、抽象的な言い方をした。
その後、「見た目も怖いからじゃない? 気付いてなかったの? あははははっ」とも言われたなあ。
だが納得している自分がいる。
伯母さんもカサドールの一族だから、そうなんだろうと思えて仕方ないからだ。
何はともあれ、悪くない乗合バスの旅だった。
その後、何事もなくブルゴスに到着した。
既に日が落ちていて、通りを往く人々は家路を急いでいる。
ありふれた日常の一コマを味わえて、満足である。
村では全く、見られない光景だったからだ。
じっちゃんも言ってた。
いずれ滅びゆく村だってな……。
ガキんちょトリオとも残念ながら、ここでお別れになる。
残念ながらというほど残念でもないが、兄弟のいない俺にとって、貴重な体験ができた。
「またな!」と元気よく、お別れだ。
プレイヤーともなれば、世界を股にかけて冒険するかもしれない。
また、会わないと誰が言えるだろうか。
だから、さようならではなく、またな! なのだ。
「でどうするんだ?」
「あんたさぁ……。マジであたしがいないとどうする訳?」
「な、何とか、なるだろ。何とか」
「ふぅ~ん。まぁ、何とかなるほど、世の中って、甘くないと思うけどねぇ?」
「ほほお。さすが、成績優秀なお嬢様は違いますなあ」
珍しく、オルガが何も言ってこない。
天気が変わりかねない珍事ではないか。
表情も浮かない。
そういえば、彼女から子供の頃の話を聞いたことがなかったな。
もしかして、地雷を踏んだというやつか、これ。
「はぁ。とにかく、時間も時間だから、今日はポータルで移動は無理でしょ。まずは泊るところを探しましょ」
「お、おう」
調子が狂う。
オルガが神妙にしていると逆にこちらがソワソワするじゃないか。
そこからはさらに針の筵ってヤツだな。
無言でデバイスを使って、宿探しときたもんだ。
これは辛いぞ。
会話なしでひたすらデバイスと睨めっこは胃にくる。
不機嫌にしている訳でもなく、話しかけるなオーラを出している感じがするんだよなあ……。
デバイス操作も俺より、オルガの方が遥かに慣れているから、結局見つけたのも彼女のお手柄ということになった。
こればかりは仕方ない。
俺が一個、調べている間に彼女は数個、調べ終わっているんだ。
処理能力の差とでも言おうか。
「なあ。部屋が一部屋はまずくないのか?」
「しようがないでしょ。どこも空いてないんだからさぁ。おまけに何のシーズンなんだか、料金も高めなのよ? 一部屋だけでも取れただけ、ましと思わなきゃ」
「はあ。さいですか」
ホテルとは名ばかりの何ともぼろい宿だったが、オルガの言う通り、どこも空きがなかったのだ。
ようやく見つけたので贅沢は言えないし、そもそもが俺達にそんな余裕はない。
デバイスを与えられたから、プレイヤーになれたと言ってもまだ仮免みたいなものらしい。
自由に使えるポイントも学院での成績を加味した程度だから、いわゆる雀の涙だ。
乗合バスの料金くらいなら、デバイス払いでも余裕だったがさすがにホテルの宿泊料金ともなるとそうはいかない。
雀の涙を合わせて、一部屋借りるのでギリギリだった。
残ったなけなしでしがないディナーとなった訳だ。
幸いなことにオルガの機嫌も戻ったのか、喋ってくれるから、助かった。
あのまま、無言を貫かれたら、本気でどうすればいいか、分からなかったからなあ。
「それに一部屋でもあんたが変なことをしようと考えなきゃ、いいだけだし」
「ああ。俺はソファで大丈夫だ。何なら、床でも平気だぞ」
「はぁ?」
「野宿も慣れているからな。オルガが気になるなら、そうするが?」
「気になんて、してないしぃ? 変なことをしなければ、普通に寝ればいいのよ」
「ああ。うん? 分からんが、うん」
「本当に分かってんの?」
思い切り、疑いの目を向けられたが大丈夫だ。
俺は床の上でも余裕で寝られる自信がある。
じっちゃんも言っていた。
いかなるところでも寝られるようになるべしってな。
村には子供がいなかったし、学院では孤高を貫いていたからな!
単なるボッチだっただけだが。
カサドールの血が濃いとそうなりやすいと直球好きなオルガにしては珍しく、抽象的な言い方をした。
その後、「見た目も怖いからじゃない? 気付いてなかったの? あははははっ」とも言われたなあ。
だが納得している自分がいる。
伯母さんもカサドールの一族だから、そうなんだろうと思えて仕方ないからだ。
何はともあれ、悪くない乗合バスの旅だった。
その後、何事もなくブルゴスに到着した。
既に日が落ちていて、通りを往く人々は家路を急いでいる。
ありふれた日常の一コマを味わえて、満足である。
村では全く、見られない光景だったからだ。
じっちゃんも言ってた。
いずれ滅びゆく村だってな……。
ガキんちょトリオとも残念ながら、ここでお別れになる。
残念ながらというほど残念でもないが、兄弟のいない俺にとって、貴重な体験ができた。
「またな!」と元気よく、お別れだ。
プレイヤーともなれば、世界を股にかけて冒険するかもしれない。
また、会わないと誰が言えるだろうか。
だから、さようならではなく、またな! なのだ。
「でどうするんだ?」
「あんたさぁ……。マジであたしがいないとどうする訳?」
「な、何とか、なるだろ。何とか」
「ふぅ~ん。まぁ、何とかなるほど、世の中って、甘くないと思うけどねぇ?」
「ほほお。さすが、成績優秀なお嬢様は違いますなあ」
珍しく、オルガが何も言ってこない。
天気が変わりかねない珍事ではないか。
表情も浮かない。
そういえば、彼女から子供の頃の話を聞いたことがなかったな。
もしかして、地雷を踏んだというやつか、これ。
「はぁ。とにかく、時間も時間だから、今日はポータルで移動は無理でしょ。まずは泊るところを探しましょ」
「お、おう」
調子が狂う。
オルガが神妙にしていると逆にこちらがソワソワするじゃないか。
そこからはさらに針の筵ってヤツだな。
無言でデバイスを使って、宿探しときたもんだ。
これは辛いぞ。
会話なしでひたすらデバイスと睨めっこは胃にくる。
不機嫌にしている訳でもなく、話しかけるなオーラを出している感じがするんだよなあ……。
デバイス操作も俺より、オルガの方が遥かに慣れているから、結局見つけたのも彼女のお手柄ということになった。
こればかりは仕方ない。
俺が一個、調べている間に彼女は数個、調べ終わっているんだ。
処理能力の差とでも言おうか。
「なあ。部屋が一部屋はまずくないのか?」
「しようがないでしょ。どこも空いてないんだからさぁ。おまけに何のシーズンなんだか、料金も高めなのよ? 一部屋だけでも取れただけ、ましと思わなきゃ」
「はあ。さいですか」
ホテルとは名ばかりの何ともぼろい宿だったが、オルガの言う通り、どこも空きがなかったのだ。
ようやく見つけたので贅沢は言えないし、そもそもが俺達にそんな余裕はない。
デバイスを与えられたから、プレイヤーになれたと言ってもまだ仮免みたいなものらしい。
自由に使えるポイントも学院での成績を加味した程度だから、いわゆる雀の涙だ。
乗合バスの料金くらいなら、デバイス払いでも余裕だったがさすがにホテルの宿泊料金ともなるとそうはいかない。
雀の涙を合わせて、一部屋借りるのでギリギリだった。
残ったなけなしでしがないディナーとなった訳だ。
幸いなことにオルガの機嫌も戻ったのか、喋ってくれるから、助かった。
あのまま、無言を貫かれたら、本気でどうすればいいか、分からなかったからなあ。
「それに一部屋でもあんたが変なことをしようと考えなきゃ、いいだけだし」
「ああ。俺はソファで大丈夫だ。何なら、床でも平気だぞ」
「はぁ?」
「野宿も慣れているからな。オルガが気になるなら、そうするが?」
「気になんて、してないしぃ? 変なことをしなければ、普通に寝ればいいのよ」
「ああ。うん? 分からんが、うん」
「本当に分かってんの?」
思い切り、疑いの目を向けられたが大丈夫だ。
俺は床の上でも余裕で寝られる自信がある。
じっちゃんも言っていた。
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