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19歳の夏
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江洲田ミノルと王崎ハジメ。
この二人とのつきあいは、高校生の時から始まり、二十歳過ぎまで続いた。
江洲田と知り合ったのは、高校二年の時。
共通の友達を通して知り合った。
機械いじりが好きで、メカにも詳しかった。
一方、王崎は高校三年の時、バイト先で知り合った。
江洲田と王崎は、どういう人物か、簡単に説明しておこう。
まず江洲田だが、人づきあいが苦手で、自分から話しかけることは少なく、あまり学校にも馴染めなかった男だ。
バイクが好きで、近所を良く走りまわっていたけど、あまり友達がいなく、いつも晩御飯の時間には家に帰っていくやつだった。
いつもラフな格好をしていたから、一見、活動的に見えるけど、実際の行動力はほとんどゼロに等しかった。
反対に王崎は社交的で、バイト先でも人気者だった。
そして、いつも彼の周りには他の友達がくっついていた。
くっついていた、というのには理由があり、彼の家はかなりのお金持ちだったから、そのおこぼれに授かろうとするやつが多かったのだ。
金のかかりそうな遊びは、いつも彼のおかげで実現できていたからだ。
オレは、おとなしい江洲田をいつも励ましていた。
そして、社交的で裕福な王崎に感謝していた。
いや、もう少し正確に書こう。
ネクラな江洲田をいつも小バカにして、金持ちで人気者の王崎をいつも妬んでいた。
暑さが本格的になった十九歳の夏。
車に分乗して海に行く計画を立てていた。
ダメもとで江洲田に聞いてみた。
「江洲田、今度、みんなでキャンプに行く計画は聞いてるやろ? おまえも行くんやろ?」
江洲田は愛車ヤマハRD400をいじりながら、
「あぁ、その話は王崎から聞いた。でもキャンプは苦手やからな。オレやっぱ、やめとくわ」
「なんでや? みんな行くんやから、おまえも来いや」
と言いながら、オレはイライラしていた。
「オレ、やることがあるねん。それに金もあんまりないしな」と江洲田は言った。
こいつと話すといつも金の話になる。
江洲田は、せっかくバイトで稼いだ金を、バイクの部品につぎ込むのだった。
「なんでお金を全部バイクに使うんや。ちょっとくらいお金置いとけや、ほんまにもう」
いつも通りテンションの低い江洲田は、
「それにオレ、中村と違って泳ぐのは苦手なんや」と言った。
バイクは乗るけど、近所を走るくらいで、ふだんはほとんどインドア派の江洲田だった。
「誰かが女の子を連れてくるらしいで。どや?」と期待を持たせてみたが、江洲田は乗ってこなかった。
「でもオレ、大勢でわいわいやるのがあまり好きやないし。 それに女の子が、オレに興味持つわけないやろ」と言って、晩御飯だからと言って帰って行った。
ほんと、こいつにはイライラするよ。
女の子がおまえに興味を持たないって、そんなのあたりまえやろ。
もうおまえなんか絶対に誘うもんか。
オレは、昨年買ったスクーター、ホンダ・タクトのエンジンをかけて走り出した。
次の日、王崎に会って、最近購入したという愛車を見せてもらった。
それは、真新しいBMW320だった。
ふぅっと、ため息まじりに
「しっかし、ええ車やなぁ。今度のキャンプはこれで行くんか?」
と聞くと、
「いやいや、こいつは買ったばかりやからな。海に行くと汚れてしまう。 キャンプにはゴルフで行くわ」
と王崎は言った。
オレはタクトしか持ってなかったので、遠出する時は、いつも王崎にくっついていた。
「ところで、キャンプには何人来るんや?」
とオレは聞いた。
「うーん、たぶん十人くらいやろなぁ。オレのゴルフに四人乗って、あとは二台に分乗するみたいやけど」
と、タバコの煙を吐きながら言った。
「でも、女の子が参加するって聞いたけど?」と聞くと、
「え? 誰がそんなこと言ったんや? 知らんで」とちょっとびっくりした表情で王崎が聞き返した。
「なんや、てっきりお前が調達してくれると思ってたわ」とオレはがっかりした。
「今回は男だけやろ。 それはそうと、お前は江洲田を連れてくるんやろ?」と王崎は聞いてきた。
「いや、誘ってみたけど、あいつは忙しいみたいや」
「またいつものようにバイクいじりやないんか?」
「あぁ、たぶんな。あいつはそれしかないやろ」
「しょうがないやつやなぁ、たまにはテリトリーを離れてみればええのに」
王崎は、タバコを揉み消した。
王崎の言う通り、江洲田は自分のテリトリーから離れない男だった。
太陽の陽射しが、ピカピカの紺色のボディに反射していた。
オレの妬んだ思いも、じりじりと王崎に照り返していた。
数日後、キャンプから帰ってきた仲間は、みんな真っ黒に焼けていた。
オレは、皮のめくれた肩に軟膏を塗りながら、みんなで撮った写真を眺めていた。
結局、キャンプには江洲田は参加せず、期待した女の子も来なかった。
男ばかりでも、それなりに楽しかったが、まわりはみんな彼女持ち。
オレはそろそろ自分の彼女がほしかった。
江洲田には、えらそうなことを言ってるけど、ほんとはオレも女性には奥手だった。
女の子を前にすると、顔が真っ赤になり、言いたいことの半分も言えなかった。
バイト先の女子社員に惚れていたけど、そんなこと自分から言えるわけがなかった。
やはり、頼みの綱は王崎しかいない。
いずれ、あいつが誰かを紹介してくれるだろう。
ところで、オレたちがキャンプに行ってた間、あいつは何をしてたのだろう。
オレはタクトに乗り、江洲田の家に行った。
この二人とのつきあいは、高校生の時から始まり、二十歳過ぎまで続いた。
江洲田と知り合ったのは、高校二年の時。
共通の友達を通して知り合った。
機械いじりが好きで、メカにも詳しかった。
一方、王崎は高校三年の時、バイト先で知り合った。
江洲田と王崎は、どういう人物か、簡単に説明しておこう。
まず江洲田だが、人づきあいが苦手で、自分から話しかけることは少なく、あまり学校にも馴染めなかった男だ。
バイクが好きで、近所を良く走りまわっていたけど、あまり友達がいなく、いつも晩御飯の時間には家に帰っていくやつだった。
いつもラフな格好をしていたから、一見、活動的に見えるけど、実際の行動力はほとんどゼロに等しかった。
反対に王崎は社交的で、バイト先でも人気者だった。
そして、いつも彼の周りには他の友達がくっついていた。
くっついていた、というのには理由があり、彼の家はかなりのお金持ちだったから、そのおこぼれに授かろうとするやつが多かったのだ。
金のかかりそうな遊びは、いつも彼のおかげで実現できていたからだ。
オレは、おとなしい江洲田をいつも励ましていた。
そして、社交的で裕福な王崎に感謝していた。
いや、もう少し正確に書こう。
ネクラな江洲田をいつも小バカにして、金持ちで人気者の王崎をいつも妬んでいた。
暑さが本格的になった十九歳の夏。
車に分乗して海に行く計画を立てていた。
ダメもとで江洲田に聞いてみた。
「江洲田、今度、みんなでキャンプに行く計画は聞いてるやろ? おまえも行くんやろ?」
江洲田は愛車ヤマハRD400をいじりながら、
「あぁ、その話は王崎から聞いた。でもキャンプは苦手やからな。オレやっぱ、やめとくわ」
「なんでや? みんな行くんやから、おまえも来いや」
と言いながら、オレはイライラしていた。
「オレ、やることがあるねん。それに金もあんまりないしな」と江洲田は言った。
こいつと話すといつも金の話になる。
江洲田は、せっかくバイトで稼いだ金を、バイクの部品につぎ込むのだった。
「なんでお金を全部バイクに使うんや。ちょっとくらいお金置いとけや、ほんまにもう」
いつも通りテンションの低い江洲田は、
「それにオレ、中村と違って泳ぐのは苦手なんや」と言った。
バイクは乗るけど、近所を走るくらいで、ふだんはほとんどインドア派の江洲田だった。
「誰かが女の子を連れてくるらしいで。どや?」と期待を持たせてみたが、江洲田は乗ってこなかった。
「でもオレ、大勢でわいわいやるのがあまり好きやないし。 それに女の子が、オレに興味持つわけないやろ」と言って、晩御飯だからと言って帰って行った。
ほんと、こいつにはイライラするよ。
女の子がおまえに興味を持たないって、そんなのあたりまえやろ。
もうおまえなんか絶対に誘うもんか。
オレは、昨年買ったスクーター、ホンダ・タクトのエンジンをかけて走り出した。
次の日、王崎に会って、最近購入したという愛車を見せてもらった。
それは、真新しいBMW320だった。
ふぅっと、ため息まじりに
「しっかし、ええ車やなぁ。今度のキャンプはこれで行くんか?」
と聞くと、
「いやいや、こいつは買ったばかりやからな。海に行くと汚れてしまう。 キャンプにはゴルフで行くわ」
と王崎は言った。
オレはタクトしか持ってなかったので、遠出する時は、いつも王崎にくっついていた。
「ところで、キャンプには何人来るんや?」
とオレは聞いた。
「うーん、たぶん十人くらいやろなぁ。オレのゴルフに四人乗って、あとは二台に分乗するみたいやけど」
と、タバコの煙を吐きながら言った。
「でも、女の子が参加するって聞いたけど?」と聞くと、
「え? 誰がそんなこと言ったんや? 知らんで」とちょっとびっくりした表情で王崎が聞き返した。
「なんや、てっきりお前が調達してくれると思ってたわ」とオレはがっかりした。
「今回は男だけやろ。 それはそうと、お前は江洲田を連れてくるんやろ?」と王崎は聞いてきた。
「いや、誘ってみたけど、あいつは忙しいみたいや」
「またいつものようにバイクいじりやないんか?」
「あぁ、たぶんな。あいつはそれしかないやろ」
「しょうがないやつやなぁ、たまにはテリトリーを離れてみればええのに」
王崎は、タバコを揉み消した。
王崎の言う通り、江洲田は自分のテリトリーから離れない男だった。
太陽の陽射しが、ピカピカの紺色のボディに反射していた。
オレの妬んだ思いも、じりじりと王崎に照り返していた。
数日後、キャンプから帰ってきた仲間は、みんな真っ黒に焼けていた。
オレは、皮のめくれた肩に軟膏を塗りながら、みんなで撮った写真を眺めていた。
結局、キャンプには江洲田は参加せず、期待した女の子も来なかった。
男ばかりでも、それなりに楽しかったが、まわりはみんな彼女持ち。
オレはそろそろ自分の彼女がほしかった。
江洲田には、えらそうなことを言ってるけど、ほんとはオレも女性には奥手だった。
女の子を前にすると、顔が真っ赤になり、言いたいことの半分も言えなかった。
バイト先の女子社員に惚れていたけど、そんなこと自分から言えるわけがなかった。
やはり、頼みの綱は王崎しかいない。
いずれ、あいつが誰かを紹介してくれるだろう。
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