女性限定の『触れて治癒する』治療方法に批判が殺到して廃業を考えたが結果が凄すぎて思ったよりも受け入れて貰えた

夢幻の翼

文字の大きさ
43 / 159

第43話【リリスの元同僚達との交流②】

しおりを挟む
「ちょっとリリス!? それ私のお酒よ!勝手に飲まないでよ!」

「えっ!? これ私のジュースじゃなかったの?
 だってお酒の味はしなかったわよ?」

 リリスは慌ててグラスを確認する。

「本当だ。私のジュースがここにあると言うことは、間違えて飲んじゃったのね。
 ごめんなさい、直ぐに代わりを注文するからね」

 リリスが慌てて注文をとろうと席を立とうとするが目の前がぐらついて上手く立てない。

「おい、リリス。大丈夫なのか?
 この間違えて飲んだお酒って結構強めの度数だったりする?」

 僕はリリスの様子からまた泥酔状態になるのではと心配して彼女に聞いた。

「あー、まあまあ強い度数かな?
 口当たりが良いからジュースと間違えて結構飲み過ぎる時があるけどそこまでじゃないと思いますけどね」

 彼女がそう言うのでホッとしていると別の娘が「あんた蟒蛇うわばみなんだからあんたの基準とリリスの基準を一緒にしない方が良いわよ」とツッコミを入れてきた。

「とりあえずリリスは休ませた方がいいからそこのソファを空けて貰えますか?」

 僕は酔って立てないリリスをお姫様抱っこしてソファへと移動させる。

 その光景を見た他の娘達は「きゃー」とか「いいなぁ」とか「私も彼氏欲しい」とか言いながら勝手に盛り上がっていた。

 おかげで僕への質問の弾丸はほとんど飛んで来ず、僕はリリスの側でちびちびと軽めのお酒を飲みながら幸せそうに眠るリリスの髪を撫でていた。

 そして女子会という名のカオスな飲み会は夜遅くまで続き、全員がベロンベロンに酔ってしまい、とてもではないが寮に帰る事が困難になっていた。

「もう、お開きにしましょう」

 僕がそう宣言したのはお店が閉店を迎えるので、そろそろ終わりにして欲しいと言われた時だった。

(これはマズいな。一体どうしたらいいんだ?)

 僕は目の前の現状から目を背けたくなる衝動をなんとか堪えて、まずリリスを起こす事にした。

完全治癒ヒール

 前にも同じような状態だった時に治癒魔法で泥酔も治ったので、とりあえずリリスのますために治癒魔法を彼女にかけた。

「うーん……よく寝た気がするわ。日頃の疲れが全部無くなって体調もしっかりと回復してるし、気分も最高にいいわ」

 目を覚ましたリリスは大きく伸びをすると周りを見回したかと思うと次の瞬間、げんなりした表情になっていた。

「リリス、すまないが彼女達を寮に送る手配を頼めるかい?」

 僕は回復したリリスに一抹の期待を込めてお願いをした。

「あはははは。
 ………無理ね」

 そんな僕の希望はリリスのひと言で打ち砕かれた。

「まず、こんな状態になった彼女達を抱えて運べる人が居ないのと女子寮は当然ながら男子厳禁だからナオキを含む男性に頼む事も不可能なの」

「じゃあどうするんだい?
 このままだとお店の人にも迷惑だし、彼女達をこのまま放っておく事も出来ないだろう?」

 僕の正論にリリスは「そんな事言われても……」と唸る。

 その時、僕の頭にはひとつだけこの状態を解決出来る方法を思いついていたがその提案を出せずにいた。

「せめて、ここがいつもの女子寮ならば皆起きるまで放っておくんだけどな。
 ところで私って何で寝てたの?みんなから質問攻めにあってからの記憶が曖昧だし、いつ寝たのかも覚えていないのよね……」

「ああ、それはリリスが間違って友達のお酒を飲んでしまったからだよ。
 結構アルコール度数が高いお酒だったみたいで直ぐに酔いつぶれてしまったんだ」

 その言葉を聞いたリリスは顔を青くして僕に「わたし何か変なことしなかった?」と聞いてきた。

「いや、今回は別に変なことはしてないと思うよ。
 ちょっと酔いがまわって立てなくなったからソファで休んで貰っただけだし……」

「良かったぁ。また何かやらかしたのかと思っちゃったわ。
 と言うことはナオキが酔を治してくれたのね。ありがとう」

 とそこまで言ったリリスはある事実に気がついた。

「うわぁ……。私、この状況を何とか出来る方法を思いついちゃったわ……」

 彼女の言葉に僕がリリスを見るとはっきりと顔が引きつっているのが分かった。

(あっ。リリスも僕と同じ結論に辿り着いたんだな。
 でもあまり乗り気でないから言おうかどうか迷ってる顔をしてるんだな)

 僕は素知らぬふりで彼女から言い出すまで待つ事にした。
 自分から言い出すと何だか話がこじれそうな気がしたからだ。

 しばらく。………時間にしてほんの数分間ほど目を閉じて考えていたリリスはやがて決心したように僕に言った。

「彼女達全員に治癒魔法をかけて酔をさまして貰いましょう」

(まあ、それしか方法はないだろうな)

「それは良いけど治癒魔法を使うのに本人の同意は得られないけど大丈夫なのか?」

 僕が一番心配している事をリリスに伝えると「こんな状態になるまで呑むのが悪い!文句を言ったら私が倍にして反論してあげるわ」と言いきった。

「リリスがそこまで言うならば僕からは反論はないよ。
 じゃあ順番にかけていくから回復した人から説明を頼むよ」

 僕はそうリリスに伝えると酔いつぶれている彼女達の胸に手を添えながら治癒魔法をかけていった。

 ーーー十分もしないうちに全員に治癒魔法をかけ終わった僕は後をリリスに任せて食事会の代金を支払いにその場を離れた。

「ふあぁ……。
 何だかよく分からないけど凄く気持ち良かった夢をみたわ」

「あっ!私も!」

「私もそう!不思議よね」

 目が覚めた彼女達は口々にそんな感想を話し始めた。

 どうやら触られた事を覚えている娘は居ないようだったのでリリスも敢えて詳しく説明せずに「酔をさます治癒魔法をかけさせてもらった」とだけ説明しておいた。

「ーーーご馳走さまでした!」

 店を出た彼女達は支払いを済ませた僕にお礼を言ってきた。

「でも、本当に良いのですか?
 この人数であれだけの飲食をしたのだから相当な金額になったと思うのですけど、割り勘にしなくて彼女に怒られないですか?」

 そう言いながら皆はリリスの方を見る。

「まあ、ナオキが良いと言ってる事だし、皆にはいっぱい迷惑もかけちゃったしね。
 でも楽しかったから良かったわね」

「うん、本当に楽しかったわ。この後、またサナールに行くんでしょ?
 時々は顔を見せに帰って来なさいよ。
 また女子会をやろうね!」

 そう言うと彼女達が全員で声を併せて言った。

「「「「リリスの彼氏のサイフで!!
 あはははは!」」」」

「駄目よ!駄目駄目!今度はちゃんと割り勘なんだからね!『割り勘』!」

 リリスはそう叫びながらも皆と一緒になって笑いあっていた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

《完》わたしの刺繍が必要?無能は要らないって追い出したのは貴方達でしょう?

桐生桜月姫
恋愛
『無能はいらない』 魔力を持っていないという理由で婚約破棄されて従姉妹に婚約者を取られたアイーシャは、実は特別な力を持っていた!? 大好きな刺繍でわたしを愛してくれる国と国民を守ります。 無能はいらないのでしょう?わたしを捨てた貴方達を救う義理はわたしにはございません!! ******************* 毎朝7時更新です。

処理中です...