【完結】殿下から逃げ出したい転生者と、転生者を手に入れたい殿下の攻防〜味方のはずの父と兄は殿下とグルでした〜

ウミ

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染み付いた父の教え

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 しばらくして、複数の男性が部屋に入ってきた。

「ほぉ」

「なんと」

「うむ」

 などなどそれぞれ私を見て好き勝手に反応しては座布団の上に座っていく。私にもついさっき座布団が用意されて今はふかふかの感触を味わっている最中だ。

 部屋に入ってきた人たちは全部で13名。ただ、ほとんどが歳をとっており、若い人はいないように見えた。

「華雪、この人達ではないですよ」

 どうやら私が宣言するのはこの人達ではないらしい。じゃあ誰なんだろう? そう思って先程の人達が入ってきた場所に目を向けると、見覚えのある顔の男が部屋に入ってきた。

「ひっ!?」

 どうしてここにいるのか? とか、着くのが早すぎやしないか? とか色んな思いがごちゃ混ぜになって頭を巡った。

「ルーナ」

 鋭い眼光を此方によこし、口元にうっすら笑みを浮かべた殿下に怯える。

 スッと殿下の目が細まった。アレは気に入らないことが起きた時にする動作だ。ブワッと鳥肌が立った。

 会って欲しい人というのは殿下のことだったのか?

「さて、皆さま。お集まりいただきありがとうございます。本日はーー」

 グルグルと考え込んでいるうちに、すおう様が口上のようなものを述べていたが、全く聞こえていなかった。

「華雪、どうしますか?」

「え?」

 気づいたのはすおう様が話しかけてきてから。

「マクシミリム王子と共に行くか、それとも巫女の元で暮らすか、私の妻となるか……貴女はどうしたいですか?」

 再度問われてやっと、質問の意味を理解した。ここで、私はすおう様と結婚すると言わなければならないのかと。
 しかし、相手は憎き殿下。私に恐怖を与え、トラウマを植え付けた人。

「わ……た、しは……」

 カラカラに乾いた口を無理やり開けて声を出す。

 本当なら殺してやりたいぐらい殿下が嫌い。憎い。俺から俺を奪ったんだから。でも、この人は将来帝国を創り上げていく人。

 "貴族は王族を守らなければならない。例え、その身が危険に晒されようとも、だ。"父から教わった帝国の教えが俺を縛りつけた。

 殺しちゃダメだ。


「……すおう様と………結婚します」

 とてもとても小さい声だったはずなのに、俺の声は広い空間に異様に響いた。

「というわけだ。マクシミリム王子よ」

 すおう様の満足げな声を最後に私は退出を命じられた。部屋を出ると、殿下の抗議のような声とすおう様の説明するような声がわずかに聞こえて来る。

「華雪様、此方へどうぞ」

 声に聞き耳を立てていた私をやんわりと引き離し、別の部屋へと連れて行かれた。

 ここはどこなんだろう? まよ様は無事なのか。

 女性の人に優しく手を引かれながら、私は焦りと不安の中にいた。

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【日記スペースby作者】

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