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第7話【駆け出し冒険者の護衛兄妹】
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次の日の朝、朝食を食べた後で時間を気にしながら斡旋ギルドに顔を出した。
――からんからん。
斡旋ギルドのドアを開けるといつもの鐘が鳴る。
「あっ、ミナトさん。お待ちしてましたよ」
いつもの受付カウンターからサーシャが声をかけてくるのを見ると側に2人の若い男女が立っていた。
「えっと、こちらの人達が?」
「はい。登録して3年未満の駆け出し冒険者のおふたりです。
男性の方がダランさん、女性の方がサーラさんでおふたりは兄妹になります」
サーシャがふたりを紹介すると「サーシャさん。やはり3年も駆け出し扱いはどうにかならないですかね?」とサーシャにひとこと言ってから「兄のダランです、冒険者をしています。妹のサーラと言います宜しくお願いします」と挨拶をしてきた。
「ミナトです。鑑定スキルを持っているので今回薬草採取の依頼を受ける事にしました。
宜しくお願いしますね」
お互いの挨拶が終わったのでサーシャが主導で契約書の処理をしてくれた。薬草採取の護衛程度ならば本来1人でも良かったのだがふたりが「1人分の依頼料で良いのでふたりで受けさせて欲しい」と言ってふたりになったそうだった。
「――と言うことでこの薬草を出来るだけ多く探してきてください。買取り価格は鮮度と個数によってランク分けされていますので高品質のものだと高く買取りますね。
あと、偽物というか間違って採取してきても当然買取りは出来ませんので気をつけてください……ってミナトさんは鑑定スキル持ちですのでその心配はないですね」
サーシャが採取依頼の内容を説明しながら契約書を僕と兄妹に渡す。
「では、ダランさんサーラさん。
採取場所の東の森でのミナトさんの護衛をお願いしますね」
「ああ任せてくれ」
「はい、わかりました」
ふたりの返事を聞くと僕は「ではそろそろ出発しましょうか」とふたりを促した。
* * *
町の東門では門兵が人の出入りを管理していた。僕達が門兵に近づくと男はこちらに気がついて声をかけてきた。
「ん? 外に出るのか?
こっちの門の外は森しか無いが狩りでもするのか?」
僕に同行しているふたりは傍から見ても冒険者の装備だったので比較的軽装の僕が同行していても荷物持ちにでも見えたのだろう。
「いえ、薬草採取のギルド依頼を受注したので森まで行こうと想ってます。
後ろのふたりは護衛になります」
僕の説明に軽く肯定の頷きをするふたりを見て門兵の男は「まあ、護衛がいるならそれほど心配はいらないだろうけどあまり奥まで行かないようにな」と気遣ってくれた。
「ありがとうございます」
僕はふたりと共に身分証とギルドの依頼書を提示して確認が済むと町の外へ歩いて行った。
「森の入口までは道があるのですぐに分かると思いますよ」
サーラが歩きながら森について説明をしてくれる。
「おふたりはよく森に行かれるのですか?」
「そうですね。それなりには行ってると思います。
私達のレベルだとあまり強い獣が出る場所へは行けないですから……。
ですので東の森は私達の狩り場でもあるんです」
「それは心強いですね。
僕は戦いには向かないので外に出る時にはこうやって誰かを護衛として雇わないと難しいです」
「ミナトさんのスキルってどんなものか聞いても良いですか?」
サーラが興味本位で僕にスキルの事を聞くとすぐにダランが口を挟んだ。
「サーラ。そうやって人のスキルについて簡単に聞くのはお前の悪い癖だぞ。
人によっては秘密にしている人や言いたくない人もいるんだ。
特に今回の依頼の間はミナトさんは俺達の雇い主だ。
そう言った事もよく考えて発言をしないと足元をすくわれるぞ」
兄のダランは真面目な顔で妹を注意して僕に謝りをいれた。
「妹が無神経な事を聞いて申し訳ない。どうか気を悪くしないでくれ」
その誠実な態度に好感を持った僕は軽く頷いて言った。
「特に気にしてないから大丈夫だ。ちなみに僕のスキル構成はカード収納と鑑定だよ」
「あ、そう言えば鑑定スキルがあるから今回の依頼を受けたと言われてましたね。
でも、カード収納ですか……。
あれって使えるスキルなんですか?
人の話で聞いた事はあるけど実際には見たことないのでよく知らないんです」
僕が怒ってないのを知るとサーラがまた突っ込んだ質問をしてくる。
「どんなスキルもそうだと思うけどレベルがあがって初めて使えるかどうかの判断になると思うよ。
僕も初めは周りが言うように使い勝手の悪いスキルだと思ってたんだけど、せっかく貰ったスキルを使わないなんてそんな勿体ないことは僕には出来なかっただけだよ。
おかげで今はそれなりに使えるスキルになったと思ってるよ」
「そうなんですね。
今度つかう事があったら見せてくださいね」
「良いですよ。たぶん今回の依頼の途中でも使う場面は多々あると思いますから」
「本当ですか? 楽しみにしていますね」
サーラは笑みを浮かべながら僕の横を一緒になって歩いて行った。
「森の入口が見えたぞ。ここからは獣がでる事もあるから迂闊に飛び出したりしないでくれ」
ダランが腰にさげていたショートソードを鞘から抜いて非常時に備える。
「私も準備をするね」
サーラは肩に掛けていた袋から短めの杖を取り出す。
「あ、私のメインスキルは水属性の魔法になるわ。
だから飲水が無くなっても魔法で出せるから外に出た時には重宝されるの。
あと、一番初歩だけど一応攻撃魔法も使えるわ」
――攻撃魔法……。
「戦うスキルを持たない僕にはものすごく羨ましいスキルなんだね。
ダランさんは剣に関するスキルとかなんですか?」
「ああ、そうだ。最近になってやっと使えるレベルになってきたばかりだがおかげで討伐依頼も初級ならば怪我をせずにこなせるようになった」
ダランはスキルについて詳しくは話さないが冒険者として有用なスキルを授かっているようでしっかりと鍛錬も行っているふうに見て取れた。
「――この辺りに依頼の薬草はあるはずだ。
ただ、聞いてるだろうがミズトギソウの生息地にはよく似た毒草のカレダチソウが生えているので注意が必要だ。
まあ、鑑定スキルを持っているならば少なくともこの場で確認出来るからギルドまで間違ったものを持ち帰る心配はないだろうがな。
君が採取している間は俺達ふたりが周りを警戒しておくからしっかりと依頼分の確保に努めてくれていいぜ」
「わかりました。では採取をしますので宜しくお願いしますね」
僕はそう言うとカード化した借りてきた見本を見ながら辺りの散策を始めた。
――からんからん。
斡旋ギルドのドアを開けるといつもの鐘が鳴る。
「あっ、ミナトさん。お待ちしてましたよ」
いつもの受付カウンターからサーシャが声をかけてくるのを見ると側に2人の若い男女が立っていた。
「えっと、こちらの人達が?」
「はい。登録して3年未満の駆け出し冒険者のおふたりです。
男性の方がダランさん、女性の方がサーラさんでおふたりは兄妹になります」
サーシャがふたりを紹介すると「サーシャさん。やはり3年も駆け出し扱いはどうにかならないですかね?」とサーシャにひとこと言ってから「兄のダランです、冒険者をしています。妹のサーラと言います宜しくお願いします」と挨拶をしてきた。
「ミナトです。鑑定スキルを持っているので今回薬草採取の依頼を受ける事にしました。
宜しくお願いしますね」
お互いの挨拶が終わったのでサーシャが主導で契約書の処理をしてくれた。薬草採取の護衛程度ならば本来1人でも良かったのだがふたりが「1人分の依頼料で良いのでふたりで受けさせて欲しい」と言ってふたりになったそうだった。
「――と言うことでこの薬草を出来るだけ多く探してきてください。買取り価格は鮮度と個数によってランク分けされていますので高品質のものだと高く買取りますね。
あと、偽物というか間違って採取してきても当然買取りは出来ませんので気をつけてください……ってミナトさんは鑑定スキル持ちですのでその心配はないですね」
サーシャが採取依頼の内容を説明しながら契約書を僕と兄妹に渡す。
「では、ダランさんサーラさん。
採取場所の東の森でのミナトさんの護衛をお願いしますね」
「ああ任せてくれ」
「はい、わかりました」
ふたりの返事を聞くと僕は「ではそろそろ出発しましょうか」とふたりを促した。
* * *
町の東門では門兵が人の出入りを管理していた。僕達が門兵に近づくと男はこちらに気がついて声をかけてきた。
「ん? 外に出るのか?
こっちの門の外は森しか無いが狩りでもするのか?」
僕に同行しているふたりは傍から見ても冒険者の装備だったので比較的軽装の僕が同行していても荷物持ちにでも見えたのだろう。
「いえ、薬草採取のギルド依頼を受注したので森まで行こうと想ってます。
後ろのふたりは護衛になります」
僕の説明に軽く肯定の頷きをするふたりを見て門兵の男は「まあ、護衛がいるならそれほど心配はいらないだろうけどあまり奥まで行かないようにな」と気遣ってくれた。
「ありがとうございます」
僕はふたりと共に身分証とギルドの依頼書を提示して確認が済むと町の外へ歩いて行った。
「森の入口までは道があるのですぐに分かると思いますよ」
サーラが歩きながら森について説明をしてくれる。
「おふたりはよく森に行かれるのですか?」
「そうですね。それなりには行ってると思います。
私達のレベルだとあまり強い獣が出る場所へは行けないですから……。
ですので東の森は私達の狩り場でもあるんです」
「それは心強いですね。
僕は戦いには向かないので外に出る時にはこうやって誰かを護衛として雇わないと難しいです」
「ミナトさんのスキルってどんなものか聞いても良いですか?」
サーラが興味本位で僕にスキルの事を聞くとすぐにダランが口を挟んだ。
「サーラ。そうやって人のスキルについて簡単に聞くのはお前の悪い癖だぞ。
人によっては秘密にしている人や言いたくない人もいるんだ。
特に今回の依頼の間はミナトさんは俺達の雇い主だ。
そう言った事もよく考えて発言をしないと足元をすくわれるぞ」
兄のダランは真面目な顔で妹を注意して僕に謝りをいれた。
「妹が無神経な事を聞いて申し訳ない。どうか気を悪くしないでくれ」
その誠実な態度に好感を持った僕は軽く頷いて言った。
「特に気にしてないから大丈夫だ。ちなみに僕のスキル構成はカード収納と鑑定だよ」
「あ、そう言えば鑑定スキルがあるから今回の依頼を受けたと言われてましたね。
でも、カード収納ですか……。
あれって使えるスキルなんですか?
人の話で聞いた事はあるけど実際には見たことないのでよく知らないんです」
僕が怒ってないのを知るとサーラがまた突っ込んだ質問をしてくる。
「どんなスキルもそうだと思うけどレベルがあがって初めて使えるかどうかの判断になると思うよ。
僕も初めは周りが言うように使い勝手の悪いスキルだと思ってたんだけど、せっかく貰ったスキルを使わないなんてそんな勿体ないことは僕には出来なかっただけだよ。
おかげで今はそれなりに使えるスキルになったと思ってるよ」
「そうなんですね。
今度つかう事があったら見せてくださいね」
「良いですよ。たぶん今回の依頼の途中でも使う場面は多々あると思いますから」
「本当ですか? 楽しみにしていますね」
サーラは笑みを浮かべながら僕の横を一緒になって歩いて行った。
「森の入口が見えたぞ。ここからは獣がでる事もあるから迂闊に飛び出したりしないでくれ」
ダランが腰にさげていたショートソードを鞘から抜いて非常時に備える。
「私も準備をするね」
サーラは肩に掛けていた袋から短めの杖を取り出す。
「あ、私のメインスキルは水属性の魔法になるわ。
だから飲水が無くなっても魔法で出せるから外に出た時には重宝されるの。
あと、一番初歩だけど一応攻撃魔法も使えるわ」
――攻撃魔法……。
「戦うスキルを持たない僕にはものすごく羨ましいスキルなんだね。
ダランさんは剣に関するスキルとかなんですか?」
「ああ、そうだ。最近になってやっと使えるレベルになってきたばかりだがおかげで討伐依頼も初級ならば怪我をせずにこなせるようになった」
ダランはスキルについて詳しくは話さないが冒険者として有用なスキルを授かっているようでしっかりと鍛錬も行っているふうに見て取れた。
「――この辺りに依頼の薬草はあるはずだ。
ただ、聞いてるだろうがミズトギソウの生息地にはよく似た毒草のカレダチソウが生えているので注意が必要だ。
まあ、鑑定スキルを持っているならば少なくともこの場で確認出来るからギルドまで間違ったものを持ち帰る心配はないだろうがな。
君が採取している間は俺達ふたりが周りを警戒しておくからしっかりと依頼分の確保に努めてくれていいぜ」
「わかりました。では採取をしますので宜しくお願いしますね」
僕はそう言うとカード化した借りてきた見本を見ながら辺りの散策を始めた。
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※第○話:主人公視点
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となります。
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