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第49話【交渉と恋のゆくえ】
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「マグラーレ様にお願いしたい事は2つあります」
僕はそう言うとこの企画の書類をテーブルに広げた。
「この企画のキモは王都斡旋ギルド魔道具部門が開発し、使用の権利を持ちギルド便として使用されている魔道具『ゴーレム伝書鳩』と今は不遇職扱いをされている『カード収納スキルの所持者』にあります。
ランスロットギルドマスターには各地のギルド職員にカード収納スキル持ちが居ないかの確認とその人たちが僕の研修を受けられる体制をつくって頂きたいです。
そして、マグラーレ様には集めた研修生を指導する施設の貸与をお願いしたいと思います。
これは出来れば王都ではない方が良いかと思いますのでロギナスの町に準備して頂けると嬉しく思います」
「ふむ。
研修生は何人くらい必要なのかね?」
すでに頭の中でイメージを膨らませ始めたランスロットが僕のお願いに質問で返してくる。
「各町のギルドに最低でもひとり配置出来る人数……と言いたいですけど僕もそれほど多くの人を指導するのは大変ですのでこの国の中心的な街だけでも配置するとしたら何人になりますか?」
「そうだな。
王都にエルガー、ロギナス、ザザリア、ノーズ……くらいか。
あとは比較的小規模な町や村になるから最低限で5人だな」
僕の知っている町の名前も出たが知らない町の名前もいくつか聞かれた。
「ふん。
5人くらいの研修ならばロギナスにある施設を借りてやろう。
それこそギルドに斡旋してもらえばいいだろう。
それであとひとつは何だ?」
「もうひとつは当然……」
僕はそう言うとノエルを一目見てからマグラーレに伝えた。
「この企画がうまくいった時にはノエルさんとの婚約を認めて頂きたいです。
そのためにも今の婚約者候補の方にはまだ保留としておいてください。
いきなり解消させると原因追及される可能性が高いですので……」
「そうだな。
もし、本当にうまくいってマグラーレ商会に多大な利益をもたらした場合は娘の婚約者として迎え入れてやろう。
お前のやろうとしている事が現実すれば間違いなくテンマ運送は荷物運送分野は壊滅的に落ちこむだろうからな。
お前もそれでいいな?」
マグラーレは僕の質問に答えた後、娘に向かってそう問いかけた。
「お父様……」
マグラーレの言葉にノエルは涙ぐみながらうなずいた。
* * *
「――では人材の確保とロギナスへの移送手配をお願いします」
「わかった。
だが、最終的には1年の期間を設けるが半年後に一度成果の確認を行うぞ。
その時点で全く芽がないならばこの企画は白紙に戻させてもらう。
ギルドも慈善事業をしている訳ではないからな」
ランスロットはそう言うとすぐに人選をするためにギルド職員のスキル情報が記載されている書類を持ってこさせた。
「基本的には各街から1人ずつ出せれば良いのだがそう都合良く1年間も研修のために移動出来る者が集まる訳がない。
たしかロギナスのギルドにはスキル持ちが居たはずだから向こうに戻ったらそいつから指導してやってくれ。
ああ、研修指示書はギルド便で送っておいてやるからザッハのやつに話せばすぐに対応するだろう。
のこりのメンバーは1月以内に選抜してロギナスへ向かわせる事にする。
――そんなところか?」
「……ついでに研修できる施設の準備も頼んでおいてくれ。
一応、言った手前使用料くらいは面倒をみてやろう」
マグラーレはランスロットにそう言うとサラサラと一筆書いてランスロットに渡した。
「そうか、ならばあわせてザッハに伝えておいてやるとしよう。
……よし、今回の話はこのくらいだな。
明日には水槽の準備を済ませておくから魚のカード開放が済んだらさっそく準備にかかってくれ。
ああ、帰りの馬車はギルドから出してやるからそれで戻るがいいだろう」
「馬車の代金はいくらになりますか?
さすがに無料って訳には行かないでしょう?」
「代金?
まあ無料ってのが気になるのならばお前さんのスキルを活用してエルガーとロギナスにギルドからの荷物を運んでくれれば相殺した事になるかな」
ランスロットはそう言うと運ぶ荷物のリストの確認を職員に指示した。
「わかりました。
では明日、ギルドに顔を出しますのでそのあたりをまとめておいてください。
宜しくお願いします」
僕はソファから立ち上がってふたりにお辞儀をしてから部屋を出た。
「ミナトさん!」
部屋を出てギルドのホールを出口に向かって歩く僕をノエルが呼び止める。
「これから時間はありますか?」
おそらく僕が部屋を出てから父親の許可をとって追いかけてきたのであろう肩で息をしながらも深呼吸をして僕にそう問いかける。
「ええ、僕のほうは特に急ぎの用事はありませんがノエルさんこそ大丈夫なんですか?」
「はい。
父にもミナトさんと夕食までは一緒に行動しても良いとの許可を貰ってきましたから」
「わかりました。
では何処か落ち着ける場所かお店を教えてください」
僕はそうノエルに伝えると「とりあえずギルドからは出ましょうか」と彼女の手を引いてギルドを後にした。
「この通りの先に個室のある紅茶屋があるの。
結構感じのいいお店で紅茶にデザートも美味しいのよ」
「ノエルさんのおすすめのお店ですか……それは楽しみですね」
僕はノエルに微笑みながら並んで歩く。
「あの……手を繋いでてもいいですか?」
ギルドを出る時に繋いでいた手はあの後すぐに離したけれど今度はノエルの方から手を繋ぐ事を提案され、僕は嬉しく思いながらもノエルに言った。
「申し出は凄く嬉しい事なんですけど僕はまだノエルさんの正式な婚約者候補にさえなれていないのに王都の街で手を繋いで歩いていたら何かとまずいんじゃないかと思うんです」
僕の指摘にノエルはハッとした表情となりすぐに僕に対して誤った。
「ミナトさんの言われるとおりですね。
こうやって一緒に出かけるのをお父様に許された事でもうミナトさんとの事を認めて貰ったのと思い込んでいました」
そう言って落ち込むノエルに僕は優しく笑いかけて「そう落ち込まないでくださいロギナスなら王都ほど人が多くありませんし、それに1年後には堂々と手を繋いで歩けるようになりますから」と言い切った。
僕はそう言うとこの企画の書類をテーブルに広げた。
「この企画のキモは王都斡旋ギルド魔道具部門が開発し、使用の権利を持ちギルド便として使用されている魔道具『ゴーレム伝書鳩』と今は不遇職扱いをされている『カード収納スキルの所持者』にあります。
ランスロットギルドマスターには各地のギルド職員にカード収納スキル持ちが居ないかの確認とその人たちが僕の研修を受けられる体制をつくって頂きたいです。
そして、マグラーレ様には集めた研修生を指導する施設の貸与をお願いしたいと思います。
これは出来れば王都ではない方が良いかと思いますのでロギナスの町に準備して頂けると嬉しく思います」
「ふむ。
研修生は何人くらい必要なのかね?」
すでに頭の中でイメージを膨らませ始めたランスロットが僕のお願いに質問で返してくる。
「各町のギルドに最低でもひとり配置出来る人数……と言いたいですけど僕もそれほど多くの人を指導するのは大変ですのでこの国の中心的な街だけでも配置するとしたら何人になりますか?」
「そうだな。
王都にエルガー、ロギナス、ザザリア、ノーズ……くらいか。
あとは比較的小規模な町や村になるから最低限で5人だな」
僕の知っている町の名前も出たが知らない町の名前もいくつか聞かれた。
「ふん。
5人くらいの研修ならばロギナスにある施設を借りてやろう。
それこそギルドに斡旋してもらえばいいだろう。
それであとひとつは何だ?」
「もうひとつは当然……」
僕はそう言うとノエルを一目見てからマグラーレに伝えた。
「この企画がうまくいった時にはノエルさんとの婚約を認めて頂きたいです。
そのためにも今の婚約者候補の方にはまだ保留としておいてください。
いきなり解消させると原因追及される可能性が高いですので……」
「そうだな。
もし、本当にうまくいってマグラーレ商会に多大な利益をもたらした場合は娘の婚約者として迎え入れてやろう。
お前のやろうとしている事が現実すれば間違いなくテンマ運送は荷物運送分野は壊滅的に落ちこむだろうからな。
お前もそれでいいな?」
マグラーレは僕の質問に答えた後、娘に向かってそう問いかけた。
「お父様……」
マグラーレの言葉にノエルは涙ぐみながらうなずいた。
* * *
「――では人材の確保とロギナスへの移送手配をお願いします」
「わかった。
だが、最終的には1年の期間を設けるが半年後に一度成果の確認を行うぞ。
その時点で全く芽がないならばこの企画は白紙に戻させてもらう。
ギルドも慈善事業をしている訳ではないからな」
ランスロットはそう言うとすぐに人選をするためにギルド職員のスキル情報が記載されている書類を持ってこさせた。
「基本的には各街から1人ずつ出せれば良いのだがそう都合良く1年間も研修のために移動出来る者が集まる訳がない。
たしかロギナスのギルドにはスキル持ちが居たはずだから向こうに戻ったらそいつから指導してやってくれ。
ああ、研修指示書はギルド便で送っておいてやるからザッハのやつに話せばすぐに対応するだろう。
のこりのメンバーは1月以内に選抜してロギナスへ向かわせる事にする。
――そんなところか?」
「……ついでに研修できる施設の準備も頼んでおいてくれ。
一応、言った手前使用料くらいは面倒をみてやろう」
マグラーレはランスロットにそう言うとサラサラと一筆書いてランスロットに渡した。
「そうか、ならばあわせてザッハに伝えておいてやるとしよう。
……よし、今回の話はこのくらいだな。
明日には水槽の準備を済ませておくから魚のカード開放が済んだらさっそく準備にかかってくれ。
ああ、帰りの馬車はギルドから出してやるからそれで戻るがいいだろう」
「馬車の代金はいくらになりますか?
さすがに無料って訳には行かないでしょう?」
「代金?
まあ無料ってのが気になるのならばお前さんのスキルを活用してエルガーとロギナスにギルドからの荷物を運んでくれれば相殺した事になるかな」
ランスロットはそう言うと運ぶ荷物のリストの確認を職員に指示した。
「わかりました。
では明日、ギルドに顔を出しますのでそのあたりをまとめておいてください。
宜しくお願いします」
僕はソファから立ち上がってふたりにお辞儀をしてから部屋を出た。
「ミナトさん!」
部屋を出てギルドのホールを出口に向かって歩く僕をノエルが呼び止める。
「これから時間はありますか?」
おそらく僕が部屋を出てから父親の許可をとって追いかけてきたのであろう肩で息をしながらも深呼吸をして僕にそう問いかける。
「ええ、僕のほうは特に急ぎの用事はありませんがノエルさんこそ大丈夫なんですか?」
「はい。
父にもミナトさんと夕食までは一緒に行動しても良いとの許可を貰ってきましたから」
「わかりました。
では何処か落ち着ける場所かお店を教えてください」
僕はそうノエルに伝えると「とりあえずギルドからは出ましょうか」と彼女の手を引いてギルドを後にした。
「この通りの先に個室のある紅茶屋があるの。
結構感じのいいお店で紅茶にデザートも美味しいのよ」
「ノエルさんのおすすめのお店ですか……それは楽しみですね」
僕はノエルに微笑みながら並んで歩く。
「あの……手を繋いでてもいいですか?」
ギルドを出る時に繋いでいた手はあの後すぐに離したけれど今度はノエルの方から手を繋ぐ事を提案され、僕は嬉しく思いながらもノエルに言った。
「申し出は凄く嬉しい事なんですけど僕はまだノエルさんの正式な婚約者候補にさえなれていないのに王都の街で手を繋いで歩いていたら何かとまずいんじゃないかと思うんです」
僕の指摘にノエルはハッとした表情となりすぐに僕に対して誤った。
「ミナトさんの言われるとおりですね。
こうやって一緒に出かけるのをお父様に許された事でもうミナトさんとの事を認めて貰ったのと思い込んでいました」
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