【完結】日本で生まれたのに見た目はファンタジーな私!日本語しか喋れないんだけど、何か悪いの?~ピンク髪のヒロインはVRゲームの中で恋愛する~

黒幸

文字の大きさ
41 / 43
後日談

番外編14話 ミサの好きな人

しおりを挟む
 私、北条美彩ほうじょう みさはいわゆる旧家に生まれました。
 いわゆるお嬢様と呼ばれる部類に入る私です。
 しかし、正直に申しまして、それほど幸せであると感じたことはあまり、ないのです。
 幼い頃から、厳しく礼儀作法に躾け、習い事に追われる日々。
 それは幸せになるべく努力しなければならないことだったのかもしれません。
 私にとっては単なる苦行にしか、感じられなかったのですが……。

 そんな私には学校もあまり好ましい場ではありませんでした。
 なぜかと申しますと北条美彩ほうじょう みさというお嬢様を利用したいから、近付いてくる者が跳梁跋扈する場だったから。
 私という人間を肩書なしで理解しようとしてくれる人など誰もいやしなかったのです。

 私の苦しみは高校生になるまで続きました。
 そんな中、私は一つの癒しを見つけたのです。
 それが文芸部という存在でした。
 そこでは私を肩書と関係なく、受け入れてもらえました。
 好きな文学作品について語り合い、ただ好きな本を読み合い、自由に振舞える。
 私は初めて、喜びを感じました。

 そこから、私はちょっとだけ、変われた気がするのです。
 まず、人目をあまり気にしなくなりました。
 それまで自分はこうあらねばならないという思いが強く、疲れるくらいに心がすり減っていました。
 気にしなくなると楽なものです。
 不思議なことが起こりまして、私は友人というものに恵まれるようになったのです。
 そこで私はまた、気付いてしまいました。
 肩書を気にして壁を作っていたのは自分自身だったのだと。

 文芸部が居心地のいい場所になって、二年。
 部長を任されました。
 その頃の私は『近寄りがたいお嬢様』から、『ちょっと変わったお嬢様』へと良くなったのか、悪くなったのか、分からない評価をされていたのです。
 私は『それがどうしたの?』と気にしなくなっていました。
 人とは成長する生き物だというのを実感出来ますわ。

 部長になってから、私を補佐してくれる優秀な一年生が二人も入部してくれたのがこの頃のことです。
 二人は優秀なだけでなく、友人としても信頼出来る人間でした。
 それに心から一緒にいて楽しいと感じられる。
 そんな風に感じたのは初めての経験だったのです。

「二人は付き合っているのね?」
「「はい(ええ)」」

 ああ、これがいわゆる百合なのね、と思った私でしたがそれは勘違いでした。
 女子だと思っていたカオルさんが、女子ではないので普通にお付き合いしているだけなのです。
 それなのに二人が見つめ合っていると倒錯的な雰囲気が漂ってくるのは何なのでしょうね?
 こうして、私はまた、新たなページを開いたのでした。

 🌺 🌺 🌺

 ある日、二人が神妙な顔をして、私に紹介したい人がいるといって、連れてきた少女を見て、私の中で何かが目覚めました。

「よ、よろしくお願いします、北条先輩」

 そう言って、挨拶をする少女の姿を見た瞬間、私の身体を電撃が貫きました。
 桃色のようにも見える金色の髪。
 いわゆるストロベリーブロンドの長い髪だけでも神秘的なのにその瞳は単なるブルーではなく、瑠璃色なのです。
 リップを塗ってもいない桜色の唇はぷっくらとしていて、何とも魅惑的でした。
 肌は白磁のように白く、滑らかでその姿はまるで天使のよう。
 私は気付きました。
 そうです、愛です!
 愛でたい方の愛ではありません。
 この少女を私の力で幸せにしてあげたいのではなく、導いてあげたい……そんな愛なのです。

 私は運命を感じた少女・北畠亜莉子きたばたけ ありすを全力で応援することを決めました。
 彼女の幼馴染でもあり、文芸部におけるであるカオルくんとスミカさんも同じ思いを抱いていると知りました。
 そうなれば、私と彼らが手を結ぶのは運命の必定!
 そして、導かれた答えは彼女を幸せにするには幼馴染との恋を成就させるのが一番というもの。

 自分が使える手は全て、使いました。
 それこそ羞恥心など省みずに!
 しかし、なぜか、うまくいかないのです。
 スミカさんに言わせると『部長のアイデアはどれも絵に描いた餅です』だそうです。
 私にはどこが悪いのか、全く分かりません。
 完璧な作戦だったのです。
 そこで私は良く考えてみました。
 うまくいかない理由にはたと気付いたのです。
 私自身が恋愛経験もないのにアリスちゃんの恋を応援出来ようはずがありません。
 そうと決まれば、話は早いのです。
 私はありとあらゆる恋愛小説を読みまくりました。
 それでは足りないとばかりに乙女ゲームにも手を出したのです。
 これだけではまた、失敗すると思った私は成人指定ゲームにまで手を出しました。
 これで完璧です。
 カオルくんとスミカさんには呆れ顔をされましたがなぜでしょうね?

 しかし、想いは通じるものですね。
 勿論、私の重いお……もとい想いではなく、アリスちゃんの想いが通じたのです。
 思えば、今回の作戦は完璧だったのです。
 VRMMOを使って、素直になれない二人をそれとなく、良い雰囲気に持っていくという柔らかなオブラートに包んだのが良かったのでしょう。
 『将を射んとする者はまず馬を射よ』と言いますものね。

 私の宿願は卒業する前に果たされました。
 アリスちゃんが幸せになった顔を見せてくれたのですから、心おきなく学校を去れるというものです。
 あとのことはカオルくんに任せておきましたが彼なら、きっといい方向に導いてくれることでしょう。
 それに卒業してもVRMMOでまた、皆で集まることも出来るのですから、少しくらい会えなかったとしても寂しくはないでしょう。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

処理中です...