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第62話【野営中の食事と会話】
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バグーダへの馬車は順調に進んでいた。
途中、水場での休憩を挟みながら野営予定の広場に無事にたどり着いていた。
「今日はここで野営をします。
火をおこしますので各自食事の準備などをされてください。
夜は護衛の方が交代で寝ずの番をされますのでゆっくり休まれてください」
御者の男性はそう言うと馬車から少し離れた場所に焚き木を準備してから火を起こした。
パチパチ……
焚き火のはぜる音が聞こえる頃、皆が食事の準備を終えていた。
準備と言ってもカバンから保存食を出すだけでわざわざ料理をする者など居るはずも無かった。
「どうぞ」
御者の男性が起こした焚き火で簡易的なスープを温めて皆に配る。
基本的には乗り合い馬車の場合、食事は自分で準備するのがこの国の旅のルールらしいのだが今回のように長距離で運賃の高い旅ではこうして御者がスープを配る事もあるとリリスが教えてくれた。
「やっぱり温かいものがあるといいな」
僕は馬車の発車駅で買った固いパンを手でちぎってスープに浸してから口に入れると多少はまともな固さになり安堵する。
「確か途中の村は3日目だったよね?
となると明日もまたこの食事か……」
僕はそうボヤきながらふと思いついた事をそっとリリスに話した。
「――をしたいんだけどどうかな?」
その話を聞いたリリスは「うーん」と考え込んでいたが「確かにそれが出来れば食事で苦労しなくても良いかもしれないわね」と言った。
「ならば明日の夜に試してみよう」
僕の言葉にリリスは「ええ」と答えて頷いた。
野営の時は基本的には焚き火の周りで休む事が多いが今回の旅馬車はそれなりの大きさだったので女性と子供のみ馬車で休めると聞いたが、僕達は草むらにシートをひいて寄り添って休む事にした。
「夜空が綺麗ね」
横になって上を見上げるとすっかり暗くなった空に星が輝いていた。
* * *
次の日も特にトラブルなく順調に旅は目的地の野営場所へとたどり着いた。
「今日はここで野営となります。
明日の夜はバグーダまでのちょうど中間にあたるオクリ村に泊まる予定ですので必要な物資があればそこで買い求めてください」
御者の男性はそう伝えるとスープの準備を始めた。
「ちょっと良いですか?」
簡易のかまどを作って鍋に水を張った御者の男性に僕が声をかけた。
「はい。いかが致しましたか?」
「ちょっと今日のスープを僕達に作らせて貰えないかと思いまして……」
「スープを……ですか?」
「ええ、素材は僕達が提供しますから鍋とかまどをお借り出来ればそれで大丈夫ですので」
「ナオキ治癒士様の治療は人専門だったと思ってましたが、まさか穀物や野菜にまで効果があるのですか?」
まさかの答えに僕は全力で首を振り「それは無いです」と答えた。
「まあ、良いでしょう。貴方の事は皆知ってますし、どんな事をするのか私自身も興味がありますから」
御者の男性はそう言うとその場を僕達に譲った。
「それじゃあ始めますね。
リリス、材料の下処理が終わった物からどんどん鍋に入れていってくれ」
僕が渡す材料をリリスは指示に従って下ごしらえを進めていく。
その出どころは僕のカバンだったがどう見てもカバンに入る量ではなく皆不思議に思うが誰も突っ込まないでいてくれた。
「よく煮込んだらこの調味料を入れて材料に馴染んだらこの固いパンも一緒に放り込んで3分ほどしたらかまどから降ろしても大丈夫ですよ」
かまどから降ろされた鍋からは何とも言えないスパイスの香りが辺りに漂っていた。
「何コレ? 凄くいい匂いだけど香辛料をふんだんに使っているのよね?
でも香辛料って凄く高くてなかなか手に出来ないはず……」
コリアはそう言いながらも鼻につく食欲をそそられる匂いに逆らえずにスープを入れる器を持って僕の前に出した。
「どうぞ」
出来た料理をコリアの食器によそうと彼女はとろとろになった固いパンをスプーンで崩して口に入れた。
「美味しい!?」
思わず叫んだ口を恥ずかしそうに手で隠したコリアだったが野営の食事はおろか町の食堂でも日頃食べる事の出来ないレベルの味にスプーンが止まらなかった。
「口にあったようで良かったです。
せっかくですから皆さんもいかがですか?」
コリアの反応に満足した僕は他の人にも料理をすすめた。
「これは美味い!」
「香辛料もだが、このとろみは何だ?」
「野営でこれほどの料理が食べられるなんて!」
皆の美味しいとの感想に御者の男性は「うーん」と唸りながら僕に言った。
「これ程の物を作るには材料も香辛料もかなり使うはず。
傷みやすい物は使えないし、コストもかかるので普通の野営では出すのは難しいでしょう。
いや、申し訳ない。職業がらそのような方向で料理をみてしまいましたな。
今日は滅多にない幸運に恵まれたと思い、食事を美味しく頂くとしよう」
御者な男性はそう言うと頭を下げてお礼をすると、美味しそうに料理に口をつけていた。
料理は皆に好評だったので僕達も一緒になって食事をしながら少しばかり情報収集をする事にした。
途中、水場での休憩を挟みながら野営予定の広場に無事にたどり着いていた。
「今日はここで野営をします。
火をおこしますので各自食事の準備などをされてください。
夜は護衛の方が交代で寝ずの番をされますのでゆっくり休まれてください」
御者の男性はそう言うと馬車から少し離れた場所に焚き木を準備してから火を起こした。
パチパチ……
焚き火のはぜる音が聞こえる頃、皆が食事の準備を終えていた。
準備と言ってもカバンから保存食を出すだけでわざわざ料理をする者など居るはずも無かった。
「どうぞ」
御者の男性が起こした焚き火で簡易的なスープを温めて皆に配る。
基本的には乗り合い馬車の場合、食事は自分で準備するのがこの国の旅のルールらしいのだが今回のように長距離で運賃の高い旅ではこうして御者がスープを配る事もあるとリリスが教えてくれた。
「やっぱり温かいものがあるといいな」
僕は馬車の発車駅で買った固いパンを手でちぎってスープに浸してから口に入れると多少はまともな固さになり安堵する。
「確か途中の村は3日目だったよね?
となると明日もまたこの食事か……」
僕はそうボヤきながらふと思いついた事をそっとリリスに話した。
「――をしたいんだけどどうかな?」
その話を聞いたリリスは「うーん」と考え込んでいたが「確かにそれが出来れば食事で苦労しなくても良いかもしれないわね」と言った。
「ならば明日の夜に試してみよう」
僕の言葉にリリスは「ええ」と答えて頷いた。
野営の時は基本的には焚き火の周りで休む事が多いが今回の旅馬車はそれなりの大きさだったので女性と子供のみ馬車で休めると聞いたが、僕達は草むらにシートをひいて寄り添って休む事にした。
「夜空が綺麗ね」
横になって上を見上げるとすっかり暗くなった空に星が輝いていた。
* * *
次の日も特にトラブルなく順調に旅は目的地の野営場所へとたどり着いた。
「今日はここで野営となります。
明日の夜はバグーダまでのちょうど中間にあたるオクリ村に泊まる予定ですので必要な物資があればそこで買い求めてください」
御者の男性はそう伝えるとスープの準備を始めた。
「ちょっと良いですか?」
簡易のかまどを作って鍋に水を張った御者の男性に僕が声をかけた。
「はい。いかが致しましたか?」
「ちょっと今日のスープを僕達に作らせて貰えないかと思いまして……」
「スープを……ですか?」
「ええ、素材は僕達が提供しますから鍋とかまどをお借り出来ればそれで大丈夫ですので」
「ナオキ治癒士様の治療は人専門だったと思ってましたが、まさか穀物や野菜にまで効果があるのですか?」
まさかの答えに僕は全力で首を振り「それは無いです」と答えた。
「まあ、良いでしょう。貴方の事は皆知ってますし、どんな事をするのか私自身も興味がありますから」
御者の男性はそう言うとその場を僕達に譲った。
「それじゃあ始めますね。
リリス、材料の下処理が終わった物からどんどん鍋に入れていってくれ」
僕が渡す材料をリリスは指示に従って下ごしらえを進めていく。
その出どころは僕のカバンだったがどう見てもカバンに入る量ではなく皆不思議に思うが誰も突っ込まないでいてくれた。
「よく煮込んだらこの調味料を入れて材料に馴染んだらこの固いパンも一緒に放り込んで3分ほどしたらかまどから降ろしても大丈夫ですよ」
かまどから降ろされた鍋からは何とも言えないスパイスの香りが辺りに漂っていた。
「何コレ? 凄くいい匂いだけど香辛料をふんだんに使っているのよね?
でも香辛料って凄く高くてなかなか手に出来ないはず……」
コリアはそう言いながらも鼻につく食欲をそそられる匂いに逆らえずにスープを入れる器を持って僕の前に出した。
「どうぞ」
出来た料理をコリアの食器によそうと彼女はとろとろになった固いパンをスプーンで崩して口に入れた。
「美味しい!?」
思わず叫んだ口を恥ずかしそうに手で隠したコリアだったが野営の食事はおろか町の食堂でも日頃食べる事の出来ないレベルの味にスプーンが止まらなかった。
「口にあったようで良かったです。
せっかくですから皆さんもいかがですか?」
コリアの反応に満足した僕は他の人にも料理をすすめた。
「これは美味い!」
「香辛料もだが、このとろみは何だ?」
「野営でこれほどの料理が食べられるなんて!」
皆の美味しいとの感想に御者の男性は「うーん」と唸りながら僕に言った。
「これ程の物を作るには材料も香辛料もかなり使うはず。
傷みやすい物は使えないし、コストもかかるので普通の野営では出すのは難しいでしょう。
いや、申し訳ない。職業がらそのような方向で料理をみてしまいましたな。
今日は滅多にない幸運に恵まれたと思い、食事を美味しく頂くとしよう」
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