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第21話【ノエルの過去と恋愛相談】
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「――そういえばノエルさんって昔からこの町で暮らしていたんですか?」
「私? いいえ、私が生まれたのは王都よ。
実は私の両親も商売人で王都でお店を営んでいるの。
私もそのお店の手伝いをしていたのだけれど成人して3年した頃にロギナス――この町に支店を出す話がでてきて私に任せると言って送り出してくれたの。
おかげで王都からの品物に関しては商品の買い付けに行かなくても両親が送ってくるから助かってるわ」
「ああ、なるほど。
だからこのお店の商品は王都で流行っている商品をどんどん売り出してるんですね。
それに、僕はこの町に来たばかりなので分からないですけど新しい町で新たに商売を始めるのって大変だったでしょうね」
「そうね。やっぱり最初の1年は結構苦労したわね。
まず、王都ではそこそこ知られていてもこの町では知名度がないからお客様が集まらないこともあったし、王都から荷物を運ぶために輸送費分の加算があるから結構値段が高くなってなかなか買ってもらえなかったのよ」
それは当然の事だろう。
いくら王都で流行っていてもこの町の住民にウケなければ在庫ばかり溜まる一方できっとすぐに潰れてしまう事だろう。
「だけど少しずつだけどお客様も増えてきて王都で開発された便利商品や若い娘達の関心を集める装飾品とかの人気が出て2年くらいで今の状態になったの。
まあ今も大繁盛とはいかないけれど、なんとかやっていけるくらいにはなったと思ってるわ」
「へー、そうなんですね」
(えっと、この世界では15歳で成人だから両親のもとで3年、この町に来ておそらく2年だからノエルさんの年齢は……多分だけど20歳になるのだろう)
僕はノエルの年齢を計算していたので少し上の空でノエルに返事をしてしまった。
「……ミナトさん?
今、何か別の事を考えてたでしょ?
たとえば……私の年齢とか?」
ノエルはそう言ってこちらに来て目を合わせられない僕の頭を撫でてから続けた。
「ミナトさんは確か前に16歳って言ってましたよね?
誕生日次第だけど私の方が4歳も上になるのよね。
ふふっ、私も歳をとったものね」
「そんな!
ノエルさんは凄く綺麗だし、まだ20歳なんですよね?
僕はまだ16歳だし自分ひとりじゃ大きな事は出来ないし、ノエルさんみたいに独立してお店をやってるなんで凄く尊敬してるんですよ」
僕はノエルの言葉を聞いて慌ててフォローをするが、テンパり過ぎて最後には何を言っているか自分でも分からなくなっていた。
そんな僕の慌てようを弟でも見るような目で優しく微笑んだノエルはそっと僕に告げた。
「ふふふ。
少し意地悪だったかしらね。
でも、ミナトさんだってお店こそ持ってないですけど立派に生活出来るだけの稼ぎをしていますよね?
だったらもっと自分に自信を持っても良いとお姉さんは思いますよ」
こちらの世界では15歳が成人とはいえ、やはり見た目からしても16歳というのはまだまだ少年の域を抜けられないのか20歳のノエルからみれば恋愛対象にはならないのか、それとも本当に弟の成長を見るような感じなのか単に年下は好みじゃないのか分からないが優しくはあるがそれ以上には進めそうに無かった。
(女神様ももう少し年上にしてくれても良かったんじゃないかな。
それこそ20歳とかでも良かったかもしれない。
そうすればきっと……)
その時はそう考えた僕だったがすぐにそれが間違いだった事に気がつく事になる。
「だけどミナトさんって昔の記憶が無い状態でこの町に来たんですよね?」
「どこでそれを?」
「斡旋ギルドに知り合いが居ればある程度の話は入ってくるのよ。
特に私みたいなお店をやってるそれなりに若い女性とかは身元が不確かな人が町に入って来た時なんかは直ぐに連絡をくれるの。
今回はミナトさんがまだ成人したての16歳だという事と犯罪歴が無い事からあまり危険視はされなかったみたいですし、実際に会ってみたら凄く良い人だったから私もほっとしたんです」
「そうなんですね。
ちなみに仮に僕が10歳上の26歳だったらどうでした?」
「ミナトさんが?
ええと、今のミナトさんの10年後を想像したら凄い人になっている気はしますけど、もし初めて会った時がその年齢ならば距離を置いていたかもしれませんね。
やっぱりよく知らない大人の男性は少し怖いですから……」
ノエルはそう言うと笑顔だった表情を曇らせてしまう。
「あああ、すみません。
そんな怖がらせるつもりは無かったんです。
ただ、ノエルさんみたいな奇麗な人は仕事の出来る大人な男性が良いのかなとふと思っただけなんです」
僕は手をブンブンと左右に振りながら弁解をした。
「そんな事は無いですよ。
確かにお仕事はしっかりと出来る方が好ましいですけど年齢はさほど気にしないと思ってますね。
まあ、親子ほど離れているのはちょっとどうかと思いますけど……」
「それよりも男の人って自分より若い子の方が好きなんじゃないですか?」
「それは人によるので一概には言えませんし、僕はどちらかと言うと年上の女性が好みですね」
もう好意がある事はバレバレな気もしていたが、だからと言っていきなり告白出来るほど心臓は強くなかったので言い淀んでいるとノエルはまた優しく微笑んで検討違いな事を言った。
「さてはミナトさん。
この町に来てから誰かを好きになったのですね?
しかもその子は年上とみました。
それでその子に告白できずにどうしたらいい告白が出来るかをちょうどいい具合に話しやすい私がいたので相談に来た訳ですね。
――良いですよ。ノエルお姉さんがしっかりと恋愛相談を引き受けてあげますからね」
(え? 今までの話の流れでどう解釈すればそんな結論になるんだろうか?
これは本当に僕の存在が全く恋愛の対象となっていないのが明確に分かる悲しい展開じゃないか……)
「あ、はい。
宜しくお願いします」
ノエルの間違った好意に気圧されて半分抜け殻みたいになっていた僕はやっとの事でそう返事をしていた。
(……どうしてこうなった?)
「私? いいえ、私が生まれたのは王都よ。
実は私の両親も商売人で王都でお店を営んでいるの。
私もそのお店の手伝いをしていたのだけれど成人して3年した頃にロギナス――この町に支店を出す話がでてきて私に任せると言って送り出してくれたの。
おかげで王都からの品物に関しては商品の買い付けに行かなくても両親が送ってくるから助かってるわ」
「ああ、なるほど。
だからこのお店の商品は王都で流行っている商品をどんどん売り出してるんですね。
それに、僕はこの町に来たばかりなので分からないですけど新しい町で新たに商売を始めるのって大変だったでしょうね」
「そうね。やっぱり最初の1年は結構苦労したわね。
まず、王都ではそこそこ知られていてもこの町では知名度がないからお客様が集まらないこともあったし、王都から荷物を運ぶために輸送費分の加算があるから結構値段が高くなってなかなか買ってもらえなかったのよ」
それは当然の事だろう。
いくら王都で流行っていてもこの町の住民にウケなければ在庫ばかり溜まる一方できっとすぐに潰れてしまう事だろう。
「だけど少しずつだけどお客様も増えてきて王都で開発された便利商品や若い娘達の関心を集める装飾品とかの人気が出て2年くらいで今の状態になったの。
まあ今も大繁盛とはいかないけれど、なんとかやっていけるくらいにはなったと思ってるわ」
「へー、そうなんですね」
(えっと、この世界では15歳で成人だから両親のもとで3年、この町に来ておそらく2年だからノエルさんの年齢は……多分だけど20歳になるのだろう)
僕はノエルの年齢を計算していたので少し上の空でノエルに返事をしてしまった。
「……ミナトさん?
今、何か別の事を考えてたでしょ?
たとえば……私の年齢とか?」
ノエルはそう言ってこちらに来て目を合わせられない僕の頭を撫でてから続けた。
「ミナトさんは確か前に16歳って言ってましたよね?
誕生日次第だけど私の方が4歳も上になるのよね。
ふふっ、私も歳をとったものね」
「そんな!
ノエルさんは凄く綺麗だし、まだ20歳なんですよね?
僕はまだ16歳だし自分ひとりじゃ大きな事は出来ないし、ノエルさんみたいに独立してお店をやってるなんで凄く尊敬してるんですよ」
僕はノエルの言葉を聞いて慌ててフォローをするが、テンパり過ぎて最後には何を言っているか自分でも分からなくなっていた。
そんな僕の慌てようを弟でも見るような目で優しく微笑んだノエルはそっと僕に告げた。
「ふふふ。
少し意地悪だったかしらね。
でも、ミナトさんだってお店こそ持ってないですけど立派に生活出来るだけの稼ぎをしていますよね?
だったらもっと自分に自信を持っても良いとお姉さんは思いますよ」
こちらの世界では15歳が成人とはいえ、やはり見た目からしても16歳というのはまだまだ少年の域を抜けられないのか20歳のノエルからみれば恋愛対象にはならないのか、それとも本当に弟の成長を見るような感じなのか単に年下は好みじゃないのか分からないが優しくはあるがそれ以上には進めそうに無かった。
(女神様ももう少し年上にしてくれても良かったんじゃないかな。
それこそ20歳とかでも良かったかもしれない。
そうすればきっと……)
その時はそう考えた僕だったがすぐにそれが間違いだった事に気がつく事になる。
「だけどミナトさんって昔の記憶が無い状態でこの町に来たんですよね?」
「どこでそれを?」
「斡旋ギルドに知り合いが居ればある程度の話は入ってくるのよ。
特に私みたいなお店をやってるそれなりに若い女性とかは身元が不確かな人が町に入って来た時なんかは直ぐに連絡をくれるの。
今回はミナトさんがまだ成人したての16歳だという事と犯罪歴が無い事からあまり危険視はされなかったみたいですし、実際に会ってみたら凄く良い人だったから私もほっとしたんです」
「そうなんですね。
ちなみに仮に僕が10歳上の26歳だったらどうでした?」
「ミナトさんが?
ええと、今のミナトさんの10年後を想像したら凄い人になっている気はしますけど、もし初めて会った時がその年齢ならば距離を置いていたかもしれませんね。
やっぱりよく知らない大人の男性は少し怖いですから……」
ノエルはそう言うと笑顔だった表情を曇らせてしまう。
「あああ、すみません。
そんな怖がらせるつもりは無かったんです。
ただ、ノエルさんみたいな奇麗な人は仕事の出来る大人な男性が良いのかなとふと思っただけなんです」
僕は手をブンブンと左右に振りながら弁解をした。
「そんな事は無いですよ。
確かにお仕事はしっかりと出来る方が好ましいですけど年齢はさほど気にしないと思ってますね。
まあ、親子ほど離れているのはちょっとどうかと思いますけど……」
「それよりも男の人って自分より若い子の方が好きなんじゃないですか?」
「それは人によるので一概には言えませんし、僕はどちらかと言うと年上の女性が好みですね」
もう好意がある事はバレバレな気もしていたが、だからと言っていきなり告白出来るほど心臓は強くなかったので言い淀んでいるとノエルはまた優しく微笑んで検討違いな事を言った。
「さてはミナトさん。
この町に来てから誰かを好きになったのですね?
しかもその子は年上とみました。
それでその子に告白できずにどうしたらいい告白が出来るかをちょうどいい具合に話しやすい私がいたので相談に来た訳ですね。
――良いですよ。ノエルお姉さんがしっかりと恋愛相談を引き受けてあげますからね」
(え? 今までの話の流れでどう解釈すればそんな結論になるんだろうか?
これは本当に僕の存在が全く恋愛の対象となっていないのが明確に分かる悲しい展開じゃないか……)
「あ、はい。
宜しくお願いします」
ノエルの間違った好意に気圧されて半分抜け殻みたいになっていた僕はやっとの事でそう返事をしていた。
(……どうしてこうなった?)
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