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第92話【アーリーからの呼び出し②】
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「――完全治癒
これで治療は終わりになります。
腕の調子はどうですか?」
いつもの治療が終わり患者に治療後の調子を確認してもらう。
「問題なく動きます……。
うううっ……。
本当にありがとうございます」
治療を受けた女性は涙ながらにお礼を繰り返す。
「まだ治ったばかりで違和感があるかもしれませんが直ぐに馴染んでくると思いますので今日一日は無理をしないで休んでくださいね」
リリスが女性に優しく声をかけて家族を彼女の元へと案内するとそこでまた嬉し涙とお礼の波が押し寄せる。
「良かったですね。お大事になさいませ」
治療費の支払いを終えた患者と家族は何度も頭を下げてお礼を繰り返しながら宿に帰る僕達を見送った。
「今回も治療が上手くいって良かったですね。
まあ、ナオキの治療が失敗した事なんて一度もないんだけどね」
ふたりでそんな会話をしながら宿に帰り着くと食堂にはナナリーが待ち構えていた。
「おかえりなさい。リリスさん、母……いえ、斡旋ギルドマスターがお呼びですのでご同行をお願いしますね」
「やっぱり行かないと駄目なの?
私、今は斡旋ギルドに所属してないはずだけど……」
「まあそうなんですけど、どうしても頼みたい事があるそうですのでお願いします」
ナナリーは深々とお辞儀をしてリリスに同行を求めた。
「ふう、仕方ないわね……。
但し、いくらギルドマスターでも所属をしていない人間を無理矢理に働かせる事が出来ないのは承知しておいてくださいね。
私が嫌だったら依頼を断る事もありますからね」
「それは分かってますわ」
リリスはため息をついて斡旋ギルドへ向かう準備を始めた。
* * *
「――お呼びだそうですが私にどんなご要件でしょうか?」
斡旋ギルドへ入った途端にリリスは受付嬢に背中を押されながら応接室へと通されて準備されていた飲み物を飲みながら待っているとアーリーが部屋に入ってきたので呼んだ訳を聞いてみた。
「ごめんなさいね。あなたカルカルの斡旋ギルドの受付嬢をしていたのよね?」
「はい。もう半年以上前の話になりますが……。
それが何かありましたか?
一応、カルカルのギルドにはきちんと説明もしてギルドマスターの許可貰いましたし何の問題もないはずだと思いますが……」
「ああ、辞めた事は別に問題になってはいないわ。
カルカルのギルドマスターが定例会で『エースが抜けて大変だ』とぼやいていたくらいね」
「あはははは……ラーズさんには迷惑をかけたとは思ってますけど一応、直接謝罪はしたからその件はそのくらいでお願いします」
リリスはバツが悪い様子で苦笑いをする。
「で、用件なんだけど……」
リリスの様子など気にもしないでアーリーは彼女に用件を話し始めた。
「あなたは斡旋ギルドを退職したとはいえ、斡旋ギルドの受付嬢講習の1級を取得してるわよね?」
「それは必要だから取りましたけど、ギルドをクビになった時に白紙になったのでは無いですか?」
「それは無いわよ。
そもそも資格の剥奪は衛兵に捕まるほどの犯罪でも起こさない限り起こり得ないわよ。
あなたは厳重注意程度で済むはずのギルド規約違反を理由に自分から退職しただけでしょ?
その程度なら資格の剥奪なんてある筈がないわ」
「はあ、そうなんですね。
で、それが何か関係あるのですか?
私はギルドに戻る予定もつもりもありませんけど……」
「それは分かってるつもりだけど、それでも少しだけで良いから手伝って欲しいのよ」
「手伝う? 私が?」
「ええ、このギルドの受付は3つあるのだけどそのうちの1つを任せていた娘が結婚する事になって部署の移動を余儀なくされて代わりの人材補充が間に合わないの。
2週間で良いから臨時でお願い出来ない?
その間に必ず次の人材を準備するから」
アーリーは手を併せてリリスなの頼み込む。
「いや、待ってくださいよ。
結婚と言っても明日から居なくなる訳じゃないのですよね?
とりあえず次が育つまで結婚を延期して貰えば済む問題では無いのですか?」
「そうなのよね。
その娘がもっと早く報告を上げてくれていればそうしてたのだけど、その話が私のところに来たのが2日前で結婚式は明後日なのよね。
しかも、相手がこの町で経済的に貢献度の高い商家の息子らしくて引き延ばせなかったのよ。
しかもその息子、自分は受付嬢を口説いたくせに彼女に受付嬢は辞めるようにと説得したそうで配置転換を求めてきたのよ。
酷いと思わない?」
「はははは。そっ……そうですね」
「あのボンボン。
いつかこのお礼はさせて貰うからね」
顔を引きつらせながら答えるリリスにアーリーはその時の事を思い出してメラメラと炎を背景に怒りをぶつける。
「で、協力して貰えるかしら?
もちろん手当は出すし、今後も斡旋ギルドからの協力も約束するわ」
アーリーの言葉にリリスは何とか断ろうと言葉を紡ぐ。
「で、でも私はナオキの助手をしなければいけないし、そもそもカルカルと違ってこの町も詳しくないし、利用する常連さんの事も知らないですから逆に迷惑をかけるでしょうから止めた方が良いかと思いますよ?」
「それなら大丈夫よ。
ナオキさんには特別に無料で知り合いを助手として付けてあげるし、あなたには次の受付嬢候補を付けるからその娘が使えるようになったら2週間を待たずに交代しても良いわよ。
まあ、逆に2週間たっても使えなかったら延長もあるかもだけど……」
「……出来るだけ優秀な娘をお願いします」
辞めたとはいえ、斡旋ギルドを敵にまわす事がこれからの仕事に大きく影響するのを理解しているリリスは深いため息をついてアーリーの提案を引き受けるしか無かった。
これで治療は終わりになります。
腕の調子はどうですか?」
いつもの治療が終わり患者に治療後の調子を確認してもらう。
「問題なく動きます……。
うううっ……。
本当にありがとうございます」
治療を受けた女性は涙ながらにお礼を繰り返す。
「まだ治ったばかりで違和感があるかもしれませんが直ぐに馴染んでくると思いますので今日一日は無理をしないで休んでくださいね」
リリスが女性に優しく声をかけて家族を彼女の元へと案内するとそこでまた嬉し涙とお礼の波が押し寄せる。
「良かったですね。お大事になさいませ」
治療費の支払いを終えた患者と家族は何度も頭を下げてお礼を繰り返しながら宿に帰る僕達を見送った。
「今回も治療が上手くいって良かったですね。
まあ、ナオキの治療が失敗した事なんて一度もないんだけどね」
ふたりでそんな会話をしながら宿に帰り着くと食堂にはナナリーが待ち構えていた。
「おかえりなさい。リリスさん、母……いえ、斡旋ギルドマスターがお呼びですのでご同行をお願いしますね」
「やっぱり行かないと駄目なの?
私、今は斡旋ギルドに所属してないはずだけど……」
「まあそうなんですけど、どうしても頼みたい事があるそうですのでお願いします」
ナナリーは深々とお辞儀をしてリリスに同行を求めた。
「ふう、仕方ないわね……。
但し、いくらギルドマスターでも所属をしていない人間を無理矢理に働かせる事が出来ないのは承知しておいてくださいね。
私が嫌だったら依頼を断る事もありますからね」
「それは分かってますわ」
リリスはため息をついて斡旋ギルドへ向かう準備を始めた。
* * *
「――お呼びだそうですが私にどんなご要件でしょうか?」
斡旋ギルドへ入った途端にリリスは受付嬢に背中を押されながら応接室へと通されて準備されていた飲み物を飲みながら待っているとアーリーが部屋に入ってきたので呼んだ訳を聞いてみた。
「ごめんなさいね。あなたカルカルの斡旋ギルドの受付嬢をしていたのよね?」
「はい。もう半年以上前の話になりますが……。
それが何かありましたか?
一応、カルカルのギルドにはきちんと説明もしてギルドマスターの許可貰いましたし何の問題もないはずだと思いますが……」
「ああ、辞めた事は別に問題になってはいないわ。
カルカルのギルドマスターが定例会で『エースが抜けて大変だ』とぼやいていたくらいね」
「あはははは……ラーズさんには迷惑をかけたとは思ってますけど一応、直接謝罪はしたからその件はそのくらいでお願いします」
リリスはバツが悪い様子で苦笑いをする。
「で、用件なんだけど……」
リリスの様子など気にもしないでアーリーは彼女に用件を話し始めた。
「あなたは斡旋ギルドを退職したとはいえ、斡旋ギルドの受付嬢講習の1級を取得してるわよね?」
「それは必要だから取りましたけど、ギルドをクビになった時に白紙になったのでは無いですか?」
「それは無いわよ。
そもそも資格の剥奪は衛兵に捕まるほどの犯罪でも起こさない限り起こり得ないわよ。
あなたは厳重注意程度で済むはずのギルド規約違反を理由に自分から退職しただけでしょ?
その程度なら資格の剥奪なんてある筈がないわ」
「はあ、そうなんですね。
で、それが何か関係あるのですか?
私はギルドに戻る予定もつもりもありませんけど……」
「それは分かってるつもりだけど、それでも少しだけで良いから手伝って欲しいのよ」
「手伝う? 私が?」
「ええ、このギルドの受付は3つあるのだけどそのうちの1つを任せていた娘が結婚する事になって部署の移動を余儀なくされて代わりの人材補充が間に合わないの。
2週間で良いから臨時でお願い出来ない?
その間に必ず次の人材を準備するから」
アーリーは手を併せてリリスなの頼み込む。
「いや、待ってくださいよ。
結婚と言っても明日から居なくなる訳じゃないのですよね?
とりあえず次が育つまで結婚を延期して貰えば済む問題では無いのですか?」
「そうなのよね。
その娘がもっと早く報告を上げてくれていればそうしてたのだけど、その話が私のところに来たのが2日前で結婚式は明後日なのよね。
しかも、相手がこの町で経済的に貢献度の高い商家の息子らしくて引き延ばせなかったのよ。
しかもその息子、自分は受付嬢を口説いたくせに彼女に受付嬢は辞めるようにと説得したそうで配置転換を求めてきたのよ。
酷いと思わない?」
「はははは。そっ……そうですね」
「あのボンボン。
いつかこのお礼はさせて貰うからね」
顔を引きつらせながら答えるリリスにアーリーはその時の事を思い出してメラメラと炎を背景に怒りをぶつける。
「で、協力して貰えるかしら?
もちろん手当は出すし、今後も斡旋ギルドからの協力も約束するわ」
アーリーの言葉にリリスは何とか断ろうと言葉を紡ぐ。
「で、でも私はナオキの助手をしなければいけないし、そもそもカルカルと違ってこの町も詳しくないし、利用する常連さんの事も知らないですから逆に迷惑をかけるでしょうから止めた方が良いかと思いますよ?」
「それなら大丈夫よ。
ナオキさんには特別に無料で知り合いを助手として付けてあげるし、あなたには次の受付嬢候補を付けるからその娘が使えるようになったら2週間を待たずに交代しても良いわよ。
まあ、逆に2週間たっても使えなかったら延長もあるかもだけど……」
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辞めたとはいえ、斡旋ギルドを敵にまわす事がこれからの仕事に大きく影響するのを理解しているリリスは深いため息をついてアーリーの提案を引き受けるしか無かった。
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