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~出会い編~
11.メリル…。君に言わなきゃいけないことがある
しおりを挟むパリィィンと音がして──
私の付けていたブレスレッドが割れた──
その瞬間─…
眩い光が辺りを包み、大規模な爆発が起きる─…
「っっっっ!!!!?」
目を開けると、辺り一面吹き飛ばられ、黒こげになった更地が広がっていた─…。
ロブ・ロードはボロボロになる完全に伸びている─。
「ふぇ…?」
「護りの魔法が効いたみたいだね」
ほっとしたように言うクロさんに、私は逆に背中の汗が止まらなくなる。
何ってもん持たせてくれたのよ──!!!
「ロブさんは師匠のところでこってり絞ってもらうから。死んだ方がマシってくらいね…」
そう冷たい声で言って、転送魔法でロブ・ロードは消えて行った。
本当…何だったんだろう…──。
どっと疲れが出てしまう。
クロさんはずっと黙っていて、何かを考えている様子だった。
「クロさん、助けてくれて、ありがとうございました。」
お礼を言うと、クロさんは吃驚したようにこちらを見る。
「きっと…昔飼っていた豚さんも、クロさんに感謝していると思いますよ」
「…………。え?」
豚さんの気持ちなら…少しわかるの。体型似てるし。
きっとクロさんに育ててもらって…幸せだった。
「ロブ・ロードに聞いたんです。昔、クロさんが大切に飼っていたペットの豚さんを手にかけてクロさんを傷つけたって…。」
それがクロさんに影を落としているのなら…
解放してあげたい…
「私を!!そのペットの豚さんだと思ってもらってもかまいません!!クロさんが悲しまないのなら!!」
意を決して宣言する。
私はクロさんの奥さんではなく、ペットの白豚聖女になると!!!
「ま、待って…?え…、豚!?」
クロさんが物凄く動揺している。
あれ…?おかしいな…?
「それって…、僕が修行の一環として、大事に美味しくなるよう日々研究して育ててた…養殖用の豚のこと…?」
「……ふぇっ!!!?」
え…養殖用…?食べる…の?
「まだ出荷前なのに、あいつが先に美味しく食べちゃったみたいで…少しがっかりしたんだけど…」
「………。え…?私を奥さんにしたのは…その豚に似てたからじゃ…」
二人の間に何とも言えない空気が流れる─…。
ロブ・ロードォォォォォ!!!!
紛らわしい言い方するんじゃないわよ!!!!
絶対次会ったら聖女の力で浄化してやる!!
あの黒い靄全部きれいな空気にしてくれる!!!
「メリル…。君に言わなきゃいけないことがある」
そう真剣な声でクロさんは私に向き合った──…
「君をお嫁さんにしたかったのは…『普通』に憧れてたからなんだ。僕は『成り損ない』だから─」
クロさんは真剣な声で語りだす。
ロブ・ロードも確か以前会ったときに『成り損ない』って言っていたような…。
クロさんは黒猫面に手を伸ばし、ゆっくりと面を外した──。
「っ……!!!」
クロさんの顔は─…私がこのセヴォン帝国で出会い…私に追放を言い渡した男…ルイセル・セヴォン皇帝陛下に…瓜二つだった──
ただ違うのは…皇帝陛下は黒髪に黒い瞳だったが…クロさんは黒髪に右眼は金色、左眼は深い青色のオッドアイ、右頬から額にかけて深い古傷が痛々しく残っていた─…。
「僕は、皇帝であるルイセル・セヴォンの双子の弟なんだ。兄とは違って異形として生まれ、桁外れの魔力を持ち、『ひと』ではない『成り損ない』として恐れられた─。」
セヴォン帝国では黒色の瞳が主流であり、それ以外は異形として悪魔憑きと忌み嫌われると聞いたことがある─…。両目の色が異なるクロさんは…──
「この傷は、生まれたばかりの僕に母が付けた傷なんだ。恐ろしい異形を祓おうとしたみたい。母は大分病んでしまってね…。僕は会えないまま弱って死んでしまったと聞いた。」
クロさんは遠くを見つめるような視線で悲しそうな表情をしていて…
胸が締め付けられた─…。
「魔力を抑え込むため、魔術師の一族に幼い頃から預けられ、力を操作する修行をしてたんだ。そこで一緒だったのがロブ・ロードだよ。師匠には本当にお世話になってね…」
クロさんの表情が少し穏やかなものに変わる。師匠と呼ばれる人が…クロさんにとってとても大切な人なのだとわかる。
「でも…。どこに行っても僕は異形で…『成り損ない』だった。憧れてたんだ…。『普通』の『ひと』に。家族に。」
クロさんの瞳から涙が溢れる。
どれだけ…苦しんできたんだろう…
こんなに優しくて…温かい心を持った『人』なのに…
「だから…メリルにね、お嫁さんにならないかって言ったんだ──」
私の瞳からも堪えきれず涙が溢れる─…。
ああ、どうすれば伝わるんだろう。
「メリルをその所為で危険な目に遭わせてごめんね。もう…─」
「クロさん、早く、帰ってお腹いっぱいご飯食べましょう!」
突然の私の言葉にクロさんは驚いた表情になる。
だって…
私は…『成り損ない』だろうが…異形だろうが…
「私は、今の時間が大好きです。クロさんとご飯を食べて、街に出かけたり、庭いじりをしたり。」
そんな何気ない時間が…特別になるのは…──
「クロさんが…好きだから─。温かくて、穏やかな…クロさんとの時間が、とっても大切なんです。クロさんが何者かなんて…関係ないんです。」
ぽろぽろと涙を零すクロさんを、笑顔で見つめる。
「クロさんと…一緒に居たいです!!」
これが私の気持ちだ─…。
「僕と…一緒に…『家族』になってくれるの…?」
「勿論です!!毎日美味しいものが食べさせてくれるんですよね!?」
そう言うと、クロさんはやっと微笑んでくれる─…。
「メリルには敵わないな─…」
そう言ってクロさんに抱きしめられる─…。
「そうだね、一緒に…帰ろう─。」
こうして長い一日は幕を閉じ、私とクロさんは『家族』になったのだった──。
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