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危険な毒薬
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食事を始めて数分後、ポツリとすおう様が口を開いた。
「華雪は強いですね」
「⁇」
何が? と返そうとした瞬間、ピリッとした辛みを感じた数分後、俺の意識は暗転した。
毒か!!!! と理解した直後だった。
◇◇◇
ゆらゆらと揺れているのが体感で伝わってくる。
「⁇」
うっすらと目を開けると、視界が真っ黒な何かで覆われていた。
「ぅ!?!?」
ご丁寧に口にも何かはめてあり、声が出せない。
「おや? もう起きましたか。どうやら毒に耐性があるみたいですね」
頭上から聞こえてくる声は、先ほどまで向かい合ってご飯を食べていた人。つまり、すおう様の声だった。
「うぅ~~!!!!!!!!」
手足もどうやら縛られているようで、私はビッタンビッタンと魚が暴れるように体をめちゃくちゃに動かした。
「毒を盛られた直後なのに元気ですね?」
しらねぇーよ!
「うぐぐぐ!!!!」
「もう少し待ってくださいね。あと少しで着きますから」
どこに着くなんて知らなかったけど、今の状態が最悪なことはよく分かった。だけど、俺がいないことにはまよ様も気づくはず。そしたら、助けに来てくれる。それまで我慢すればいい。
「ああ、そうだ。今日はまよ様はあの家には帰ってきませんよ」
私の考えを読んだように、すおう様がそう言った。
「今、賊が乱入して騒ぎになっているでしょうから」
は? 嘘でしょ? まよ様が危ない!!!!
「安心してください。まよ様には危害を加えないように言っておりますから」
なんてことないように言うすおう様が空恐ろしく感じた。
「皇族に下民が触れるなど穢らわしいでしょう?」
コイツは、帝国の腐った貴族と一緒だ。まよ様とは全く違う思考回路は保守派の帝国貴族の考え方とよく似ていた。
まよ様は民は宝だと言っていたのに。
「ですが華雪、貴女は別ですよ? 帝国と皇族の混血。素晴らしい血筋を2つ併せ持つ存在ですからね」
まるで自分が作り上げた作品のような物言いにゾワリと鳥肌がたった。
「うぅぅ!」
思わず、唸り声のように低い声が出る。
「貴女こそ、この私に相応しい」
歌うようなすおう様の声とセリフ。真っ暗な視界の中、絶望に突き落とされたように感じた。
何故なら、その言い方だとお母様が行方不明になったのも、すおう様が関与しているように聞こえるからだ。
だとしても、この状況はどう考えてもバッドエンド。殿下の時と同じ、二の舞になりそうな予感がひしひしと伝わってくる。
やめてくれ、男に迫られても嬉しくない!!!!
「さて、すぐにでも貴女を手に入れたいところですがそうはいかないのですよ」
ガチャンと鉄がぶつかり合った重たい音が響いたあと、私はそっと地面に下ろされた。殿下の時は投げられたからまだマシかもしれない。
目隠しをとられると、そこには何畳あんの? ってぐらいの広い畳の間が目の前に広がっていた。
「んん!?!?」
「口はまだ取りませんよ。貴女のことだから騒ぎそうですし」
よく分かっていらっしゃる。
「ここがどこかは言いません。まぁ、察しているとは思いますが……今から貴女に会ってもらいたい人がいます。そこで、その方に"私はすおう様と結婚する"と言ってほしいのです。もし、拒否すればその方は帰る途中で病に侵され死ぬことになります。ちょうど病と同じ症状が出て死に至る薬があるんですよ」
タプンと瓶に入った液体を見せられて、直感でわかった。あれは本物だって。よく、帝国でも危険視されていた毒薬だ。南の国原産で希少価値が高く抗体も着きにくい。硝子製のソレは、わざわざそこから取り寄せたのだろう。
「いいですね?」
すおう様はいつもと同じ笑みを浮かべて再度聞いてきた。
もちろん、嘘かもしれないがそれでも私は嫌と言えない。
多分彼はそこら辺もわかっているのだろう。
縦に一つ頷けば、すおう様は満足げな顔をして私の口に巻いてあった布も取り去った。
「では、もう少ししたら来ますから静かに待っていてくださいね」
もう一度、目の前で瓶を揺らされすおう様は私の横に座った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【日記スペースbyアーノルド】
憎たらしい伯爵家の次男が死んだらしい。死因は伏せられているが、俺としては少し寂しいような気がした。
伯爵家だが、アイツは……殿下の横も素直に譲ってくれたし……嫌な奴だったが死んでほしいとまでは思っていなかった。
アイツが死んでから、殿下は塞ぎ込むのかと思ったら目に見えて機嫌がよかった。原因は新しい婚約者ができたこと。
そいつに会った時、俺はこの世の美を見ているのかと思った。ルヴィル、アイツが女になったらこんな風になるんだろうな、と思わせる美貌の持ち主だった。それからなぜか男言葉を使うこともあったし、そこらの令嬢と比べてもダンスも下手だった。だが、俺に媚を売らないところが他の令嬢とは違った。
しばらくして、殿下が城からいなくなった。聞けば、婚約者が東の国へ行ったので追うらしい。逃げたのだろうか? だが、以前、父に東の国は昔神の国だったという逸話があると聞いたことがある。殿下の婚約者が天から遣わされた者だったとしたら俺は納得できるかもしれない。
横で見るだけでもいいから彼女をもう一度見てみたい。今、俺の胸の内にあるのはそれだけだ。
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「華雪は強いですね」
「⁇」
何が? と返そうとした瞬間、ピリッとした辛みを感じた数分後、俺の意識は暗転した。
毒か!!!! と理解した直後だった。
◇◇◇
ゆらゆらと揺れているのが体感で伝わってくる。
「⁇」
うっすらと目を開けると、視界が真っ黒な何かで覆われていた。
「ぅ!?!?」
ご丁寧に口にも何かはめてあり、声が出せない。
「おや? もう起きましたか。どうやら毒に耐性があるみたいですね」
頭上から聞こえてくる声は、先ほどまで向かい合ってご飯を食べていた人。つまり、すおう様の声だった。
「うぅ~~!!!!!!!!」
手足もどうやら縛られているようで、私はビッタンビッタンと魚が暴れるように体をめちゃくちゃに動かした。
「毒を盛られた直後なのに元気ですね?」
しらねぇーよ!
「うぐぐぐ!!!!」
「もう少し待ってくださいね。あと少しで着きますから」
どこに着くなんて知らなかったけど、今の状態が最悪なことはよく分かった。だけど、俺がいないことにはまよ様も気づくはず。そしたら、助けに来てくれる。それまで我慢すればいい。
「ああ、そうだ。今日はまよ様はあの家には帰ってきませんよ」
私の考えを読んだように、すおう様がそう言った。
「今、賊が乱入して騒ぎになっているでしょうから」
は? 嘘でしょ? まよ様が危ない!!!!
「安心してください。まよ様には危害を加えないように言っておりますから」
なんてことないように言うすおう様が空恐ろしく感じた。
「皇族に下民が触れるなど穢らわしいでしょう?」
コイツは、帝国の腐った貴族と一緒だ。まよ様とは全く違う思考回路は保守派の帝国貴族の考え方とよく似ていた。
まよ様は民は宝だと言っていたのに。
「ですが華雪、貴女は別ですよ? 帝国と皇族の混血。素晴らしい血筋を2つ併せ持つ存在ですからね」
まるで自分が作り上げた作品のような物言いにゾワリと鳥肌がたった。
「うぅぅ!」
思わず、唸り声のように低い声が出る。
「貴女こそ、この私に相応しい」
歌うようなすおう様の声とセリフ。真っ暗な視界の中、絶望に突き落とされたように感じた。
何故なら、その言い方だとお母様が行方不明になったのも、すおう様が関与しているように聞こえるからだ。
だとしても、この状況はどう考えてもバッドエンド。殿下の時と同じ、二の舞になりそうな予感がひしひしと伝わってくる。
やめてくれ、男に迫られても嬉しくない!!!!
「さて、すぐにでも貴女を手に入れたいところですがそうはいかないのですよ」
ガチャンと鉄がぶつかり合った重たい音が響いたあと、私はそっと地面に下ろされた。殿下の時は投げられたからまだマシかもしれない。
目隠しをとられると、そこには何畳あんの? ってぐらいの広い畳の間が目の前に広がっていた。
「んん!?!?」
「口はまだ取りませんよ。貴女のことだから騒ぎそうですし」
よく分かっていらっしゃる。
「ここがどこかは言いません。まぁ、察しているとは思いますが……今から貴女に会ってもらいたい人がいます。そこで、その方に"私はすおう様と結婚する"と言ってほしいのです。もし、拒否すればその方は帰る途中で病に侵され死ぬことになります。ちょうど病と同じ症状が出て死に至る薬があるんですよ」
タプンと瓶に入った液体を見せられて、直感でわかった。あれは本物だって。よく、帝国でも危険視されていた毒薬だ。南の国原産で希少価値が高く抗体も着きにくい。硝子製のソレは、わざわざそこから取り寄せたのだろう。
「いいですね?」
すおう様はいつもと同じ笑みを浮かべて再度聞いてきた。
もちろん、嘘かもしれないがそれでも私は嫌と言えない。
多分彼はそこら辺もわかっているのだろう。
縦に一つ頷けば、すおう様は満足げな顔をして私の口に巻いてあった布も取り去った。
「では、もう少ししたら来ますから静かに待っていてくださいね」
もう一度、目の前で瓶を揺らされすおう様は私の横に座った。
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【日記スペースbyアーノルド】
憎たらしい伯爵家の次男が死んだらしい。死因は伏せられているが、俺としては少し寂しいような気がした。
伯爵家だが、アイツは……殿下の横も素直に譲ってくれたし……嫌な奴だったが死んでほしいとまでは思っていなかった。
アイツが死んでから、殿下は塞ぎ込むのかと思ったら目に見えて機嫌がよかった。原因は新しい婚約者ができたこと。
そいつに会った時、俺はこの世の美を見ているのかと思った。ルヴィル、アイツが女になったらこんな風になるんだろうな、と思わせる美貌の持ち主だった。それからなぜか男言葉を使うこともあったし、そこらの令嬢と比べてもダンスも下手だった。だが、俺に媚を売らないところが他の令嬢とは違った。
しばらくして、殿下が城からいなくなった。聞けば、婚約者が東の国へ行ったので追うらしい。逃げたのだろうか? だが、以前、父に東の国は昔神の国だったという逸話があると聞いたことがある。殿下の婚約者が天から遣わされた者だったとしたら俺は納得できるかもしれない。
横で見るだけでもいいから彼女をもう一度見てみたい。今、俺の胸の内にあるのはそれだけだ。
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