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19 人喰いブロッブ
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バルディエルの警告に従って、彼女が注意を促した二時の方角へと意識を飛ばす。
鷹の目みたいな魔法というか、特殊な能力というか。
かなり離れた場所であっても双眼鏡を覗くのよりもずっとはっきり見えてしまう。
これがイメージこそが魔法の発現と言われる理由なんだろう。
無意識のうちに発動しているので、正直よく分からないとも言える。
運動神経が切れているなんて、言われ方をされても反論できないわたしが屋根から屋根に飛び移ったり、風のように速く走ることができるのも全て、それのお陰なんだと思う。
そこには三匹の得体の知れない生き物がいた。
ぶよぶよとしたモノとでも言えば、いいんだろうか。
不定形で常に蠢いていて、色はヘドロみたい。
お世辞にもきれいではないし、間違っても可愛くない。
「三匹ほど、いるわ」
「三匹かあ。距離はどれくらいだっけ?」
「200くらいかな」
距離にして、およそ200メートルくらい。
普通の生物であれば、まだ認識されていないはず。
そう、普通の生物であれば、という仮定なので普通ではない生き物であれば、こちらの熱や匂いなどを感知するのかもしれないってこと。
メルキセデクの講義でもそういう点を考慮に入れることが重要であり、石橋は叩きすぎるくらいで丁度いいそうだ。
確かに気になる点はあった。
不定形生物の周囲には何らかの生き物の骨と思しき白いものが散乱していた。
骨が野生動物や魔物であるとは限らないし……。
もしかしたら、犠牲者となった人間かもしれない。
「人喰いスライムかぁ……」
『もはやスライムというより、ブロッブと言うべきでしょう、ミレイユ』
「スライムだろうが、ブロッブだろうがどっちでもいいわよ。あれの弱点は?」
「火じゃないかな」
『その通りだ。彼らは炎に弱い。唯一の弱点とも言えるだろう』
余計な講釈が多いバルディエルと比べて、ユーくんとメルキセデクの親切なこと!
あの子もこれくらい、親切だったらもっと、楽なんだろうけど。
でも、天邪鬼ぽいバルディエルのことは嫌いじゃない。
むしろ相棒と呼ぶくらい好きではあるので、それも個性だと思って諦めている。
「じゃあ、近づかれる前に片付けちゃうね」
「……うん。分かった」
レイドなので基本的には誰が片付けても問題ない。
むしろ、さくっと終わって、楽ができるのでユーくんはもっと喜んでくれてもいいのだけど……。
義理堅いというか、真面目だから、何もしないのに稼げるっていうので申し訳ないと思っちゃうみたい。
それとも戦いたいという戦闘民族みたいな気持ちでいるのかな?
すまなそうな顔をしているから、前者だと思うんだよね。
『雑念を払ってください、ミレイユ』
「はいはい。やってますからー」
ストレージから、アーバレストを取り出して、構える。
構え方はスポーツをやっていないだけに変かもしれない。
映画で警官が銃を構えているのを真似ているだけだから。
後は割と簡単だ。
まずは燃え上がる炎をイメージする。
イメージが大事なのは言うまでもない。
そうするとアーバレストに自動的に矢が装填される。
それも炎の属性を宿した魔法の矢!
鷹の目を駆使しながら、引き金を引けば、全てが終わる。
「まずは一匹目!」
手前にいた個体から、まずターゲットして炎の矢を撃ち込んだ。
距離は詰めてないから、どうやら向こうは察知していなかったということらしい。
中心部を炎の矢で貫かれたスライム? ブロッブ? は可燃物でもかけられたのかって勘違いしそうなほど、勢いよく燃え上がった。
メルキセデクが炎に弱いって言ったけど、ここまで弱いとは……。
断末魔の悲鳴を上げることもなければ、苦しんでいる素振りを見せる訳でもなく、一匹目は炎上して動かなくなった。
見た目では判断しにくいけど、それなりに知性があるらしくて、残りの二匹は周囲を警戒するような素振りを見せている。
「でも、無駄だと思うのよ。次!」
『ミレイユ。だから、独り言は止めた方がいいと……』
ポイントでアップデートしたせいか、バルディエルのお小言がうるさい。
ユーくんが微妙な顔になっているのはわたしの独り言のせいじゃないから、多分……。
二匹目、三匹目もどこから狙われているのか、分からないまま、炎上して物言わぬ骸となった。
骸というよりも単なる消し炭と言った方が近いけど。
「これ、やっぱり……人の骨だよね?」
「多分、そうだね。動物のとは違うなあ」
周囲を警戒しつつ、ブヨンブヨンしたモノが占拠していたところを探索することにした。
最悪なことに散乱していた骨は、人間の物だった。
それがプレイヤーなのか、それとも何も知らない地域の住民なのかは分からない。
それでもかなりの数の犠牲者が出たことは間違いない。
そこら中に骨が散らばっていて。
まさに地獄絵図といった感じだ。
『彼らは音もなく、獲物に近寄り、全身を取り込んでからゆっくりと溶解させ、養分を吸収する』
メルキセデクがまたも訳知り顔で中々のイケボで解説してくれる。
ユーくんのグリゴリ・メルキセデクは既に『リトリー・オンライン』の時と同じ姿にアップデートされていて、白いカラスなんだけど……。
鳥の姿なのに訳知り顔をしているとはっきり、分かってしまうのが不思議ではある。
バルディエルとはまた違う個性の持ち主だと言える。
グリゴリは全員がこんなに興味深いのか、気になるところだけど、そうとも言えない気がする。
海外に住んでいる友人のサポートAIはそこまで個性的ではないのが多かったから。
「おや。もう倒したのかい? 早いね」
スリムなスタイルにぴったりあう黒のレザーでファッションを統一したのっぽさんが、立っていた。
その隣で言葉なく、ひらひらと手を振っているのは、これまた長身のモデルみたいなスタイルの美女!
バルディエルは分かっていて、教えなかったに決まっている。
メルキセデクが何も言わないでいたのは意外だけど、恐らく共謀していたんだろう。
すっかり忘れていた。
今回のレイド、一緒にやるのはユーくんだけではないのだ。
あと二人、合流するんだった……。
鷹の目みたいな魔法というか、特殊な能力というか。
かなり離れた場所であっても双眼鏡を覗くのよりもずっとはっきり見えてしまう。
これがイメージこそが魔法の発現と言われる理由なんだろう。
無意識のうちに発動しているので、正直よく分からないとも言える。
運動神経が切れているなんて、言われ方をされても反論できないわたしが屋根から屋根に飛び移ったり、風のように速く走ることができるのも全て、それのお陰なんだと思う。
そこには三匹の得体の知れない生き物がいた。
ぶよぶよとしたモノとでも言えば、いいんだろうか。
不定形で常に蠢いていて、色はヘドロみたい。
お世辞にもきれいではないし、間違っても可愛くない。
「三匹ほど、いるわ」
「三匹かあ。距離はどれくらいだっけ?」
「200くらいかな」
距離にして、およそ200メートルくらい。
普通の生物であれば、まだ認識されていないはず。
そう、普通の生物であれば、という仮定なので普通ではない生き物であれば、こちらの熱や匂いなどを感知するのかもしれないってこと。
メルキセデクの講義でもそういう点を考慮に入れることが重要であり、石橋は叩きすぎるくらいで丁度いいそうだ。
確かに気になる点はあった。
不定形生物の周囲には何らかの生き物の骨と思しき白いものが散乱していた。
骨が野生動物や魔物であるとは限らないし……。
もしかしたら、犠牲者となった人間かもしれない。
「人喰いスライムかぁ……」
『もはやスライムというより、ブロッブと言うべきでしょう、ミレイユ』
「スライムだろうが、ブロッブだろうがどっちでもいいわよ。あれの弱点は?」
「火じゃないかな」
『その通りだ。彼らは炎に弱い。唯一の弱点とも言えるだろう』
余計な講釈が多いバルディエルと比べて、ユーくんとメルキセデクの親切なこと!
あの子もこれくらい、親切だったらもっと、楽なんだろうけど。
でも、天邪鬼ぽいバルディエルのことは嫌いじゃない。
むしろ相棒と呼ぶくらい好きではあるので、それも個性だと思って諦めている。
「じゃあ、近づかれる前に片付けちゃうね」
「……うん。分かった」
レイドなので基本的には誰が片付けても問題ない。
むしろ、さくっと終わって、楽ができるのでユーくんはもっと喜んでくれてもいいのだけど……。
義理堅いというか、真面目だから、何もしないのに稼げるっていうので申し訳ないと思っちゃうみたい。
それとも戦いたいという戦闘民族みたいな気持ちでいるのかな?
すまなそうな顔をしているから、前者だと思うんだよね。
『雑念を払ってください、ミレイユ』
「はいはい。やってますからー」
ストレージから、アーバレストを取り出して、構える。
構え方はスポーツをやっていないだけに変かもしれない。
映画で警官が銃を構えているのを真似ているだけだから。
後は割と簡単だ。
まずは燃え上がる炎をイメージする。
イメージが大事なのは言うまでもない。
そうするとアーバレストに自動的に矢が装填される。
それも炎の属性を宿した魔法の矢!
鷹の目を駆使しながら、引き金を引けば、全てが終わる。
「まずは一匹目!」
手前にいた個体から、まずターゲットして炎の矢を撃ち込んだ。
距離は詰めてないから、どうやら向こうは察知していなかったということらしい。
中心部を炎の矢で貫かれたスライム? ブロッブ? は可燃物でもかけられたのかって勘違いしそうなほど、勢いよく燃え上がった。
メルキセデクが炎に弱いって言ったけど、ここまで弱いとは……。
断末魔の悲鳴を上げることもなければ、苦しんでいる素振りを見せる訳でもなく、一匹目は炎上して動かなくなった。
見た目では判断しにくいけど、それなりに知性があるらしくて、残りの二匹は周囲を警戒するような素振りを見せている。
「でも、無駄だと思うのよ。次!」
『ミレイユ。だから、独り言は止めた方がいいと……』
ポイントでアップデートしたせいか、バルディエルのお小言がうるさい。
ユーくんが微妙な顔になっているのはわたしの独り言のせいじゃないから、多分……。
二匹目、三匹目もどこから狙われているのか、分からないまま、炎上して物言わぬ骸となった。
骸というよりも単なる消し炭と言った方が近いけど。
「これ、やっぱり……人の骨だよね?」
「多分、そうだね。動物のとは違うなあ」
周囲を警戒しつつ、ブヨンブヨンしたモノが占拠していたところを探索することにした。
最悪なことに散乱していた骨は、人間の物だった。
それがプレイヤーなのか、それとも何も知らない地域の住民なのかは分からない。
それでもかなりの数の犠牲者が出たことは間違いない。
そこら中に骨が散らばっていて。
まさに地獄絵図といった感じだ。
『彼らは音もなく、獲物に近寄り、全身を取り込んでからゆっくりと溶解させ、養分を吸収する』
メルキセデクがまたも訳知り顔で中々のイケボで解説してくれる。
ユーくんのグリゴリ・メルキセデクは既に『リトリー・オンライン』の時と同じ姿にアップデートされていて、白いカラスなんだけど……。
鳥の姿なのに訳知り顔をしているとはっきり、分かってしまうのが不思議ではある。
バルディエルとはまた違う個性の持ち主だと言える。
グリゴリは全員がこんなに興味深いのか、気になるところだけど、そうとも言えない気がする。
海外に住んでいる友人のサポートAIはそこまで個性的ではないのが多かったから。
「おや。もう倒したのかい? 早いね」
スリムなスタイルにぴったりあう黒のレザーでファッションを統一したのっぽさんが、立っていた。
その隣で言葉なく、ひらひらと手を振っているのは、これまた長身のモデルみたいなスタイルの美女!
バルディエルは分かっていて、教えなかったに決まっている。
メルキセデクが何も言わないでいたのは意外だけど、恐らく共謀していたんだろう。
すっかり忘れていた。
今回のレイド、一緒にやるのはユーくんだけではないのだ。
あと二人、合流するんだった……。
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