【完結】殿下から逃げ出したい転生者と、転生者を手に入れたい殿下の攻防〜味方のはずの父と兄は殿下とグルでした〜

ウミ

文字の大きさ
16 / 41

万葉様はお母様の姉様

しおりを挟む
【お知らせ】

 神族=皇族(巫女は皇族の中から輩出される)

 混乱した方は申し訳ありません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 た、畳だ!!!!

 部屋からかおる畳の匂いは、懐かしさしかなかったし、障子だって前世の日本を思い起こさせた。

 村に着き、おじちゃんに言われた"まよ"という人物を探していた俺。人探しは難航するかと思ったが、あっさりとその目的の人物にたどり着いた。"まよ"様は、巫女なんだって。

 多分、お母様と一緒。

「そこへ座れ」

「はい」

 目の前には、朧げながらも記憶にあるお母様とよく似た女の人。多分お母様が生きていたらこんな風になっているんだろうな、と思わせる。

「そなたは、伽耶かやの子供だの?」

 何も言っていないのに、まよ様はあっさりと言い当てた。

「ええ、そうです。失礼ですが貴女は……」

「我は伽耶の姉じゃ」

 やっぱりそうなんだ。

 にっこりと笑みを浮かべたまよ様は、とても美しかった。洗練された美しさ。

「それから、そなたは追われておるな?」

 え、殿下追ってきてんの? 諦めてないの?

「そうなのですか?」

「あぁ、数年前、伽耶が消えた際に感じた忌々しい気と同種の気がそなたはから感じられる」

 つまり、殿下は俺に執着していると。やめてくれ。

 帝国にいた時に散々な目にあった記憶がぶり返し、思わず首元へ手をやった。でも、馴染みの感触がない。

 あ、そうだった。お母様の形見はこっちにきた時に無くなったんだっけ。

「それから、そなたは別の世界からやってきたか? いや、違う。別の世界からやってきてこちらに産まれ直した? 不思議な魂じゃの」

 切長の目を見開いてマジマジと見つめられ、ドキドキした。まさか、前世のことまでバレるなんて思わなかった。

「まよ様はなんでも分かるのですね」

「うむ、だが神力は伽耶の方が強かったでな。伽耶もそなたの不思議な魂は気づいておったじゃろうて」

 そうか、お母様もこのすごい人と一緒の巫女だったんだ。

「それから、我の力を込めた供物を食したな?」

 茶葉の事かな?

「多分……?」

 食したというか、正確には嵌められたんだけど。神妙に頷く俺に、まよ様はため息を吐いていた。

「よいか。供物は神力を持っておらぬ者には作用せぬ。伽耶の娘でなければ力は発動しなかったであろう」

 ん? じゃあ、一般人が飲んだなら普通のお茶だったってこと? 商人さん、下手したらインチキになっていたかもよ。

「では、俺、いえ、私だったからこのような事に?」

「うむ。我の力がどのようにそなたに影響したのか分からぬが、原因の一部にはその不思議な魂も関与しておる」

 ふむ、つまり?

「私の魂が普通であれば別の作用が起きていたと?」

「そうじゃ。まぁ一度伽耶も誤って飲んだことがあった。その時は体毛が金に変わり、異常な速さで髪が伸びたぞ。が、まぁ飲んで1ヶ月もすればすぐに普通の黒髪が生えてきたの。伽耶は1年で元の体毛の色に戻った」

 マジ? お母様もやったことあんの?

「じゃ、じゃあ。期限内にお茶をくれた人とキスしたら呪いが解けるというのは?」

「なんじゃそれは。あり得んぞ。我の力はそのような馬鹿げたことでは消えん。大方、売りつけた奴らが作ったのであろうの」

 殿下バリバリ信じていらっしゃったし。ドヤ顔で解説していらっしゃったし。

「ぶふっ!」

 殿下のドヤ顔を思い出して吹き出した。

「なんじゃ」

「ふくくく……い、イエ。なんでもございません」

 何もしていないのに、殿下に1発食らわせてやったような気分になる。
 しばらく笑い転げていた俺を、まよ様は困ったような目で見つめていた。

 あ、そうだ!

「あの、私は本当は男で。まよ様の力で私を元に戻すことってできませんか?」

「無理じゃ。視るかぎり、そなたは体の構造から変わっておろう? 髪程度なら直る。しかし、そのような大規模なものは無理じゃ」

「あ、はい」

 キッパリと宣言された。俺の女体化は異例中の異例だったらしい。

「そう落胆すな。そなたは伽耶によう似ておる。我はそなたが男でも女でも気にせんが、やはり娘というのには憧れたからの。かわゆいぞ」

 そっと頭を撫でられた。かわゆいのか、俺。だけど、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。なんなら、落ち着いた。

「まよ様、ありがとうございます」

「よい」

 ふわりとウメの香りが、俺を優しく包み込んだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【日記スペースbyまよ】

 リンという鈴の音が聞こえたと思えば、数年前に行方不明になった妹の面影がある少女が我を訪ねてきた。おそらく伽耶の力を使ったか。
 伽耶の面影を強く残した見目麗しい姿形。姉の伽耶の神力と酷似した膨大な神力。我は、この子は伽耶の子供だと確信した。
 ただ1つ気にかかったことがあった。それは魂の色が普通ならあり得ない色であることだ。まるで1度人生を経験したかのような……そしてそれは当たりだったことに驚いた。

 伽耶の神力が影響したのじゃろうか? 元は男じゃったらしいが、我の力が込められた供物を口にしたせいで女になったと。直す方法はない。本人はあまり気にしていないようじゃったが、心が痛んだ。大方、西の国の奴らのせいじゃろう。

 伽耶がいなくなった時に感じた気と同じ種類の気が目の前の娘に纏わりついていたからの。

 運命の伴侶、一種の御伽噺の中にある物だが実は本当に存在する。西の国の奴らの中にはソレを嗅ぎ取る・・・・力に優れた者がいるようじゃ。そのせいで、伽耶も、そしてこの娘も囚われたのじゃろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 感想とお気に入り登録、よろしくお願いします‼︎
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!

こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。 そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。 婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。 ・・・だったら、婚約解消すれば良くない? それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。 結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。 「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」 これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。 そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。 ※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。 ※本編完結しました。 ※後日談を更新中です。

白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活

しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。 新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。 二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。 ところが。 ◆市場に行けばついてくる ◆荷物は全部持ちたがる ◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる ◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる ……どう見ても、干渉しまくり。 「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」 「……君のことを、放っておけない」 距離はゆっくり縮まり、 優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。 そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。 “冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え―― 「二度と妻を侮辱するな」 守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、 いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした

果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。 そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、 あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。 じゃあ、気楽にいきますか。 *『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…

ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。 王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。 それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。 貧しかった少女は番に愛されそして……え?

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

処理中です...