女性限定の『触れて治癒する』治療方法に批判が殺到して廃業を考えたが結果が凄すぎて思ったよりも受け入れて貰えた

夢幻の翼

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第68話【オクリ村を出発して】

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 その後バークは予定通りに馬車の準備を整えてくれて2日後にオクリ村を出発する事になった。

 治療の方は腰を痛めたおばあさんと体調を崩した妊婦さんを診ただけで平和な2日間だった。

「それでは、お気をつけて。
 このご恩は一生忘れませんのでまたオクリ村に寄られた際は是非宿にお立ち寄りください」

 バークがお礼を言う。

「本当にありがとうございました。
 おかげさまでまた主人を手伝う事が出来るようになりました。
 娘も大変喜んでいて、元気に手伝ってくれています。
 ほら、メグ。挨拶を」

 ミナが娘を僕の前に押し出してきた。

「お兄ちゃん。
 おかあしゃまの病気を治してくれてありがとうごじゃいました。
 絶対、絶対、絶対また来てくだしゃいね」

 メグはまた涙を浮かべながら、でも口元ほ笑顔で送り出してくれた。

「バークさんの料理とても美味しかったです。
 村に来た時は絶対に寄らせて貰いますね」

 僕は泊めて貰ったお礼を言うとバグーダへ向かう馬車に乗り込んだ。

「良い人達だったね。
 大きな町みたいな活気は難しいけれど長閑な風景は癒されるよね。
 バークさんの食事も美味しかったし、結局リリスも焼き菓子をお土産に貰ったんだろ?」
 
 僕は向かい側の席で紙に包まれた焼き菓子を大事そうに抱えたリリスを見て微笑ましく思った。

「さてと、乗り合い馬車では他の人達が居たからバグーダについてからの具体的な行動を話す事は出来なかったけど、この馬車は僕達だけだから普通に話すくらいならば御者の人や護衛の人にも聞こえないだろうし迷惑にならないだろう」

「そうね。まだバグーダまでは2日程かかる予定だけど着いてからの行動を決めておいた方が戸惑わなくていいわね」

 リリスも同意したので町に着いてからの話し合いを始めた。

「まず、町長との面会をしなくてはいけないでしょう。
 そこで伯爵様からの免状を提示して町で治療行為をする事を認めて貰わないといけないわ。
 あっ、でも斡旋ギルドが先かもしれないわね。
 ナオキは斡旋ギルドの所属になってるし、まあちょっと……いえ、かなり問題があるかもしれないけれど一応ギルマスとも面識があるしアルフさんからの手紙もあるから話は進めやすいかもしれないわ」

「バグーダの斡旋ギルドマスターといえば……アーリーさんでしたよね?
 アルフさんの妹ですけど彼に手紙を貰う時にも散々な言われ方をされてたよな。
 確かに美人だったと思うけど、僕にはそれだけ悪い人には見えなかったんだよな。
 『娘想いの母親だな』が僕の正直な感想だよ。
 まあ、娘の力になってやりたいのは母親ならば当然のことなのかもしれないけどね」

「でもアルフさんが言うには彼女は『時には女の武器を使う事もあるんだ』的な事を言ってましたよね。
 ナオキは女性からの押しやお願いに弱いところがあるから気をつけてね」

 自分も何かとやらかしてナオキに迫った経験があるのだが自分の事は棚に上げておくリリスだった。

「肝に銘じておくよ」

 僕は苦笑いをしながらそう言った。

 馬車はその後も順調にバグーダに向けて進んでいた。

 野営時の食事は少人数だから口止めをお願いすれば大丈夫だとの考えで収納魔法からバークさんが作ってくれた料理を取り出して食べた。

 御者も護衛も驚いたが、バークの知り合いであり仕事上で知り得た事を人に話すのは契約違反となるらしく、秘密は守ってくれると約束してくれた。

「しかし、凄い能力スキルだね。今までかなりの数の魔術士や冒険者を運んできたけど収納魔法を使う人なんて見たこと無かったな」

 バグーダの町への到着予定を明日に控えた最後の野営の夜に御者と護衛の者達を交えて意見交換をしながら楽しげに食事をした時に言われた言葉だ。

「僕も重宝してますが、やはりあまり人には見せない方がいいですかね?」

 僕の問いかけに護衛についてくれている男性は「あまりに非現実的な能力スキルなので出来るだけ人には見せない方がいいだろう」との事だった。

 まあ、カルカルでは引っ越しの依頼をこなすのに結構見せてしまったから今更って感じもするけど町が変われば人の噂も変わるだろうからと素直にそうする事にした。

「明日にはバグーダの町に到着する予定だ、最後まで気を引き締めて護衛を頼んだぞ」

 御者の男性が護衛の者達に声をかけると彼らは「分かってます」と返して夜番の順番を確認していた。


 ――大きなトラブルに見舞わられる事もなく、次の日の夕刻に馬車はサナールへとたどり着いた。

 門で人と馬車の確認と登録を済ませた僕達は御者と護衛の人達にお礼としてチップを渡した。

「ありがとうございました。
 おかげで何事もなく無事にバグーダの町へ来る事が出来ました。
 心より感謝します」

 依頼料はバークが出してくれていたので気持ちだけだったのだが両者ともに恐縮しながら受け取ってくれた。

「さて、この町ではどんな人達が治療を待ってるのかな」

 僕はそう呟くとリリスと供に斡旋ギルドへと歩を進めた。
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