23 / 41
お母様の兄はお母様似
しおりを挟む
「そなたが万葉が言っておった伽耶の娘か」
「はい」
目の前に、天皇様がいらっしゃる。まよ様にとても似ていて、美しくしなやかな雰囲気のある美貌の持ち主だった。
それから、周囲の護衛の目が怖い。この中にすおうって人の手駒も入っているんだろうか。気になるが知らんぷりする。
「遺物を盗んでいた者たちの捕縛に貢献したそうだな?」
「はい」
「流石は伽耶の娘だ」
チラチラと護衛を気にする私を天皇様は全く気にした風もなくにっこり笑う。そして、私へ何かを渡してきた。
「これは?」
「褒美だ。そなたは神石で此方にきたのだろう? やむを得ぬ事情があったと推測できる。これは予備のものだ。視たかぎり、問題は解決していないようだから」
ということは、私に纏わりついているらしい殿下の気が天皇様にも見えるってことですね?
神石って、まよ様の言葉を聞いていたら結構貴重なものみたいだから、破格の報酬なのかもしれない。しかし、それを渡される私って……殿下よ。さっさと諦めてくれ!!!!!!!!
「ありがとうございます」
「よい。使い方は万葉から教えてもらうように」
「はい」
早速教えてもらいたい。それから、護衛の目が怖い……やめてよ護衛の皆様。そんな怖い目で見ないでくれないかな!?!?
「まよ、伽耶の二の舞とならぬよう華雪を頼むぞ」
「分かっておる」
天皇様はまよ様にそう一言いって帰っていった。
「神石は使わないんですね」
「護衛が使えぬからのう。アレらはハッキリ言って無能じゃ」
え? じゃあなんているの!?!?
「兄は強いが、その力は隠しておる。護衛は他の皇族たちが天皇の命を握っていると思わせるためのものじゃ。有頂天になっておる奴らはアホじゃが……兄はほんに怖いぞえ」
え、そんなにお兄様強いの?
そう思ったが、天皇様はいつも自分に結界を張っているらしい。うん、まよ様が無理って言ったやつ。
ちなみに、最後。まよ様は、
「あやつは人ではない」
とも言っていた。多分冗談なんだろうけど。
◇◇◇
さて、皆さま。やっと念願の神力の扱い方を教えてもらう日になりました。
しかし、開始早々私は根を上げた。
「う……む……」
そう、私は神力を使うセンスが壊滅的になかったのだ。
普段から森羅万象より神に祈りを捧げている東の国の皇族達は、まよ様の言うことがわかるのだろう。でも、私には分からなかった。
「ま、まよ様」
「も、もう少し頑張ってみるのじゃ。丹田が分かるかの? 臍のーー」
数時間後、私とまよ様は家の畳に突っ伏していた。
「……そなたは神力の扱いが壊滅的じゃ。諦めるのじゃな」
「それだとせっかくもらった神石使えません……」
「神石には我が鍵をつけておいてやる。かろうじて、神力を出すことは出来ておるから大丈夫じゃろう」
私には分からないけど、さっきの数時間で神力を身体から出せるようになっているらしい。蛇口をひねるイメージで腹に力を込めたら、まよ様が神力が出ているって大喜びしていた。
だけど、その後はどれだけ頑張っても神力が出てくるだけで、神力を操ることは愚か、感じることさえも出来なかった。
こんな時、異世界物の小説では出来るはずなんだけど……腹に力を込めて……
ーーぷすぅ
…………すかしっぺが出てしまった。幸いまよ様は気づいていなかった。よし、気を取り直して。
「華雪、神力を出しすぎると体に障る。もうやめるのじゃ」
まよ様に止められた。
「腹に力を入れてオナラをしてしまったことは我でもある。じゃが、出そうになったら便所に行くのじゃぞ」
トドメの注意に、俺の顔は真っ赤に染まった。聞こえてたのね。
「はい、すみません」
「いや、よい。なんなら伽耶もやっておった。ちなみに伽耶はすかしっぺではなかったぞ」
つまり、音付き。
「……お母様の名誉のためにも、聞かなかったことにしますね」
「伽耶は笑っておったがのう」
……俺の記憶のお母様はお淑やかだったけど、案外お茶目な人だったのかもしれない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【日記スペースby作者】
おならは生理現象。お腹に力を込める=おなr
寛容な心で許してくださると嬉しいです。
感想とお気に入り登録よろしくお願いします!
「はい」
目の前に、天皇様がいらっしゃる。まよ様にとても似ていて、美しくしなやかな雰囲気のある美貌の持ち主だった。
それから、周囲の護衛の目が怖い。この中にすおうって人の手駒も入っているんだろうか。気になるが知らんぷりする。
「遺物を盗んでいた者たちの捕縛に貢献したそうだな?」
「はい」
「流石は伽耶の娘だ」
チラチラと護衛を気にする私を天皇様は全く気にした風もなくにっこり笑う。そして、私へ何かを渡してきた。
「これは?」
「褒美だ。そなたは神石で此方にきたのだろう? やむを得ぬ事情があったと推測できる。これは予備のものだ。視たかぎり、問題は解決していないようだから」
ということは、私に纏わりついているらしい殿下の気が天皇様にも見えるってことですね?
神石って、まよ様の言葉を聞いていたら結構貴重なものみたいだから、破格の報酬なのかもしれない。しかし、それを渡される私って……殿下よ。さっさと諦めてくれ!!!!!!!!
「ありがとうございます」
「よい。使い方は万葉から教えてもらうように」
「はい」
早速教えてもらいたい。それから、護衛の目が怖い……やめてよ護衛の皆様。そんな怖い目で見ないでくれないかな!?!?
「まよ、伽耶の二の舞とならぬよう華雪を頼むぞ」
「分かっておる」
天皇様はまよ様にそう一言いって帰っていった。
「神石は使わないんですね」
「護衛が使えぬからのう。アレらはハッキリ言って無能じゃ」
え? じゃあなんているの!?!?
「兄は強いが、その力は隠しておる。護衛は他の皇族たちが天皇の命を握っていると思わせるためのものじゃ。有頂天になっておる奴らはアホじゃが……兄はほんに怖いぞえ」
え、そんなにお兄様強いの?
そう思ったが、天皇様はいつも自分に結界を張っているらしい。うん、まよ様が無理って言ったやつ。
ちなみに、最後。まよ様は、
「あやつは人ではない」
とも言っていた。多分冗談なんだろうけど。
◇◇◇
さて、皆さま。やっと念願の神力の扱い方を教えてもらう日になりました。
しかし、開始早々私は根を上げた。
「う……む……」
そう、私は神力を使うセンスが壊滅的になかったのだ。
普段から森羅万象より神に祈りを捧げている東の国の皇族達は、まよ様の言うことがわかるのだろう。でも、私には分からなかった。
「ま、まよ様」
「も、もう少し頑張ってみるのじゃ。丹田が分かるかの? 臍のーー」
数時間後、私とまよ様は家の畳に突っ伏していた。
「……そなたは神力の扱いが壊滅的じゃ。諦めるのじゃな」
「それだとせっかくもらった神石使えません……」
「神石には我が鍵をつけておいてやる。かろうじて、神力を出すことは出来ておるから大丈夫じゃろう」
私には分からないけど、さっきの数時間で神力を身体から出せるようになっているらしい。蛇口をひねるイメージで腹に力を込めたら、まよ様が神力が出ているって大喜びしていた。
だけど、その後はどれだけ頑張っても神力が出てくるだけで、神力を操ることは愚か、感じることさえも出来なかった。
こんな時、異世界物の小説では出来るはずなんだけど……腹に力を込めて……
ーーぷすぅ
…………すかしっぺが出てしまった。幸いまよ様は気づいていなかった。よし、気を取り直して。
「華雪、神力を出しすぎると体に障る。もうやめるのじゃ」
まよ様に止められた。
「腹に力を入れてオナラをしてしまったことは我でもある。じゃが、出そうになったら便所に行くのじゃぞ」
トドメの注意に、俺の顔は真っ赤に染まった。聞こえてたのね。
「はい、すみません」
「いや、よい。なんなら伽耶もやっておった。ちなみに伽耶はすかしっぺではなかったぞ」
つまり、音付き。
「……お母様の名誉のためにも、聞かなかったことにしますね」
「伽耶は笑っておったがのう」
……俺の記憶のお母様はお淑やかだったけど、案外お茶目な人だったのかもしれない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【日記スペースby作者】
おならは生理現象。お腹に力を込める=おなr
寛容な心で許してくださると嬉しいです。
感想とお気に入り登録よろしくお願いします!
0
あなたにおすすめの小説
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない
百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。
幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
女嫌いな騎士が一目惚れしたのは、給金を貰いすぎだと値下げ交渉に全力な訳ありな使用人のようです
珠宮さくら
恋愛
家族に虐げられ結婚式直前に婚約者を妹に奪われて勘当までされ、目障りだから国からも出て行くように言われたマリーヌ。
その通りにしただけにすぎなかったが、虐げられながらも逞しく生きてきたことが随所に見え隠れしながら、給金をやたらと値下げしようと交渉する謎の頑張りと常識があるようでないズレっぷりを披露しつつ、初対面から気が合う男性の女嫌いなイケメン騎士と婚約して、自分を見つめ直して幸せになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる