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第84話【収納スキルで身を守る方法】
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――ガサガサ。
「ブモ……」
背の低い木の茂みの揺れが大きくなり顔を出したのは大型のボアだった。
「これはちょっと大きすぎですよ。
あんなのが突進してきたら私では太刀打ち出来なくて跳ね飛ばされちゃいます。
ど、どうしましょうか?
大きな声をあげれば向かって来そうですし、そもそもこの場から動いただけで襲われそうなんですけど……」
ミーナは初めて見る大きさのボアに涙目になりながら僕に判断をゆだねる。
「うーん、少し遠いな。
もう少し明るければここからでもなんとかなりそうなんだけど焚き火の明かりだけでは厳しいな」
「え?
それは明るければなんとかなるって事ですか?」
僕の言葉を聞いていたミーナがそう問いかけたので「おそらく大丈夫だと思うよ」と僕はボアの動きを監視しながら答えた。
「私のスキルで短時間ですけど明るくするものがあるのですけど……。
でも、それを使ったら絶対にあのボアはこちらに向かって来ますよ?
本当に大丈夫なんですよね?」
ミーナは再度僕に確認をしてくるが僕が黙ってうなずくのを見ると側に置いていた短めの杖を掲げてスキルを発動させた。
「発光」
ミーナのスキルが発動すると辺りが一気に明るくなり昼間のような視界が広がった。
「おお! 凄い!
このスキルも是非ともカード化したいものだな」
僕か呑気にそんな事を考えてあえるとこちらに気がついたボアが唸りをあげてこちらに突進してきた。
「きゃあー! やっぱりー!
ど、どうにかしてくださいよぉ! 早く! はやくぅー!」
ミーナが涙目になりながらそう叫ぶと同時に僕はボアを標的にしたスキルを発動させていた。
「超カード収納」
「ぶももっ!?」
僕のスキルが発動すると突進していていたボアの姿が突然消え、一枚のカードがその場に落ちていた。
「ふう。
まだ動くものをカード化するのは慣れないから結構疲れるものだな。
何事も練習の積み重ねなんだろうけど……」
僕がそう言って落ちていたカードを拾い上げると同時にテントから休んでいたダランとサーラが飛び出して来た。
「ど、どうした!?
今の叫び声はミーナだろ?
まさかミナトに襲われそうになったか!?」
既にボアはカード化されておりその場には居なかったためダランが早とちりをしてとんでもない事を言い出した。
――スパーン!
「あいたっ!?」
叫ぶダランの後ろからサーラの平手が彼の後ろ頭を音速の速さで叩いた。
「なに寝言を言ってるのよ!?
ミナトさんがそんな事をする訳が無いでしょうが!」
あいかわらずの兄妹漫才に苦笑しながら僕はふたりにカード化したボアを見せて説明をした。
「そこの茂みから大型のボアが出てきたからちょっと捕まえてみただけてすよ。
その過程でミーナさんに辺りを照らすスキルを使ってもらったら思ったよりも凄い勢いでボアがこっちに突進してきたからびっくりしただけなんですよ」
僕の説明にいまいち納得のいかなかったダランがミーナに目線を送ると彼女は『こくこく』と繰り返しうなずいた。
「それで、そのカード化したボアはどうするんだ?」
「あー、これですけどちょっと厄介なんですよね。
こちらに突進してくる途中でカード化したのでおそらくですけど開放したらまた突進をしているところから始まってしまい結構危険な状態だと思うのでどうしようかなと……」
「いっそ、水の上で開放してみます?
水の上ならばボアも走れないでしょうし……ってボアって泳げるんでしたっけ?」
サーラがひらめいたとばかりに案をとなえる。
「確か泳げるはずです。
ただしそのつもりで水に入った場合ですけどね。
今回の場合は走るつもりが突然水の中に突っ込む形になるようですからもしかしたら混乱してそのまま溺れる可能性もあると思いますけど……」
ミーナはそう言いながらも『ここではやめて欲しいな』といった雰囲気を醸し出していた。
「うーん。
僕が持っていっても処理に困るからなぁ。
そうだ! ダランさんがロギナスに持って帰ってどこか逃げられない空間……闘技場とか訓練場とかで開放して複数の冒険者で袋叩きにして経験値と肉を売った報酬を獲得すれば良いんじゃないかな?」
「それは名案だ……と言いたいが俺はカード化されたものの開放は出来ないぜ?」
「ああ、そのことならば『条件圧縮』でクリア出来ると思いますよ」
「あ、そうですね。
それならば兄でも開放が出来ますね。
でも、そのボアは大きかったんでしょ?
危険じゃないんですか?」
「もちろん危険ですけどおそらくですが今のダランさんならば初めの突進さえ喰らわなければ負ける事は無いかと思います」
僕ほ言葉にダランは「任せておけ!」と言って既にやる気が満タンになっていた。
「じゃあ、このカードはサーラさんに渡しておくからロギナスに戻ってからギルドで相談をして処理をしてくださいね」
僕はそう言ってボアのカードをサーラに持たせてから条件圧縮をかけておいた。
「ふわぁ……。
とりあえず大丈夫だったのならばもう少し休ませてもらうぜ。
時間になったら起こしてくれや」
ボアの件はロギナスに帰ってからと決まったのでダランは気が抜けたようで欠伸をしながらテントへと歩いていく。
「もう大丈夫だと思いますけど何かあったら大声で呼んでくださいね」
サーラもそう言い残して休むためにテントへと戻っていった。
「それにしてもボアってあんなに大きな獣だったんですね。
初めて見たので凄く怖かったです」
ダランとサーラがテントに戻ったのでまたミーナとふたりきりになった事で彼女が先ほどのボアについて話をはじめた。
「あまり人のスキルについて詮索してはマナー違反だとは分かっているんですけどちょっとだけ聞いても良いですか?」
「ん?
ああ、答えられないものもあるけどある程度ならば大丈夫ですよ」
「よかった。
えっと、私の知っている範囲でのカード収納スキルってレベルによってカード化出来るサイズに上限がある事と対象物に触れていなければカード化出来ないのが常識だったんです。
そして、他の人では聞いたこともないですけどミナトさんはスキル魔法の効果さえもカードに閉じ込める事が出来ますよね?
でも、それさえも発動する人の手に触れていなければ出来ませんでしたよね?
いつから今回のような事が出来るようになったのですか?」
「出来るようになったのはつい最近のことだね。
あまり自分から言わないけれど最近レベルがあがったんだよ。
その時に付加されたものなんだ」
僕がなんでもないかのように話すとミーナは「なんだかミナトさん。レベルアップが早すぎないですか?」と怪訝そうな表情で僕の顔をまじまじと覗き込んできた。
「ブモ……」
背の低い木の茂みの揺れが大きくなり顔を出したのは大型のボアだった。
「これはちょっと大きすぎですよ。
あんなのが突進してきたら私では太刀打ち出来なくて跳ね飛ばされちゃいます。
ど、どうしましょうか?
大きな声をあげれば向かって来そうですし、そもそもこの場から動いただけで襲われそうなんですけど……」
ミーナは初めて見る大きさのボアに涙目になりながら僕に判断をゆだねる。
「うーん、少し遠いな。
もう少し明るければここからでもなんとかなりそうなんだけど焚き火の明かりだけでは厳しいな」
「え?
それは明るければなんとかなるって事ですか?」
僕の言葉を聞いていたミーナがそう問いかけたので「おそらく大丈夫だと思うよ」と僕はボアの動きを監視しながら答えた。
「私のスキルで短時間ですけど明るくするものがあるのですけど……。
でも、それを使ったら絶対にあのボアはこちらに向かって来ますよ?
本当に大丈夫なんですよね?」
ミーナは再度僕に確認をしてくるが僕が黙ってうなずくのを見ると側に置いていた短めの杖を掲げてスキルを発動させた。
「発光」
ミーナのスキルが発動すると辺りが一気に明るくなり昼間のような視界が広がった。
「おお! 凄い!
このスキルも是非ともカード化したいものだな」
僕か呑気にそんな事を考えてあえるとこちらに気がついたボアが唸りをあげてこちらに突進してきた。
「きゃあー! やっぱりー!
ど、どうにかしてくださいよぉ! 早く! はやくぅー!」
ミーナが涙目になりながらそう叫ぶと同時に僕はボアを標的にしたスキルを発動させていた。
「超カード収納」
「ぶももっ!?」
僕のスキルが発動すると突進していていたボアの姿が突然消え、一枚のカードがその場に落ちていた。
「ふう。
まだ動くものをカード化するのは慣れないから結構疲れるものだな。
何事も練習の積み重ねなんだろうけど……」
僕がそう言って落ちていたカードを拾い上げると同時にテントから休んでいたダランとサーラが飛び出して来た。
「ど、どうした!?
今の叫び声はミーナだろ?
まさかミナトに襲われそうになったか!?」
既にボアはカード化されておりその場には居なかったためダランが早とちりをしてとんでもない事を言い出した。
――スパーン!
「あいたっ!?」
叫ぶダランの後ろからサーラの平手が彼の後ろ頭を音速の速さで叩いた。
「なに寝言を言ってるのよ!?
ミナトさんがそんな事をする訳が無いでしょうが!」
あいかわらずの兄妹漫才に苦笑しながら僕はふたりにカード化したボアを見せて説明をした。
「そこの茂みから大型のボアが出てきたからちょっと捕まえてみただけてすよ。
その過程でミーナさんに辺りを照らすスキルを使ってもらったら思ったよりも凄い勢いでボアがこっちに突進してきたからびっくりしただけなんですよ」
僕の説明にいまいち納得のいかなかったダランがミーナに目線を送ると彼女は『こくこく』と繰り返しうなずいた。
「それで、そのカード化したボアはどうするんだ?」
「あー、これですけどちょっと厄介なんですよね。
こちらに突進してくる途中でカード化したのでおそらくですけど開放したらまた突進をしているところから始まってしまい結構危険な状態だと思うのでどうしようかなと……」
「いっそ、水の上で開放してみます?
水の上ならばボアも走れないでしょうし……ってボアって泳げるんでしたっけ?」
サーラがひらめいたとばかりに案をとなえる。
「確か泳げるはずです。
ただしそのつもりで水に入った場合ですけどね。
今回の場合は走るつもりが突然水の中に突っ込む形になるようですからもしかしたら混乱してそのまま溺れる可能性もあると思いますけど……」
ミーナはそう言いながらも『ここではやめて欲しいな』といった雰囲気を醸し出していた。
「うーん。
僕が持っていっても処理に困るからなぁ。
そうだ! ダランさんがロギナスに持って帰ってどこか逃げられない空間……闘技場とか訓練場とかで開放して複数の冒険者で袋叩きにして経験値と肉を売った報酬を獲得すれば良いんじゃないかな?」
「それは名案だ……と言いたいが俺はカード化されたものの開放は出来ないぜ?」
「ああ、そのことならば『条件圧縮』でクリア出来ると思いますよ」
「あ、そうですね。
それならば兄でも開放が出来ますね。
でも、そのボアは大きかったんでしょ?
危険じゃないんですか?」
「もちろん危険ですけどおそらくですが今のダランさんならば初めの突進さえ喰らわなければ負ける事は無いかと思います」
僕ほ言葉にダランは「任せておけ!」と言って既にやる気が満タンになっていた。
「じゃあ、このカードはサーラさんに渡しておくからロギナスに戻ってからギルドで相談をして処理をしてくださいね」
僕はそう言ってボアのカードをサーラに持たせてから条件圧縮をかけておいた。
「ふわぁ……。
とりあえず大丈夫だったのならばもう少し休ませてもらうぜ。
時間になったら起こしてくれや」
ボアの件はロギナスに帰ってからと決まったのでダランは気が抜けたようで欠伸をしながらテントへと歩いていく。
「もう大丈夫だと思いますけど何かあったら大声で呼んでくださいね」
サーラもそう言い残して休むためにテントへと戻っていった。
「それにしてもボアってあんなに大きな獣だったんですね。
初めて見たので凄く怖かったです」
ダランとサーラがテントに戻ったのでまたミーナとふたりきりになった事で彼女が先ほどのボアについて話をはじめた。
「あまり人のスキルについて詮索してはマナー違反だとは分かっているんですけどちょっとだけ聞いても良いですか?」
「ん?
ああ、答えられないものもあるけどある程度ならば大丈夫ですよ」
「よかった。
えっと、私の知っている範囲でのカード収納スキルってレベルによってカード化出来るサイズに上限がある事と対象物に触れていなければカード化出来ないのが常識だったんです。
そして、他の人では聞いたこともないですけどミナトさんはスキル魔法の効果さえもカードに閉じ込める事が出来ますよね?
でも、それさえも発動する人の手に触れていなければ出来ませんでしたよね?
いつから今回のような事が出来るようになったのですか?」
「出来るようになったのはつい最近のことだね。
あまり自分から言わないけれど最近レベルがあがったんだよ。
その時に付加されたものなんだ」
僕がなんでもないかのように話すとミーナは「なんだかミナトさん。レベルアップが早すぎないですか?」と怪訝そうな表情で僕の顔をまじまじと覗き込んできた。
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※第○話:主人公視点
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