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後日談
番外編11話 守護神の女神様
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負けられない戦いがここにある。
どこかのナレーションで聞いたあの名文句をまさか、実体験することになるなんて、思いもしなかった。
ここでうちのチームが勝利したら、二部昇格に王手とまではいかないけど、大きく一歩前進するのは間違いない。
当然、オーナーである私はチームに帯同するべきと判断した。
不思議だったのは出発する際、いつもタケルにべったりなアリスの姿を見かけなかったことだ。
タケルに聞いてみると何とも言えない表情で曖昧に『アリスね……今日はちょっと無理らしいんだ』と答えを濁す感じ。
何となく、想像がついたので下手に突っ込まないことにしておこう。
藪をつついて蛇を出すになりかねないものね。
バスでの移動中、アリスから連絡が来た。
最初、あまりに酷いガラガラ声だったから、アリスと気付かないくらいだった。
「だがらぁ、あだじはじごどだからぁ」
「その声、どうしたのよ? あなた、今日はモデルの仕事でしょう?」
「ぞういっだんだけどぉ……じょうがないじゃない゛」
アリスの話は要は惚気話である。
昨晩はいつも以上に激しかったと長々と聞かされたけど、これもいつものことだ。
慣れとは怖いもので最初のうちは聞いているこちらの顔から、火が出るくらい恥ずかしかったのに今では何の抵抗もないことだろうか?
自分も恋をしたら、ああなってしまうのかとふと考える。
幸せそうにへにゃと笑うアリスの顔を思い浮かべると案外、それでもいいのかもしれないと納得してしまう。
それにしても仕事があるのに声が枯れるまでするものかしら?
⚽ ⚽ ⚽
想定外のことが起きてしまった。
試合当日に正ゴールキーバーのライジンクが怪我するというアクシデントが起きたのだ。
シャワールームで足を切る怪我。
笑えないジョークとしか、思えない。
大事な試合を前に正ゴールキーパーの突然の怪我。
これは私にとってもコウスケにとっても何かが変わる切っ掛けになるのかしら?
ランクセン監督はこのアクシデントにも冷静だった。
補欠GKであるコウスケをスタメンに起用すると決めたのだ。
三部リーグとはいえ、弱冠十六歳の少年がいきなりの大舞台でデビューだなんて。
この試合は本当に大事な一戦ですもの。
二部昇格が遠のくということが意味するのは単に来年も三部で頑張ればいいという話ではないのだ。
もし、二部に昇格しなかったら、足利グループがスポンサーから離れるか可能性が高い。
クラブチームの運営は決して、慈善事業で行っている訳ではない。
結果が出なければ、切られるのだ。
そうなったら、私はオーナーを退任することになるだろう。
私が引き抜いた日本人選手の起用も先行き不明になると思って、間違いない。
だから、絶対に負けられない試合。
私にはただ、祈ることくらいしか出来ない。
監督と選手を信じて、見守ることしか出来ないなんて、何て無力なんだろう。
勝った……なんと勝ったのだ。
アウェイで首位のチームを相手に攻撃的な布陣という無謀にも見える戦術に打って出たランクセン監督の奇策が功を奏したらしい。
攻撃こそ最大の防御は時と場合によるのだろうけど、今日の試合は全てが運命の女神に愛されていたかのようにうまくいったのだ。
0-1での辛勝という薄氷を踏むような勝利だったし、この試合のキーマンとなったのがタケルとコウスケの二人なのも何かの運命なのだろうか?
まず、ピンチが訪れたのは前半28分。
うちの右サイドDFケンブルクがペナルティエリアの手前で不用意なスライディングを仕掛けてしまい、ファールを取られた。
それが単純にファールなだけなら、良かったのだけど、主審はなぜか、PKを指示したの。
あからさますぎるホームびいきの審判と疑いたくなるくらいに不条理な誤審だと思う。
あとで正式に監督から、抗議してもらってもいいと思うくらいにね。
それで失点の可能性が高いPKに挑むのが本日、急遽スタメン起用されたコウスケ。
高校時代にPKストッパーとして知られていた彼だけど、ここは海外だ。
三部リーグとはいえ、高校と同じようにはいかないだろう。
私は奇跡が起きるように信じて、祈ることしか出来ない。
キッカーはゴールの右上隅を的確に狙ってきて、見ていた誰もが失点を覚悟するくらいに正確なキックだった。
ところがコウスケはそれを読んでいたのか、持ち前のバネを利用して、跳躍すると何とパンチングで失点間違いなしのボールを弾いたのだ。
ルーズボールは偶然にもロングパスの技術に定評があるザーロイスの前に転がった。
そこからの動きはまるで映画の一コマを見ているようだった。
敵フィールドへと勢いよく駆け出していく右ウイングのタケルの足元へとザーロイスのロングフィードが届き、持ち前の高速ドリブルで敵陣を切り裂いた彼はあっという間にペナルティエリアまでボールを持ち込むのに成功した。
ゴールキーパーと一対一の状況になってしまえば、タケルの独断場だったわ。
彼はウイングとして、足の速さとそのドリブルキープ能力、それに高速クロスとそこばかりが注目されていたんだけど、私が目を付けたのはそのシュートの上手さだ。
ミドルシュートのようにペナルティエリア外からのシュートは得意としていない反面、一旦、エリアに持ち込んだ時、彼のシュートを止められる者はまず、いないだろう。
まさかの危機的状況からの大逆転ゴールにより、先制点を挙げたうちのチームはそのまま、攻撃の姿勢を崩すことなく、虎の子の一点を守り切ったのだ。
試合が終わった後のお祭り騒ぎはすごかった。
優勝したのでもないのに普段は物静かで寡黙なランクセン監督が子供のようにはしゃぐ姿はかわいらしかった。
見ているだけで微笑ましい気分になってくるというのはああいうものかもしれない。
しかし、元々、あまりはしゃぐことに慣れていない私は軽い疲労を覚えてしまい、少し体を冷やしたくなったのだ。
外の空気をちょっと吸うつもりでふらりと訪れたホテルの庭園は日本庭園を模したものだったお陰か、気分が落ち着いてくる。
「あれ、先客かな? って、ミレイさん?」
不意に呼び止められて、その声にハッとする。
その声の主を忘れるはずもない。
「コウスケもああいう賑やかなところは苦手なの?」
「ええ、バレちゃいましたか。俺、口下手なもんで向いてないんですよ」
「そんなこともないと思うけど。コウスケは自分で気づいていないだけで人を動かせる力があるのよ?」
彼は自分のコーチング能力の高さというものを自覚していない。
戦術への理解能力も高いコウスケはフィールドの後ろから、全体の動きを把握して、試合中にかなり、的確な指示を与えているのだ。
「そうなんですか? 自分ではそんなつもり、ないんですけどね」
私に褒められたのが嬉しかったのか、照れて頭をポリポリと掻く様子すらかわいく見えてくるのだから、私も末期かな。
アリスのこと言えたものじゃない。
大柄でかわいらしい彼の姿が大きなテディベアのように見えているのだから。
「今日はおめでとう。そして……ありがとう、コウスケ。あなたのお陰で私……まだ、オーナーを続けられるかもしれないわ」
私がそう言うと彼は先程までの照れて、崩れていた表情を消して、真顔になった。
「俺、今日頑張れたのは……その……えっと俺の女神が見ていてくれたからであって、えっと、だから……」
「ん?」
彼がしどろもどろに発する言葉の意味を理解出来なくて、小首を傾げてしまう。
女神とか、何の話をしているんだろう?
「いや、あの……そのだから、ミレイさんが俺の……ですね、その……女神で」
「は、はい? 私が女神……え?」
私より頭一つどころか、二つ以上大きいコウスケを見上げると熟れたトマトみたいに赤い顔になっていた。
彼の視線と私の視線が絡み合って、どちらも目を離せないまま、時だけが静かに流れていく。
「俺……年下だし、まだ全然駄目な奴だし。だけど、ミレイさんのこと好きな気持ちだけは誰にも負けません」
「私ね、コウスケ……」
嘘でしょ、先に言われちゃった。
素直になって、私から言おうと思っていたのに言われちゃった。
おまけに今、彼に抱き締められている。
力強くギュッと抱き締めるのじゃなくて、どこか自信がないようで壊れ物を扱うようにそっと抱き締められている。
「迷惑ですよね」
弱々しく私を抱き締めていた彼の力がさらに弱まって、離れて行ってしまうと感じて。
私は彼の背中に腕を回す。
力を込めて、逃がさないというメッセージとともに。
「迷惑じゃないから」
私の言葉が意外だったのか、彼は目を大きく見開いて、私を凝視してくる。
もう目を逸らしたりはしないよ。
素直になるって、決めたんですもの。
「私もコウスケのこと、好きだから」
その日、私とコウスケの関係がほんのちょっとだけど進んだ気がした。
どこかのナレーションで聞いたあの名文句をまさか、実体験することになるなんて、思いもしなかった。
ここでうちのチームが勝利したら、二部昇格に王手とまではいかないけど、大きく一歩前進するのは間違いない。
当然、オーナーである私はチームに帯同するべきと判断した。
不思議だったのは出発する際、いつもタケルにべったりなアリスの姿を見かけなかったことだ。
タケルに聞いてみると何とも言えない表情で曖昧に『アリスね……今日はちょっと無理らしいんだ』と答えを濁す感じ。
何となく、想像がついたので下手に突っ込まないことにしておこう。
藪をつついて蛇を出すになりかねないものね。
バスでの移動中、アリスから連絡が来た。
最初、あまりに酷いガラガラ声だったから、アリスと気付かないくらいだった。
「だがらぁ、あだじはじごどだからぁ」
「その声、どうしたのよ? あなた、今日はモデルの仕事でしょう?」
「ぞういっだんだけどぉ……じょうがないじゃない゛」
アリスの話は要は惚気話である。
昨晩はいつも以上に激しかったと長々と聞かされたけど、これもいつものことだ。
慣れとは怖いもので最初のうちは聞いているこちらの顔から、火が出るくらい恥ずかしかったのに今では何の抵抗もないことだろうか?
自分も恋をしたら、ああなってしまうのかとふと考える。
幸せそうにへにゃと笑うアリスの顔を思い浮かべると案外、それでもいいのかもしれないと納得してしまう。
それにしても仕事があるのに声が枯れるまでするものかしら?
⚽ ⚽ ⚽
想定外のことが起きてしまった。
試合当日に正ゴールキーバーのライジンクが怪我するというアクシデントが起きたのだ。
シャワールームで足を切る怪我。
笑えないジョークとしか、思えない。
大事な試合を前に正ゴールキーパーの突然の怪我。
これは私にとってもコウスケにとっても何かが変わる切っ掛けになるのかしら?
ランクセン監督はこのアクシデントにも冷静だった。
補欠GKであるコウスケをスタメンに起用すると決めたのだ。
三部リーグとはいえ、弱冠十六歳の少年がいきなりの大舞台でデビューだなんて。
この試合は本当に大事な一戦ですもの。
二部昇格が遠のくということが意味するのは単に来年も三部で頑張ればいいという話ではないのだ。
もし、二部に昇格しなかったら、足利グループがスポンサーから離れるか可能性が高い。
クラブチームの運営は決して、慈善事業で行っている訳ではない。
結果が出なければ、切られるのだ。
そうなったら、私はオーナーを退任することになるだろう。
私が引き抜いた日本人選手の起用も先行き不明になると思って、間違いない。
だから、絶対に負けられない試合。
私にはただ、祈ることくらいしか出来ない。
監督と選手を信じて、見守ることしか出来ないなんて、何て無力なんだろう。
勝った……なんと勝ったのだ。
アウェイで首位のチームを相手に攻撃的な布陣という無謀にも見える戦術に打って出たランクセン監督の奇策が功を奏したらしい。
攻撃こそ最大の防御は時と場合によるのだろうけど、今日の試合は全てが運命の女神に愛されていたかのようにうまくいったのだ。
0-1での辛勝という薄氷を踏むような勝利だったし、この試合のキーマンとなったのがタケルとコウスケの二人なのも何かの運命なのだろうか?
まず、ピンチが訪れたのは前半28分。
うちの右サイドDFケンブルクがペナルティエリアの手前で不用意なスライディングを仕掛けてしまい、ファールを取られた。
それが単純にファールなだけなら、良かったのだけど、主審はなぜか、PKを指示したの。
あからさますぎるホームびいきの審判と疑いたくなるくらいに不条理な誤審だと思う。
あとで正式に監督から、抗議してもらってもいいと思うくらいにね。
それで失点の可能性が高いPKに挑むのが本日、急遽スタメン起用されたコウスケ。
高校時代にPKストッパーとして知られていた彼だけど、ここは海外だ。
三部リーグとはいえ、高校と同じようにはいかないだろう。
私は奇跡が起きるように信じて、祈ることしか出来ない。
キッカーはゴールの右上隅を的確に狙ってきて、見ていた誰もが失点を覚悟するくらいに正確なキックだった。
ところがコウスケはそれを読んでいたのか、持ち前のバネを利用して、跳躍すると何とパンチングで失点間違いなしのボールを弾いたのだ。
ルーズボールは偶然にもロングパスの技術に定評があるザーロイスの前に転がった。
そこからの動きはまるで映画の一コマを見ているようだった。
敵フィールドへと勢いよく駆け出していく右ウイングのタケルの足元へとザーロイスのロングフィードが届き、持ち前の高速ドリブルで敵陣を切り裂いた彼はあっという間にペナルティエリアまでボールを持ち込むのに成功した。
ゴールキーパーと一対一の状況になってしまえば、タケルの独断場だったわ。
彼はウイングとして、足の速さとそのドリブルキープ能力、それに高速クロスとそこばかりが注目されていたんだけど、私が目を付けたのはそのシュートの上手さだ。
ミドルシュートのようにペナルティエリア外からのシュートは得意としていない反面、一旦、エリアに持ち込んだ時、彼のシュートを止められる者はまず、いないだろう。
まさかの危機的状況からの大逆転ゴールにより、先制点を挙げたうちのチームはそのまま、攻撃の姿勢を崩すことなく、虎の子の一点を守り切ったのだ。
試合が終わった後のお祭り騒ぎはすごかった。
優勝したのでもないのに普段は物静かで寡黙なランクセン監督が子供のようにはしゃぐ姿はかわいらしかった。
見ているだけで微笑ましい気分になってくるというのはああいうものかもしれない。
しかし、元々、あまりはしゃぐことに慣れていない私は軽い疲労を覚えてしまい、少し体を冷やしたくなったのだ。
外の空気をちょっと吸うつもりでふらりと訪れたホテルの庭園は日本庭園を模したものだったお陰か、気分が落ち着いてくる。
「あれ、先客かな? って、ミレイさん?」
不意に呼び止められて、その声にハッとする。
その声の主を忘れるはずもない。
「コウスケもああいう賑やかなところは苦手なの?」
「ええ、バレちゃいましたか。俺、口下手なもんで向いてないんですよ」
「そんなこともないと思うけど。コウスケは自分で気づいていないだけで人を動かせる力があるのよ?」
彼は自分のコーチング能力の高さというものを自覚していない。
戦術への理解能力も高いコウスケはフィールドの後ろから、全体の動きを把握して、試合中にかなり、的確な指示を与えているのだ。
「そうなんですか? 自分ではそんなつもり、ないんですけどね」
私に褒められたのが嬉しかったのか、照れて頭をポリポリと掻く様子すらかわいく見えてくるのだから、私も末期かな。
アリスのこと言えたものじゃない。
大柄でかわいらしい彼の姿が大きなテディベアのように見えているのだから。
「今日はおめでとう。そして……ありがとう、コウスケ。あなたのお陰で私……まだ、オーナーを続けられるかもしれないわ」
私がそう言うと彼は先程までの照れて、崩れていた表情を消して、真顔になった。
「俺、今日頑張れたのは……その……えっと俺の女神が見ていてくれたからであって、えっと、だから……」
「ん?」
彼がしどろもどろに発する言葉の意味を理解出来なくて、小首を傾げてしまう。
女神とか、何の話をしているんだろう?
「いや、あの……そのだから、ミレイさんが俺の……ですね、その……女神で」
「は、はい? 私が女神……え?」
私より頭一つどころか、二つ以上大きいコウスケを見上げると熟れたトマトみたいに赤い顔になっていた。
彼の視線と私の視線が絡み合って、どちらも目を離せないまま、時だけが静かに流れていく。
「俺……年下だし、まだ全然駄目な奴だし。だけど、ミレイさんのこと好きな気持ちだけは誰にも負けません」
「私ね、コウスケ……」
嘘でしょ、先に言われちゃった。
素直になって、私から言おうと思っていたのに言われちゃった。
おまけに今、彼に抱き締められている。
力強くギュッと抱き締めるのじゃなくて、どこか自信がないようで壊れ物を扱うようにそっと抱き締められている。
「迷惑ですよね」
弱々しく私を抱き締めていた彼の力がさらに弱まって、離れて行ってしまうと感じて。
私は彼の背中に腕を回す。
力を込めて、逃がさないというメッセージとともに。
「迷惑じゃないから」
私の言葉が意外だったのか、彼は目を大きく見開いて、私を凝視してくる。
もう目を逸らしたりはしないよ。
素直になるって、決めたんですもの。
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